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一点ものに気をつけろ! これってホントに詐欺でした

作者: 池畑瑠七

 先日執筆した母の日ギフトのエッセイ。次男夫婦から前触れなく送られて来た品を、てっきり送り付け詐欺だと誤認して……という話を書いた。

 顛末は「めでたしめでたし」だったのでよかったのだが、実は「これって詐欺だよね!?」と即座に思い込んでしまったのには、訳がある。

 そのほんの2日ほど前、家族がモノホンの通販詐欺被害に遭ってしまっていたからだ。


 

 探していたのは、最近入手した中古軽自動車のとある交換部品。あまりに年式が古すぎてパーツはどこにも売ってなく、散々探してやっと1個だけ中古品販売ショップで見つけた品だった。

 ちょっと高いな…でもほかに選択肢がない。こんな古い部品を売る人も買う人もそうそういないだろう。仕方ないか…そう考えて購入することを決意。

 クレカでの決済もできたけれど、使い慣れた大手のショッピングサイトとは違う所の、初めて見るフリマ系ショップ。万一を考えて支払いは銀行口座への振り込みを選択した。


  事前に代金を送金して、品物の到着を待つ。ところが、待てど暮らせど品物どころか発送連絡も来ない。不審に思いショップの連絡先に電話。すると、日本人とはちょっと違う?カタコト混じりの日本語であれやこれやと遅延理由を述べ続ける。


 家人はこれはおかしい…と感じ「じゃあもういいです、キャンセルします」と告げた。すると、返金するから詳細なやりとりするためにLine登録しろだの、クレカナンバーを教えろ、などと言ってきた。

 いよいよ詐欺だと確信し「あなたにそんな個人情報を教える訳にはいかない、何でクレカ情報が必要なの。おかしいでしょう」と返すと相手は「お金返すって、貴方の為に言ってるのに!」と激昂しだしたそうだ。その時点でこちらから電話を切り以後連絡を絶った、という。

 念のため、とクレカ決済をせずに銀振にしたのはまさしく正解だった。

 悔しさはあるが支払った数千円は勉強料として諦め、けれどもこれ以上の被害を出さないためにと、警察に被害届を出すことに。


 ショップの販売履歴から色々調べてみると。見落としていた穴があったそうだ。

 古い部品だから大手のショップ内ではヒットがなく、やむを得ず一般ショップ迄検索枠を広げて探したら、1点だけが見つかった。商品画像は間違いなく当該の品だったのだが、よくよく調べてみると、この画像が偽造だったことが判明。


 一月ほど前のメ〇カリに出品されていたもので、すでに取り扱いが終わっていた「取引終了商品」と同一だった。その画像と情報をコピぺしただけの、実物のない「釣り商品」として違法に掲載されていたものだったのだ。


 家人はメ◯ルカリで商品検索するときはいつも「現在販売中」のものだけを一覧に表示して、見やすく手間を省くように閲覧するのが習慣になっていた。それゆえ、取り引き終了済みの画像は一覧に上がってきておらず、目に留まらなかったのだった。

 もしもその時、そっちの商品画像もちゃんと見ていたら。一点もののリユース品がフリマの取引成立後に別所で全く同じ顔のまんま、別人により別物として販売されているのはおかしい、って気づいたはずだと家人は言っていた。


 そして、これらの経緯を時系列で整理し印刷、サイト情報など数々を取り揃え、事前に警察署に連絡もした上で被害届を出しに赴くと。

 既に同様の被害が複数出ていてショップの口座は凍結されていたとの事だった。でも、詳細な経過やウェブ情報、写真などの証拠書類を全て取り揃えて持参したので、警察からは非常に感謝をされたそうだ。

 万一を考えて、初めての店でクレカを切らず現金で口座振り込みにしたのは賢明でした、とも。


 警察の方曰く、近頃通販詐欺ではこうした「一点もの」で釣る手法の被害がとても多く出ているんだそうだ。「一本釣り手法」もこちらのケースは、なりすましとかの誘導メールやSNSで釣り上げる「フィッシング詐欺」とはもしかするとちょっと、入口の趣が異なってるかもしれない。


 まずは普通の市場で探しにくいもの、通販市場に出回る率が低い品々、古いパーツとか拘り品とかリユース品とか、とにかく探しても簡単には見つからないとか、比較商品がほかに無い、みたいな商品が対象。これだと価格も言い値がつけやすい、それが高いのか安いのか、比較もしづらい。

  こんなもの買うヒトっているの? こんなの売るヒトいるんだ!みたいなモノこそ、実は釣れちゃうらしい。

 

  検索しても他に引っかからないから、探してる人は「これを逃したら他にはないかも!」って思ってしまいがちだ。すると、少々高価でも仕方ないなあー「1点限り」が無くなってしまう前に…!って焦りなども手伝い、つい、ポチってしまう。


 こうして、網にかかる本数自体は少なくても高確率で釣れるという事になるんだそうだ。信頼できる大手ショッピングサイト内なら救済措置があるけど、今回みたいな個人ショップのケースだとそれも望みが薄い。摘発されて法的措置により運が良ければ某か返金ある可能性はゼロじゃないが…。


  ともかく。釣られたら支払った分はもとより、品が届かない等でキャンセル返金、となっても決済のクレカや銀行口座、連絡先等、大事な個人情報を吸い取られ被害拡大の危険性が大きい。寧ろそっちが向こうの狙いだろう。



 通販とかに限らず、何か欲しい品を探しているときって販売数に「残り1点」とか「在庫僅少」などど表示されてると「これを逃したら後悔するかも!」と急に焦る気持ちが湧く。そして余りよく比較や検討をせずに「これにしよう!」とつい、手に取ってしまうことは日常でも全く珍しくない。自分もしばしば経験がある無駄な買い物して失敗するパターンだ(^-^;

 「残り僅か!」って煽り言葉は、時によりそんな焦りの心理を突いてくる悪魔のささやきとなるのだ。

 

 それは本当にいま、必要か?その店は大丈夫か?etc.......煽られたり焦る逸る気持ちが湧いた時ほど一旦立ち止まって深呼吸して、もう一度冷静に確かめる事を習慣づけていけたらなと思う。


 ますます巧妙化し、至る所に「これは本物です」って綺麗な覆いを被せられた色~んな落とし穴が、口を開けている。

  自衛も能動的に日々新たな情報や対策を更新し続けて行かないと、小さな油断が大きな「まさか!」に繋がりかねないんだなぁと冷や汗かきつつ痛感した、今回の被害だった。


 そして軽微であっても泣き寝入りをよしとせず届け出て、その後出たかもしれない被害を未然に防ぐことにちょっとでも貢献できたかもしれない事。且つあの卑劣なサギヤローどもに一矢でも報いることになったのなら、それはそれで少し、救われるかなという思いも無くはない。


 今般の経験が読んでくださった方の何某かお役に立ちますようにと、願っています。

 ここまでお読み下さり、ありがとうございました。








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