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ありふれたオーパーツ

作者: あまみ

※この作品は「密室から脱出したら人類滅亡してた」の続編にあたります。

読んでいなくても問題ありませんが、前著を先に読むことを推奨しています。



時間を巻き戻せる時計。誰もが夢想するありふれたアイデア。

ある日突然そんなものを手に入れたらどうするか。


私は手始めに誰もが考える悪戯をしてみました。

怯えた目や泣き叫ぶ姿には唆るものがありましたが、思いのほか抵抗されてあまり味わえませんでした。

ただ一つ誤算だったことは人の記憶は巻き戻せないことです。

時を戻した直後に迫られた時は動揺してしまいました。

もちろん証拠は残っていないため、罪に問われることはありませんでした。

目撃者もいたようですが、流石に捕まえることは無理があったようです。

衣服の乱れなんかもありませんからね。


人の記憶に残るとなると道具の使い方を考えなければなりません。

それからは私だととはバレないよう工夫するようにしました。

チートアイテムによる自分勝手な行動の日々。

徐々に人々も異変を感じ始めたようでした。

さまざまな憶測が飛び交うようになりました。

未来が見えるように人類が進化したなどが有力な説として取り上げられていたようです。

けれど、どれだけ考えても真実に辿り着くことはないでしょう。



かなり長い時を楽しみましたが次第に飽きてきました。

そこで今度は趣向を変えて、同じ日を繰り返すことにしてみました。

朝6時を迎えたら1日前の日に戻る。そのときの人々の行動を観察してみました。

そうすると、私と同じように多くの人々は自分勝手な行動を始めました。

殺人、強姦、放火、窃盗などなど。

それはまさしくこの世の終わりというに相応しい醜い光景でした。


しかし、いつしか多くの人々は飽きを見せはじめました。

何かを作っても、どこに行っても、何をしても、朝6時を迎えると全てが無に帰している。

記憶以外のあらゆるものが蓄積されることがない。

人はどんな小さなことでも変化を楽しんでいたようです。

変化しない日々に嫌気がさしたのか、気がつくと自殺をするようになっていました。

自殺してもすぐに次の日を迎えるだけだと思うのですが、みんな何故か自殺を続けていました。

時間が経つごとにあらゆる人が無駄がなく、素早く自殺をしていくようになっていきました。

さながら自殺RTAと呼べるもので見ていて面白かったです。

けれど、それもいつしか変化をしなくなりました。

自殺への最適な行動を見つけてしまって毎日同じ行動を繰り返すようになりました。

私はこれが人の終着点だと思い、時間を巻き戻すことをやめました。





最後までお読みいただきありがとううございます。

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