第八話 十王魔導士~十王会議~
最近投稿できてなくてすみません!
これからもぼちぼち上げていくのでよろしくお願いします!
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大きな円卓に、十人の魔術師が座っていた、杖を持つ者もいれば剣を腰にさしている者もいる。
年齢は幅広く、青年、少女、中年、高年、老年、と、様々な個性を持つものもいる、中では、貫禄が出ているものもいる。
学生服を着ている者もいれば、ボロボロのローブと歴戦を戦い抜いたって感じを着ている者も数人いた。
全員が全員を睨み、強さを図る、どうやら一部は仲が悪いようだ、その十人の前に一人の男が現れる。
「全員揃っていますか?」
周りを見渡しながら、男は確認する。
「ああ、揃っている、だから用とはなんだ、早く済ませろ、長くなるようなら、ここで全員殺す」
と怒りの権化のような男が殺気を放つ、だが全員は顔色一つ変えることなく、一人の老人が口を開く
「口を慎め”アルス”、貴様ごときがワシらに勝てると思うな、暴れたいのなら、ワシが相手になろう…」
青年のアルスという男に反論する、だがアルスは、その性格故、引くことなく……腰にある剣を鞘から抜いた。名はアルス《剣神》という二つ名がある
そしてアルスに反論した老人ローブを被っているが歴戦を戦い抜いた、そして鍛え上げられてきた筋肉、老人なのに、まったく衰えを感じさせない風格がある、《賢者》と呼ばれる「ロイン」だ。
「おう、いいぜ”ロイン”……おもてでろやあ!どっちが上か教えてやるよ、老害があ!」
まさに、二人の殺し合いが始まろうとしている、お互いやる気満々という感じがする。
「おやめになってくださる?、いい歳した者が、歳下の者達よりも冷静になれないんですの?、十王魔導士の名を汚す気でしょうか?分かりましたら、どうぞ会議の後に殺し合いをしてくださいませ」
青と白のブレザーと学生服を着た、黄金のように輝く金髪、いかにもお嬢様って感じの少女が、二人の喧嘩を抑えようとした。エイラ国第三王女「ティファ・エイラ・ルージェ」である。二つ名は《聖女》
「邪魔すんなよティファ、……ちっ、冷めたわ、……だが今度はぶっ殺す、いいなロイン」
「ふむ、お主は何年経っても、そのままじゃな、ティファ様を見習えない者かの、……あと姫様には敬語を使うとよい、ちょっと無礼を働いたら首が飛びかねんぞ」
ティファというお姫様は笑みを浮かべながら言う。
「別に私は、王女の名を使う気はありませんわ、十王魔導士として、皆さまと同じ立場にいるものです、敬語なんて不要ですわロイン様」
「これはこれは、心広きお言葉、感極まりますな」
ロインは微笑みながら、ティファと笑い合う。
「いいなあティファ様、もうみんなと仲良くなってる~、私も友達欲しいなあ……」
炎のように紅い髪、そして煌めく紅い目、学生服も、白と紅で染まっている。誰もが見ても、美しい、紅一点というであろう美少女がため息をつきながら言う。名はアリス、エイラ国公爵家二女「アリス・ローデリア」である、そして二つ名は《炎女王》
「あら、アリスさんにならすぐできると思いますわ、少なくとも私はあなたと友達だと思っていますわ」
「ティファさまあ~!だいすき~……そういえば今年から同じ学校だよね?、楽しみだなあ!」
「お前ら、エイラ国の有名な学校に行くんだろ! すげえなあ!、あそこには、化け物ぐらい異常に強いやつばっかなんだろ?世界トップ3に入る学校だからなあ……まあお前ら二人ならすぐ学校の頂点に行けんじゃねえか?」
