すり切れてく指だけど
指紋、あんまり見えないや。
翼の欠けた満月がころがって
たどり着ける夜明けなら
黒光る闇も険しくもないはず
潰れた踵で駆けあがってゆけるさ
厚塗りした嘘だけに酔いしれて
うす汚い真実に傷ついてしまっても
愛よりヘイトを数えるたびに
すり切れてく指だけど
きみとつないでた頃の記憶は
指紋より深く刻んであるから
命 尽きるまで忘れることもないだろう
命 奪われてまで手放せずにいるのだろう
悲しく褪せた虹の橋 渡したら
たどり着ける未来なら
鼻白むだけじゃ嬉しくもないよね
歪んだ顎門が噛み合わせを欲しがる
先送りの約束は焦げつくうえに
後払いの幸せを踏み倒す始末にも
愛よりヘイトを幾つもなぞり
すり切れてく指だけど
きみが投げ込んだまるい小石は
波紋ひとつさえ残さず沈んだ
命 燃やすには穏やかすぎる水面へ
命 焼き払うには鬱蒼すぎる水底へ












