第十三の手記
「もちろんさ」オルガ王妃が言い、ロマノフにメダリオンを投げた。ネミル・ロマノフはその品物をキャッチし、逆方向へ歩き去った。もうどうでもよかった。私は手を動かそうとしたが、枷は珍しいほど頑丈だった。冷たい金属が肌に食い込んで痛んだ。温かい流れが手首を伝った。私は唇を噛み、考えた。パニックに陥ってはならない。絶対に…
「ミロスラフ・バグリャノフ!」タヤの声が空間を切り裂き、私は不安げに周りを見回した。ヴォイボルがタヤとハイダ・バルノを、まるで囚人のように連れていた。オルガ王妃のもう一人の手下か。彼女の権力は印象的だ。私は稲妻のように走り、紅尖塔の守衛長に頭から突撃して地面に倒した。男に対する憎しみを感じた。
「石を取って逃げろ」私は急いで言い捨てた。しかし敵を甘く見ていた。ヴォイボルは飛び上がって立ち上がり、武器を振りかぶって攻撃すると、再び友人たちを捕らえた。私は跳び上がり、天守閣長の胸から足で蹴り、地面に落下した。ハイダがナイフで縄を切り、魔女を解放した。二人は共にルーンへと駆け寄った。間に合え!
「お前!」
ヴォイボルが私のペンダントを掴もうとした時、窒息を感じた。
「閃光の一撃!」
ヴォイボルが叫んだ。光の矢がかすめ、奇跡的に衛兵に当たらなかった。致命傷になり得たと分かり、自分自身も恐怖を感じた。私は頭を回し、古い知人を見た。彼はどうやってここに?彼は全身が金色の光に輝いていた。彼の魔法は戦闘魔術師のものとも符文魔術師のものとも違った。私は混乱を感じた。
「黒き月の夜、チタナイトの門は自らを現す。汝らは知らぬ。しかし神々は久しく、神酒の代わりに汝らの涙を飲んでおる」
彼の話はいつものように入り組んで理解しがたかった。しかし、予期せぬ味方には嬉しかった。私は立ち上がり、ルーンへ走った。私の手はまだ拘束されており、走るのは不便だったが、必死で解放の石を手に入れたかった。私はルーンに足を踏み入れ、それが輝いた。私は解放の石を目で探し、掴もうとした。瞬間、誰かに掴まれ、強くその場に押さえつけられていると感じた。
ゴルツェスラフ神父が祈りを読み始めた。オルガ王妃は血の入った小瓶を開け、その血をルーンの中心に注いだ。エリスラフや他の衛兵たちがタヤを押さえつけているのを見た。その間、私の知らない白髪の女が私の友人の血で小瓶を満たしていた。彼らは次々と新しい器を彼女の血で満たし、彼女の持つ全ての血を取ろうとしているようだった。
「天に言葉を囁くな。それは逆さまじゃ。汝らの祈りは下へ流れる。笑う者の口へとな」予期せぬ味方の声を聞いた。彼は傍らに現れ、女を押しのけた。私は全力でもがいたが、できなかった。突然、ルーンの中心の地面が震え始め、私の前に門が現れた。それは威厳に満ち、畏怖と恐怖を抱かせた。この門の向こうに何があるか知りたくはなかった。もう押さえつけられていないと感じたが、一歩も踏み出せないことに気づいた。足が地面に根付いたかのようだった。オルガ王妃が別の短剣に血を注ぎ、鍵穴に差し込むのを見た。門はゆっくりと開き始めた。私は突風を感じた。
「真実が降り注げんことを!その光が全てを照らさんことを!」
口の中で金属の味と窒息を感じた。耳が詰まった。水中にいるかのようだった。似た経験がある。
『光の痺れ!』
私は膝をつき、目の前の血の池を見た。タヤの叫びが意識をナイフのように切り裂いたが、助けに駆けつける力はなかった。夢の中で見ているように、ロマノフが一撃でヴォイボルを倒し、魔女が立ち上がるのを助けるのを見た。彼女に叫びたい言葉があった。だがその時、咆哮を聞いた。門から我々の世界に何かが突破しようとしていた。それは黒い脚を伸ばしていた。私は頭を上げようとし、強い湿った土の臭いを感じた。
「我を迎え入れよ」
何?
