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1-8

 メジスラナクアを追跡するための宇宙船は発進しなかった。政府の意向により今回の件の対策を優先することになったのだ。

「納得できないか?」

 エルネスティがカレルヴォに訊く。二人は学生時代からの付き合いだ。

「ああ。追跡はすべきだ。説得も攻撃もしないとしてもだ。目的を知るためにも追跡しない理由はない」

 メジスラナクアは最後まで通信回線を開かなかったので、いずれにしても説得はできなかった。

「そうだな。目的がわかっているならともかく」

 エルネスティの言葉に、カレルヴォは納得できないというような表情をした。

「目的がわかっていれば追跡しない?」

「たとえば……何らかの取引があったとか」

「取引?」

「内容はわからないが、その取引によって結果的に見逃してやった。あるいはメジスラナクアをくれてやったとも考えられなくもない」

 エルネスティはそう言ったが本人も半信半疑だ。

「有り得ないことではないな」

 同意はしたがカレルヴォも納得はしていない。

「調査はするようだな」

 エルネスティが言うのは一連の出来事についての詳細だ。

「ああ。お前のところは運転手と爆発についてか。運転手はどうなった?」

「運転手は治療中だ。出血が多く気絶してしまって、何も聞き出せなかったようだ。爆発については担当外だ」

 ハンヌは救助された時には意識がなかった。つまり、その場での聞き取りは不可能だった。爆発は第三ラボなので、第二ラボに所属しているエルネスティは直接の担当ではない。

「運転手が何を話すかだな」

「そうだな」

 エルネスティはあまり期待していない。協力者であれば仲間に撃たせたことになる。簡単に口を割るようなことはないだろう。

「会議にはお前だけか?」

 カレルヴォがエルネスティに訊く。この後、軍と宇宙センター、国立研究所の関係者で会議が行われる。エルネスティは出席するがカレルヴォは出席しない。会議室の近くで顔を合わせたので、二人だけで会話をしていた。

「第二ラボからはな。第一と第三からも誰かが来るはずだ」

「そうか。お前も災難だな」

「誰も予期していなかったからな。今日じゃなくても実行できたと思うが……」

 エルネスティの言葉を聞いてカレルヴォは考え込んだ。

(なぜ今日だったのだろうか?)

 今日の移送は事前に決まっていた。準備さえ整えばいつでも実行できたはず。わざわざ移送に合わせる理由がわからない。今日でなければならない理由があったのか。

「どうした?」

 エルネスティがカレルヴォに訊く。

「いや、お前の言う通り、なぜ今日だったのか……」

「確かにな……まあ、その辺りもじきにわかるだろう」

「そうだといいがな」

「時間だからそろそろ行くよ」

 エルネスティが時計を確認して立ち上がった時、第二ラボの者から連絡が入った。ハンヌが運び込まれた病院に詰めている。

 エルネスティの表情が変わった。

「どうした?」

 通話が終わるのを待ってカレルヴォが訊く。

「運転手が毒を飲んで死んだ」

「毒を? 持ち物を調べなかったのか?」

「差し歯に仕込んでいたらしい。そこまでは調べなかったようだ。これで何も訊けなくなった」

 エルネスティは忌々しく言った。

「はっきりしたのは運転手が協力者だったということだけか」

「そうだな」

 あらかじめ毒を用意していたということは、何が起こるかわかっていたということだ。誰かが渡したということはなかった。

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