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1話 前編 『女心と秋の空』

噂をテーマにしたホラー小説です!あまり怖くないかもしれないです。更新頻度は遅くなりますが長い目でお付き合いください!日曜日までには一話を終わらします!

いい読書を!

その男子高校生は歩いてバス停に向かっていた。既に日はだいぶ傾いていた。山がちなこの地域では日が沈むのが早い。オレンジ色の世界の中で彼は流行りの音楽をイヤホンを片耳だけつけて聴きながら歩く。1人で帰っているが友達がいないわけじゃない。ただ、一緒に帰る人がいなかっただけだ。


暫くして、男子高校生は目的のバス停に辿り着いた。バス停自体は新しく今年の四月にできたばっかりのものだ。待合室である建物は木造でそれはかつて駅舎だったものだ。数ヶ月前まで列車が通っていたホーム横の線路には草が生え散らかしている。


誰が利益を得ているかも分からない駅舎の前に置かれている自動販売機に男子高校生はお金を投入して対価を得る。オレンジのつぶつぶが喉を通過する。彼の目に近くの道路を歩く同じ高校の別クラスの2人組の男子高校生が目に入るし、耳にも言葉が入った。


「なあ、今日も帰ったら荒地やる?」

「おいおいwテスト期間中だぞwww」

「そうは言ったところでやろが?どうせ帰ったらお前から誘ってくるんやろ。フキョオン開いたらお前のメッセージ必ずあるもん」

「wwwじゃ、オレHMG46使うわwww」

「お前、そればっかやん」


男子高校生は彼らの事を正直、しょうもないバカな連中だと見下している。男子高校生自身、賢いとは言えない成績だが彼らと自分とは違うのだという一種の優越感に浸っていたのだ。


さっきの2人組の男子高校生の元へ学校の方から彼らの友達なのか、もう1人男子高校生が走ってきた。


「おい!大変だぜ!!」

「お?お前、先生の居残りから解放されたんか」

「おおかた、こいつのことだから逃げ出してきたんじゃねwww」

「いや、それどころじゃなくなったんだって!警察とかきたぜ!」

「はぁ!?何があったし!?」

「ま?wwwお前なんかやったんか?」


彼らは日常の中の非日常に興奮しているのか騒ぎたて、囃したて、その噂を如何にコンテンツとして消費するのかを楽しんでいる。それを片耳で聞いている男子高校生は自身は彼らと違うと思っているが決して例外ではない。傍観者はとても楽だ。


「2組のビッチ田って最近欠席してたやん?」

「あー、先輩の彼氏寝取ったって噂のwww」

「あいつがどしたん?」

「さっきそいつ学校に来て自殺したんだよ!」

「ま?」

「やばwww」

「やばくね!?2組の教室血まみれだってよ!」


そのセンセーショナルな噂に男子高校生はスマホから流れていた音楽を止めると、彼らとは目を合わさないように、イヤホンも外さずにその会話を聞くことにした。だが、彼らは騒ぎながら遠ざかっていく。


男子高校生は表情を押し殺しつつメガネをかけた。そして、スマホをつけると自身の高校名で検索をかけるが何も出ていない。フキョオンの方も見たが、彼の貧弱な情報網じゃ何も分からなかった。やがて、彼は興味を失って待合室の中に入る。


椅子に座るとリュックの中からラノベを取り出した。どうせ、明日、学校に行けば噂が飛び交っているだろう。誰のせいだ、どんな状況だったんだとか。本を捲る。集中出来ない。1年くらい前に校内ででかい声で女子と騒いでいた彼女の顔が男子高校生の脳裏に浮かんだ。それくらいしか彼は関わりがなかった。彼女のそういう噂は情報の下流である彼の耳にもしっかり入っていたのだ。