そう陽気に笑いながら、二人の強さを称賛する、筋肉の塊のような男、その筋肉には剣を刺しても、ケガなどしないような、刺すだけ無駄だといわんばかりの筋肉、ザ・筋肉マスターのような、そして頭には、猫耳的なものが付いている、そう獣人だ。
だがここに居るものは最初彼を見たとき、『本当に魔術使うのか?』と思っていたほどである、現に彼は魔術など一切使わない、魔力による、身体強化によってここ(十王魔導士)までに上り詰めた男である。名はラオウ、獣人国、エウアリュレの国王。『覇王』ラオウ・エウリ・ジョル。(((名前ちょっと変だな)))とここに居る人(?)は思っている。
「あまり甘やかすなよラオウ……そいつら二人(ティファ、アリス)はまだ新人だ、しかも死んだ奴らの後釜だろ、俺はまだ認めんぞ、まだ先代の奴らの方が覇気があった、今の二人を見てみろ、王女と公爵令嬢?甘く育てられた甘ちゃんじゃねえか、俺はこんな二人よりも逸材を知っているぞ、例えば俺の弟子とかな、あいつの方が十王魔導士にぴったりだったんだがな、いったいどんなイカサマをして、ってそういや王女と公爵家か、親のコネとかそういうんじゃないのか?いいねえ!王女と公爵令嬢っていう立場はそうやって親の脛齧ってればここまで登れるんだから!「黙りなさいファイス」……?!……」
ファイス……「竜殺し」という二つ名を持っている、竜を狩るのが大得意と言っているが、彼が竜を倒しているところを見ているものは一人もいない、故に本当に竜殺しなのかどうかもわからない、竜は竜でも、龍ではない、竜だ、ワイバーンや地竜とかそういう竜だ、そもそも龍種は竜種とは違い、位が違う、竜種は狂魔か極魔の下位くらいだ、対する龍種は極魔の上位、王魔に匹敵、する強さという。
だからこそ竜殺しという二つ名は対して、大きな名ではない、恐らく彼が恐れているのは『除名』である、十王魔導士とは簡単に言えば世界で最も強い十人の魔導士というもの、彼の実力がこれ以上上がらなければ除名は免れない、実力主義とはこのことを言う、彼はそれが嫌で変な言いがかりをつけ二人を除名しようとしたところ、冷ややかな殺気を込めてその発言を遮る女性が一人。
「それ以上二人を侮辱するようなら、私が許さないわよ?、少なくともその二人の強さは私が保証するわ、貴方なんかより強いのは確定ですから……フフ……」
「僕が彼女たちより弱いだって? 冗談でも笑えないな『エルフィ』、今回は血を見ないで済むと思ったんだが……やるか?」
と殺気立っているが、エルフィは特にその殺気を気にすることなく続きを話す。
「『竜殺し』が聞いてあきれるわ、そもそも竜殺しって言っても、ワンバーンや地竜とかでしょ?本物の『龍』と戦ったこともないくせに、よくそれで十王魔導士を名乗れたわね、あなたの方こそ、コネでは入れたとしか思えません、それに貴方からの殺気なんて全然怖くありません、ワンバーンを倒した?単独で倒してないくせに?、私噂で聞いたわよ?他の冒険者を雇って手柄を独り占めにするクズの竜殺しがいるって、それってもしかして貴方?」
「…………そんなわけないだろ?! 十王魔導士の名に懸けて!僕は、いや俺は!そんなことしない!」
「そう、今こんなこと言われてどうだった?、怒りで満ち溢れてるでしょ?ティファちゃんやアリスちゃんも同じ気持ちよ?、少なくともこの二人は実力で|ここまで《十王魔導士≫上り詰めたのよ、貴方と同じ……もうそんなこと言わないでね、無理に仲よくしろとは言わない……でも喧嘩はダメだよ」
「分かったよ『氷女帝』、少し頭に血が上ってた、弟子が死んで、ちょっとイラついていた……すまない」
「謝るのは私に向かってではないでしょう?」
「ク……すまなかった、『聖女』、『炎女王』、俺が……悪かった……」