「ミロスラフ!」
「汝は力を渇望している」
私は目を閉じた。意識が逃げていくようだった。
「愛が汝を救う」
私は沼の底にいるようだった。酸っぱい希望と錆びた硬貨の臭いがした。これは私の疲れか?私は真正面を見た。闇と私の計画の破片が見えた。これは現実ではない。現実であるはずがない。
「そう思うか?」
私…私は彼女に救いを約束した。そうだ。彼女は私を必要としている。
「汝の腕が弱まるのを感じるか?果たして彼女を救えるのか?」
選択肢はない!
「その選択を授けよう。力を授けよう。汝はもう母を救えなかった」
闇が濃くなる。虚無を感じる。失望の苦い残滓。受け入れたくない現実。信じたくない現実。
明るい太陽が網膜を焼くようだった。強い疲労を感じながら目を開けた。
「彼が目を覚ました!」
「何が起きた?タヤ!タヤはどこだ?」私は立ち上がろうとしたが、止められた。首を回した。小さな明るい部屋にいた。
「他の者を呼んできます」ストヤンが部屋を出た。私は無意識にペンダントに手を伸ばしたが、ひび割れや欠けでいっぱいなのに気づいた。周りを見回した。小さな鏡に気づき、近づいた。見慣れた顔が疲れた目で迎えた。前髪をよけ、左目を観察した。髪でそれを隠すのは慣れている。タヤがそれを繰り返したのを不意に思い出した。心の中に混乱が生まれ、頭を振り、前髪で左目を隠した。
なぜか緑の髪の女のイメージが頭に浮かんだ。
『我を迎え入れよ』
私は鏡を見て、鎖骨に奇妙なものを見た。紋様…ルーン?まさか…私はシャツを脱ぎ、呆然と固まった。私の胸に見知らぬルーンの模様が描かれていた。タヤがやったのか?
では、一体何が起きたんだ?
『我を迎え入れよ』
何?誰が言った?
「ミール!」タヤが私の腕に飛び込んだ。私は友人をしっかり抱きしめ、自分の胸に押し付けた。「すごく心配したわ!」魔女が言った。
「目を覚ました?」ハイダが尋ねた。
私は温かく王女を見た。あの緑の瞳の冷たい眼差しを、今まで以上に嬉しく思った。タヤが一歩下がり、私は物理的な接触が断ち切られることに少しがっかりした。
「一体何が起きたんだ?」私はいくつかの説明を求めた。
「汝は光への道を見つけ、真実を渇望する。されど汝の心は秋の葉のごとし:初風に震える。しかるに風は、ただ神の息吹にすぎぬ」聞き覚えのある声が、私の心に神経質さと不安を生んだ。
「カイア!」タヤが熱心に新しい友人のもとへ走り寄った。この興味を見て、私は頭痛を感じた。
「チタナイトの門は封じられたことを喜んで伝えよう。悪は我らの世界の敷居を跨がなかった。これは吉報だ。しかし、友よ、悲しき知らせもある」
私は塊を飲み込み、相手の丸い顔を注意深く見つめた。
「高貴なる心が汝を救った。されど全てには代価がある」
「何が起きている?」私は視線をタヤに移した。彼女の目は悲しみでいっぱいだった。彼女は黙っていた。しかし、私の胸のあのルーンと関係があるのではないかと思った。心の中で、蛇のように不安がうごめいた。
「私は宮殿に戻らなければならない」ハイダが言った。
「君の弟は…」
「ザミルは無事よ。今は侍女と一緒」その言葉に安堵を感じた。
「ではオルガ・ヴィッテは?」私は聞き返した。
「彼女は逃げたわ。でもゴルツェスラフ神父、ヴォイボル、その他の支持者は地下牢へ送られた。彼らは尋問を待つことになる」彼女は間を置いた。「父上が、私に王位を委ねると言ったの。私の強さを見ると。ありがとう、ミロスラフ。あなたがいなかったら、私は父の承認を得られなかったでしょう」