「ねぇ、ソレ面白いん?」


急に男子高校生は話しかけられて本を閉じてしまう。どこまで読んだか分からなくなってしまった。彼はムッとすると顔をあげて元凶の顔を見る。


そこにいたのは件の噂になっていた自殺したはずの女子高校生がいた。


「………あ…あぁ…」


女子高校生の顔は端的に言えば整っていると言える。くっきりした目鼻立ち。セミロングの髪はきちんとセットされていた。その身体に血は一切ついていないし、彼女の身体は透けてもいなかった。彼女は男子高校生の隣に座るとじっと彼を見つめている。


「何?変な顔してアタシを見つめて。キモチワルイなぁ」


男子高校生は少し傷ついた。彼は自分自身を気持ち悪いというか、ブスであるとは思っていなかったしそう言われた事もなかったからだ。そう思いなおしたことで心の中に少しのイラつきが芽生える。目の前にいるソレが死んでいようが、謎の生命体だろうが、文句を言いたくはなる。


「ねぇ、聞いてんの?イヤホン外したら?」

「別に。関係ないだろ」


男子高校生にとってはこれが精一杯の反抗だった。彼、というか、多少、陰の気質がある男子高校生たちにとってはクラスの上位にいる女子高校生というのは魑魅魍魎の類より恐ろしいものなのだ。


男子高校生はラノベをしまってスマホを開いた…が、ふと、目線が女子高校生の方へと向いてしまった。彼女のお腹から赤い液体が滲んでいく。茶色のカーディガンを汚したそれはボトボトとコンクリートの床へと垂れていった。彼女自身の表情は俯いていて窺い知ることは出来ない。


「………君もアタシの事嫌いなんだ」

「いや…そんなつもりじゃ…ごめん…」


男子高校生はイヤホンを外して女子高校生の方へと向き直った。彼女はパッと顔をあげてずずいと顔を寄せてくる。彼女はにいぃと口角をあげて掌を彼の方に差し出す。小悪魔みたいだなと男子高校生は思った。


「な…なに?」

「さっきの本見せてよ」


ふと、元気そうな女子高校生の声に疑念を持った男子高校生は彼女のお腹の方を見る。先程の傷は何故か無くなっている。動揺した彼は咄嗟に目をそらした。女子高校生の方は彼の動揺を無視して彼のリュックを取り上げ本を取り出す。


「本屋さんのカバーつけてるの?表紙とか見ないタイプ?」

「……かっこいいからつけてるだけだよ」


女子高校生はニマニマしながらブックカバーを外す。露わになった表紙には2次元の美少女が数人描かれている。女子高校生はラノベをパラパラと捲りながら流し読みする。その間、男子高校生は取り返すこともできずにおろおろとする事しかできなかった。


「へぇ~こーゆーのが好きなんだぁ」

「……たまたま読んでただけだよ」

「たまたま?そーなんだ」

「前さぁ、図書館で会った時にはさ、なんか難しそうな本読んでたよね?」

「前?」


駅舎がギシギシと音をたてる。この駅舎は相当古いものではあるが男子高校生は毎日ここに来てるが家鳴りが起きていたような記憶はなかった。彼はギシギシ音に顔を顰めながら過去の記憶を掘り起こす。


「ほら、アタシが最後に学校来た日。君が本読んでる前の席に座ったでしょ」


男子高校生はそれは今日じゃないのだろうかという言葉をしっかり飲み込んだ。おそらく不登校になる前に最後に来た日という事な…のだろうと彼は解釈した。ギシギシ音はギィーシィ、ギィーシィというように変化していった。男子高校生の目には彼女の手首に筋状に入った傷から血がつっーと垂れていくのが見える。


「…もしかして僕に喋りかけてきた?」

「なんだ、覚えてんじゃん」


女子高校生の言葉とともにギシギシ音も彼女の手首の傷も何も無かったのように消える。男子高校生は一刻も早くこの場から逃れたかったがどうしてか立ち上がる気力が湧かなかった。彼はふと気づいた。窓からはオレンジ色の世界が見えているのに駅舎からホームに出る扉には真っ暗闇が広がっていることに。


