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1-7

 軍も動けないままメジスラナクアは大気圏を離脱した。

 上空に閃光が走る。衛星がメジスラナクアを攻撃したのだ。

「なぜ攻撃した?」

 軍の統合司令本部に所属するカレルヴォ・ヘイケラが呟いた。状況から攻撃指示が出たとしか考えられない。しかし、今はネットワークが切断されていて指示が出せない。

「あらかじめ指示が出ていたってことはないか?」

「考えられなくはないが……」

 同僚の言葉にカレルヴォは納得できなかった。メジスラナクアが奪われることを予期していたのなら、もっと別の対応ができたはずだ。ウイルスとメジスラナクアの件が関係あるとすれば、衛星に指示を出したのも同じ人物である可能性が高い。しかし、その場合はメジスラナクア以外を攻撃するように仕向けるのではないか。

(単純ミスだろうか? それとも無関係か?)

 どちらにしても対応は簡単ではないとカレルヴォは考えた。特に今はネットワークが使えないので、対応が後手に回ることを避けられない。

「状況がわかってきました」

 部下がカレルヴォに報告する。宇宙センターの管制局で情報収集が進んでいたのだ。部下はセギオラの移送から輸送機、メジスラナクアまでの経緯を説明した。

「セギオラが目的なのか?」

 カレルヴォは部下に問う。

「先方でも断定はできないようですが、可能性は高いと見ているようです」

「セギオラをどうするつもりだろうか……」

「それは不明なようです」

 独り言だったが部下は答えた。

 カレルヴォはセギオラに詳しくない。どのような利用価値があるかはわからなかった。しかし、部下の報告に引っかかるものがあった。

「ヒルダ・カールランピと言ったな?」

「はい。民間の研究施設の研究者です」

「民間の?」

「そうですが何か?」

 部下はカレルヴォが何に引っかかっているのかわからない。

「カールランピという研究者がウイルスの対応に来ていたはずだ」

「本当ですか? すぐに確認します」

 部下はコンピュータールームに連絡した。

(協力者だろうか?)

 カレルヴォは考えた。協力者であれば軍のウイルスについては説明がつく。宇宙センターについては現段階では不明だ。

「わかりました。国立研究所第三ラボのロイネ・カールランピという研究者です。ヒルダ・カールランピは双子の妹のようです」

「妹か」

 カレルヴォはロイネを見ている。年齢までは知らなくとも、他の者たちより若いことはわかった。他の者の名は知らないので、その中では重要な立ち位置なのかもしれないとカレルヴォは思った。

(協力者となり得る技術は持っていそうだが……)

 ウイルスはもちろん、輸送機やメジスラナクアについても、ロイネ・カールランピが実行することは可能だろう。しかし、疑いが向くことも避けられない。協力者であれば、みすみす軍の施設に赴くようなことをするだろうか。協力者ではないのか、あるいは疑われない確固たる自信があるのか。

(そのために宇宙センター長官を利用したのか?)

 確かに考えられなくもないが、人選としてはどうだろうか。システムに長けているとは思えない。それに立場上所在が明らかになっている時間帯が多い。逆に考えれば、どこにいるのか把握しやすいので、偽装しやすいかもしれないが。

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