私は強い恥を感じた。どうして私に感謝できる?彼女はとても勇敢で果敢だ。私は役に立たない。悪魔との戦いがそれを証明した。ネミルに騙された。私はあまりに無知で弱い。私がそんな馬鹿でなければ、彼らは扉の石を手に入れられなかっただろう。
「それは全て君自身だ。君自身がオルガ王妃の計画を理解した。そして弟を救いに行った。私に感謝することなど何もない。君は自分の力を信じるべきだ。出会ったばかりの時、君は威厳と不信の鎧に閉ざされていた。君が再び信じることを学べたことが嬉しい。そして君を信頼できたことが嬉しい。君を友と呼べることを幸せに思う」
王女は唖然とした様子だった。私は鋭く突進し、彼女の華奢な体を抱きしめた。栗色の髪が邪魔になって顔にかかったが、気にしなかった。ただ、彼女がタヤよりもさらに細くほっそりしていると無意識に考えた。鋭く後退し、触覚的接触を断ち切ると、彼女は静かに言い、魔女に素早い視線を投げて。
「私も友達になれてとても嬉しい」
何だか悲しい響きだった。私は傷ついた。もしかして、友達が平民なのが気まずいのか?直感的にタヤの視線を捉え、支えを求めた。茶色い瞳が平静な眼差しで答え、私の頭の中の不安な思考の流れを止めることができた。
「汝らの愛を見るは喜びなり、友よ!清き心は必要とするものを得たり。喜びが我を呑む」
私は息を吐き、カイアの話を聞いた。
「必要とするものを得た?」私は皮肉っぽく聞き返した。
「汝の友は黒き疫病の呪いからの癒しを必要とし、その魂は清し。王女は父なるものの祝福を得たり」相手が説明した。
「では、私は何を必要としていた?」
「傍らにいる清き心を」
私は唇を噛んだ。友達。つまり、私は孤独に苛まれていたのか?
「汝さえも、友よ。汝は記憶を必要とし、それを取り戻せり」
私はそれを聞いて呆然とした。
「私がここにいると、いつから知っていた?」
体が理性より早く反応した。私はまるで離れたところから、自分の手がネミルの首を掴むのを見ているようだった。しかし驚いたことに、ロマノフはかわし、私を押しのけた。人間離れした速さだ。
「何が欲しい?」私は歯を食いしばって尋ねた。
「ミール!やめて、お願い!彼が私を助けてくれたの!」タヤの小さな声が私を止めた。怒りが血となってこめかみを打った。
「私は友を裏切らない。ただ時には、彼らの犠牲が必要なだけだ」
「戦いは無用なり、高貴なる者よ!汝の怒りを感じ取る」カイアが私の胸に手を当て、怒りは去り虚無が残った。「悪魔が消え去らんことを祈るな。彼らと顔を合わせる力を祈れ」
「皆、望むものを得た。そうだろう?」ネミルが私をまっすぐ見て聞き返した。
「汝は過ちを犯せり、真の道から外れし者よ!されど我は汝の心を許す。なぜならば、魂を救うは剣にあらず、それを置く覚悟– 時来たるときにな」
それを聞いて、私は嘲笑った。
「私は自分の望みのままに残った」
「では、何が欲しい?」私は聞き返した。彼に借りがあると感じていた。
「自分の翼を取り戻すこと」
「翼?」彼は天使なのか?私はカイアを注意深く見た。「では、お前は堕天使なのか?」
「天使が堕ちるのは、投げ落とされるときにあらず– 墜落もまた飛行の一部だと信じることをやめるときなり」カイアが言った。
「では、我々は天界へ向かうのか?」ロマノフが嘲笑った。




