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踏切り『シャーマン』より  作者: カレーライスと福神漬
3/3

完結編

八月中旬。

旧盆。

午前六時前。


荒天こうてんを予感させる朝焼けは不自然に赤く、

精神マインドを乱すような

神経を逆なでするような

逆に高揚こうようあおるような

幻惑的な光を下界げかいに射し込ませていた。


黄金色こがねいろの郵便ポストの前方で

よこしまな赤い光線に照らされた、

若い男はおろしたての衣装(白一色)に身を包み、

思いつめた表情で佇立ちょりつしていた。


左前に合わせた(逆さごと) 経帷子きょうかたびらを着用。

白帯を結び、手甲てっこう脚絆きゃくはんをつけ、

額に(コントで見かけるような)白い三角巾さんかくきんを巻き、

頭陀袋ずだぶくろげていた。


カヴンの仲間からの祝福と抱擁ほうようを受け、

六文銭ろくもんせんの印刷された和紙を受け取った。

左手を使い、丁寧にふところへしまうと、

仲間の差し出した日本酒で口を湿しめらせる。


白い男は、

緊張状態で(ただでさえ)高い数値を示している心拍数を

特殊な呼吸法でさらに高めていく。


都電の始発(三ノ輪橋行き)が、

バッファタイムを喰い尽くしながら、

定刻に間に合わせるよう、停留所を目指して走行してくる。

わななくように警報機が鳴り響き、

タングステンが赤色せきしょく放射して、

遮断機しゃだんきが横ぶれしながら降りた。


男は・・

サカズキを地面に叩きつけ、

粉砕ふんさいし、

まなじりをけっした。


心拍しんぱく数を極限━200近く━まで上昇させて

ロケットスタート+全力疾走した。

遮断機をハードル競技の抜き足(・・・)で飛び越し、

走行してくる都電に

ひるむことなく

ときの声を上げ、

飛び込んでいった。


━ <エルダー・ホッパーズ計画>の成功をわれらの手に! ━

 

ひとたまりもなかった。


男は衝突しょうとつのインパクトではじかれ、

大きくバウンド、

線路上でもんどり(・・・・)うち、頭部をしたたかヒットした。


キキキキキキーッ!

急ブレーキをかける都電のドライバー。

今際いまわ(キワ)のスキールおん

・・ バッドタイミング

・・ 時遅し

・・ 間に合わない


死線しせん彷徨さまよっている若い肉体を、

車輪は無機質むきしつ轢断れきだん走行。

純白じゅんぱく経帷子きょうかたびらや肉をいた。

プチトマトを丸ごとかじったとき、

胎座たいざからゼリー状の果肉かにく

口内にブシュ!っと デタラメ飛散ひさんするように、

ヒト外皮がいぎ裂破れっぱし、

血液と体液、

未消化物や糞尿ふんにょうを、

無差別に八散させ、

骨をミシミシくだいて、

つぶイチゴ・ジャム状になった )

深紅しんく(ベルト)を引きずって、ようやく停止した。


以前、

おさすくおうとした女性が、

轢死れきしした場所と同一地点だった。


かくして ━┃踏切ふみきり┃━ は完成を見た。


災厄さいやくスポットと化し、

君臨くんりんを開始。

自殺志願者を続々(ぞくぞく)と吸い寄せ・・

原因不明の事故を頻発ひんぱつさせ・・

不幸の連鎖れんさを呼び ━悲劇をより濃縮━ 拡大させていった。


イクや、

その兄たち(晶学しょうがくカルテット)の住む

まち全体を支配するために、

組織カヴンの引き起こした、サイキック・テロ。

ふみり>は・・

その・・

ささやかな・・

プロローグに過ぎなかった。




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