「その時さ、本をおすすめしてくれたじゃん」

「貴女がそれ面白いの?って聞いてきたから…」

「それならさっきのラノベ?って言うのもおすすめしてくれてもいいじゃん?アタシは同じ風に聞いたんだけど?ソレ面白いん?って」


彼女は問い詰めるようにぐっと距離を詰める。男子高校生の鼻腔をいい匂いがくすぐる。香水の香りではない女子の香り。しかし、彼にとってはそれどころではなかった。今度は彼女の胸の位置が赤黒く痛々しく染まっていったからだ。


「だ…大丈夫?」


男子高校生は手を咄嗟に伸ばしてしまった。彼の手はもちろん女子高校生へと届くことはなかった。彼女は驚いたように身を引くと胸の前で手を交差させた。


「な…何?触ろうとしないで!ヘンタイ…!」

「ちがっ…ごめん…そんなつもりじゃ…」


女子高校生の身体の傷は次々と増えていく。そして、ホームへの扉の暗黒は大きくなって周りを侵食していく。男子高校生は自分から動いた事を後悔した。彼の人生は能動的なものとは言えなかった。受動的だったからこそ後悔は大きかった。


「ねぇ…ちゃんと話をしようよ…アタシの話を聞いてよ…お願いだから」

「分かったから!話するから!」


女子高校生の懇願するかのような声色に男子高校生は肯定する以外の選択肢はなかった。彼の叫ぶような返答と同時に彼女の傷は次々と消え、暗黒の侵食もホームの真っ暗闇に戻った。しかし、彼女の胸にある傷は依然として残り続けていたが彼はそれをどうにかできるとは思わなかった。


「ねぇ…アタシ読んでみたんだけど」

「僕があの時…おすすめした小説を?」

「うん。イワン・ツルゲーネフの【初恋】。君はさ、アタシにどうおすすめしてくれたか…覚えてる?」

「多分…懊悩とした恋愛をベースにした自伝で貴女みたいな人が見たことないタイプの物語だと思う…のような事を言ったと思う」


男子高校生は思い返してみて自身のはおすすめとは言えないのではないかと思った。その時、女子高校生の事を彼女だと認識してなかったのもあるし、読書中に喋りかけるなという気持ちが強かったからだ。


「アタシ読んでみてさ。恋愛小説だと思ったんだ。ちょっと違うかもしれないけどさ」

「え…あ…うん。でもそんなに報われるような話じゃないと思う」

「それはそだけどさ、みんな悩んでて恋に対して真剣だと思ったんだよね」


男子高校生は恋愛小説と呼ばれるものをあまり読んだ事はない為に確証はなかったが【初恋】の登場人物が恋に真剣だとは思えなかった。恋に溺れた主人公に、傲慢なヒロイン、好色な主人公の父親。倫理的に考えたらおかしな人たちばかりだ。彼の中のステレオタイプの恋愛小説というのはイケメンに一目惚れした主人公の話というものが強く、そちらも同様に恋に真剣だとは思わなかった。彼自身は恋人ができたことがないにも関わらずそう評した。


「ま…まあ、確かに文学作品として懊悩した恋心を上手く描写できてるんじゃないかな?」


男子高校生は女子高校生を刺激しないように肯定とも否定ともつかない返答をする。少し賢ぶって難しい言葉を入れて。ただ彼は度重なる異常にも関わらずまだ若干の反発心を持っていた。彼自身が本を読んでいるという自負があったからだ。


「でも、恋に真剣ってどういうことなんですか?貴女は傲慢にも恋心を弄ぶのが恋に真剣だと思うんですか?隠れて他の女性に現を抜かすのが恋に真剣だと思うんですか?」


男子高校生はまた異常が起きるのではと身構えたが、特に何も起きなかった。彼はもう女子高校生の心理状態によって異常現象が起きたりすることは分かっていたし、落ち着いて話せばそれをコントロールできると思っていた。ただ、恋愛経験のないどころか女性への対応経験も少ない彼にそんなことは出来ない。それを彼が実感したのはすぐの事だ。彼が彼女を試すかのような、挑発的な発言をしたにも関わらず彼女の胸の傷が消滅していたからだ。


「自分の恋心に正直なことは恋に真剣なんじゃない?アタシはそう思う」

「非倫理的じゃないですか」

「でも、それでも好きな人に愛を伝えるのって素敵なことじゃん」


男子高校生はこの女子高校生を取り巻く噂の根源は彼女自身の性格のせいであるとしか思えなくなっていた。さっきコントロールなど容易いと考えていた思考は彼の中で急速に萎んでいき、女性の心の分からなさへの恐怖、正体不明なものへの恐怖は大きくなっていく。


「君はそーは思わん?」

「自分の心には正直で真剣かもしれないけど…それって他の人に不義理じゃないかな?」


男子高校生は慎重に言葉を選んだつもりだが女子高校生の頬にぴっと赤い線が入る。男子高校生には彼女が何に傷ついたのかは分からない。


「そう…なん?結局、じこちゅーなんかな?」

「………」


恋愛経験のない男子高校生にとっては何を言うのが適切なのか分からない。彼はなんであの時、あの小説を読んでいたのかと過去の自分を罵りたくなった。


「君はさ、好きな人がいたりとかすんの?」

「………いないけど」

「じゃあさ、今まで付き合った人はいる?」

「………」


男子高校生は答えたくなかった。彼にとっては自分自身というものを知られるのが嫌だったのだ。情報は憶測の根拠の1つとなり自分自身に不利な噂が広まってしまうから。


「また隠すんだ?」


女子高校生の傷は増えていた。だが、男子高校生にそれを防ぐ術なんてない。自分自身の心を露呈させたくないという気持ちが強かったから。


「どしてさ、君はさぁ、隠すん?」


もし女子高校生みたいに男子高校生自身も心理状態に合わせて傷だらけになるのであればとうの昔に彼は人としての形をとどめていなかっただろう。それくらい彼にとっては答えに窮する質問だった。


「隠してなんか…」

「嘘じゃん。ラノベに本屋さんのブックカバーつけたり、学校ではラノベ読まなかったり、君にとって都合の悪い質問には答えてくれなかったり。そうっしょ?アタシ間違ったこと言ってないっしょ?」


一つ一つをとれば偶然だと言い張れるだろう。さっきも、今までもそうやって男子高校生は誤魔化し、生きてきた。しかし、今、この場において彼はそうすることはできなかった。全てその通りだったからだ。自分の心を見透かされ、ズケズケと入り込んできた女子高校生は彼をまたじっと見つめている。


「そうだよ…そうだよ!僕はそうやって生きてきたんだ!卑怯者だよ!何かに怯えて生きているだけの卑怯者だよ!!それの何が悪いんだよ!!」


男子高校生はそうやって喚き散らす。彼の目からは涙がボロボロと落ちていく。彼はそれに泣きながら驚いていた。彼は涙を見せることを恥じていたし、だからこそ、外で涙を流さないように振舞ってきたのだから。


男子高校生の手に冷たい何かが触れる。既にほとんどのオレンジ色は埋め尽くされていた。女子高校生の身体はもはや傷だらけと形容していいか分からなくなっている。身体のあちこちに黒い穴があき、そこから黒いものが伸びて彼の四肢に巻きついていた。そして、彼女の目からぽとっ…ぽとっ…と赤い涙がこぼれ落ちていく。


「どうして泣いているんですか」

「え…なんでアタシ泣いてんだろ?」


2人は周りの異常にも関わらず、あくまで、普通の会話をした。しかし、普通なのはそれだけで暗黒の侵食は続いていたし、女子高校生の周りには真っ赤が零れ落ち、それらは暗黒に吸い込まれていく。


「悲しいんですか?」

「んー…なんかさ…心が痛くてさ…寂しい?てゆーか…胸がザワザワすんの」


男子高校生は全てを悟った。この女子高校生は道連れを求めているのだと。既に彼の身体には彼女の身体から出た黒いものによって絡め取られていた。




彼は覚悟して目を閉じて腕を広げた。




おでこの辺りに小さな痛みがぶつかる。


「いたっ!?」

「な、何してんの?アタシは別に話しに来ただけだし勘違いすんな!きもいなぁ!」


男子高校生は混乱しながら視線を落とすとおでこの痛みの元凶のキーホルダーが目に入る。そのキーホルダーはデフォルメされた蛇にごつくて毛がぼうぼうの足が生えている謎デザインだった。彼は覚悟が否定された動揺と謎デザインのせいで少し仰け反ってしまった。


ぱしゃっと置いてあったスマホにつぶつぶとオレンジジュースがかかる。


スマホは震えてメッセージが来たことを伝える。男子高校生はそれが友達からのものである事を認識した。


身体に触れていた冷たいものが消える。暗黒を塗りつぶすかのようにオレンジの光が視界を埋めつくしていく。


「………もうダメなんだ」


女子高校生は静かにそう呟いた。痛々しい見た目は変わらず、地面には赤黒い血溜まりができていた。しかし、だんだんとオレンジ色の光に彼女は飲み込まれていく。


「ま…待って!まだ話したいことが!」

「ごめん…アタシ…………………


彼女が最後になんと言ったかは聞き取ることはできなかった。


オレンジが全てを包み込んだ。








「おーい?どうした虚空を見つめて固まってー?おーい。リーキー君?」

「ハクシ…」


男子高校生はその言葉で目を覚ました。リーキー君というのは友達がつけた彼のあだ名で読書中毒者という意味と彼の名前に因んでいる。ハクシの方は友達のあだ名で優等生なのに反省文を白紙で提出したことから多くの人にそう呼ばれている。


「どうした?狐につままれたような顔して」


日はいつの間にか沈んでいたのかあたりは真っ暗になっていた。


「別に…」

「そうかい?ならいいけどさ。まだバスは来ない感じ?」

「もうしばらくしたら来る」

「あー、そうだ。リーキー君。君はあの話はもう聞いたかい?」


男子高校生は友達が何を言おうとしてるのかを察した。きっとあの娘の事なのだろうと。


「知ってる……」

「ど、どうして泣いてるんだい!?」


男子高校生の友達は彼が何故泣いているのかは分からなかったが彼が何かを握りしめているのを見つけた。それは奇怪なデザインのキーホルダーだった。


「君も蛇足神社に行ったのかい?」

「だ…蛇足神社ってなんだよ」

「町の外れにある神社だよ。そのキーホルダーは神主に貰えるんだ。行ったんじゃないのかい?」

「いや…別に」


友達は彼にあの女子高校生の話をしに来た事を思い出した。友達は彼とは違い、数ヶ月前、図書館で寡黙な彼が珍しく他者と会話しているのを見て驚いた。だからこそ、伝えなきゃいけないと思ってここまで来たのだ。


「そのキーホルダーは強く願ったら願い事を叶えてくれるんだって」

「………」

「……彼女は救急車で搬送されたんだ。まだ諦めちゃいけない」


男子高校生は深く頷いた。


「じゃあ、もう行く時間だから。気をつけて帰るんだぞ」

「あぁ…ありがとう。ハクシ」


友達は駅舎から出ていくと暗闇の中をLEDのライトが照らすのみとなった。白熱電球よりは明るいのだろうが。それでも心細い事には変わりなかった。彼はキーホルダーをぎゅっと握りしめる。


「もう一度彼女に会わせてください…神様…」




「………何してんの?君」

To Be Continued

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