「別に気にしていませんわ、そういわれても仕方ないのですもの!」
「後釜っていうのは否定できないしね別に怒ってないよ!」
と言ってはいるが心の中は悲しみに満ち溢れているだろうと感ずいているエルフィであった。
『氷女帝』エルフィ・グリム・ノワール。クリディア帝国第四皇女である。
氷魔術では右に出るものはいない(レミルズは規格外なので対象にはならない)と言われている、帝国騎士団団長に余裕で勝利するという、剣と魔術両方を得意とする、ティファとアリスと同じ齢でもありながら、強さは頭一つ抜けている。故に同い年なのに二人の姉のように振舞っている、二人も彼女のことを姉のように慕っている、同い年なのに、もう一度言おう同い年なのに!。
「ふむ、エルフィ殿のいう通りじゃ、我等十王魔導士は助け合い、この世界の|七大魔王《セブン・スロード≫を倒すか封印せねばならん、まあ消滅が一番いいのだが、ここでけが人を出すのはやめてほしいのう、そもそもワシは争いごとが嫌いなのじゃ。」
と話すのは、身長は低いが、はち切れんばかりの筋肉、そして男らしい髭、そして体中至る所に武器を
付けている、腰にはショートソードを二本腰に下げ、腕には小手を付け、しまいにはその小手には仕掛けがあり、魔力を流すと、爪が伸びウル〇ァリン状態になるのだ、なぜそのような仕掛けを作ったのかと聞くと、『かっこいいから』らしい。背中には自分の身長と同じ130㎝ほどの戦斧を抱えている、そしてまた腰にあるホルスターに銃を収めている、それを二つ、二丁拳銃だ、これだけではない、終いには口の中に、鋼の鋭い牙が光っている、これで噛みつかれたらひとたまりもない、それらすべては自分で作っている、そうドワーフだ、ドワーフと言ってもただのドワーフではないドワーフの寿命かなり長い300~500は生きるであろう種族だ、だがそれよりも遥かに長生きし、普段魔力量が低い普通のドワーフと違いかなり多い魔力量、魔術に特質的にな適応した種族『古小人』、そして二つ名『武具神』、名は「ロドル」、普通のドワーフよりもはるかに性質のいい、『古小人』にしかできない、神の武器、『神器』をつくることができる。『古小人』はこの世に片手で数えるほどしかいないという、故に神器はとてつもなく高価だという、神器一つで国一つ買えるほどだと言う、十王魔導士全員に武器を提供しているようだが、それは神器ではなく、適当に作った、代物だという、彼は本当に神器を必要とする者にしか作らないという鍛治師の心得だという、難しい人らしい。(いつか出会いたいものだな、神器を必要とする、そして人のために戦う心を持った奴に会いたいものだのう、この中にはいるにはいるんじゃが、まだ神器を扱う器として成長できとらんな)
「それより本当に七大魔王って倒せるの?王魔なんかよりはるかに強いんでしょ?十王魔導士2、3人でやっと王魔を倒せるかどうかなのに、本当に七大魔王って勝てる相手なの?十人全員で掛かれば、勝てそうではあるんだけど、確実に一人か二人はあの世行きよ?、現に七大魔王に挑んで死んだ先代の十王魔導士二人がいたじゃない、しかも相手は無傷って話だったわよ?規格外すぎるわ」
そう、非現実的な批判をする女性、身長は170㎝ほどの女性にしては少し高めの身長、緑の動きやすい服装とマントを羽織り、弓を背中に背負っている、そして誰もが見ても、美人というであろう、顔立ち、そして長く鋭い耳、彼女はエルフの上位種ハイエルフだ、二つ名は『妖精王』、「アリーシャ・フェリス・ミュルド」妖精国フェアリスの第二王女である。
『精霊魔術』という精霊の力を借り、魔術を放つことができる、精霊の位が高ければ高いほど、威力が上がる、その分魔力も消費するが、エルフはほかの種族より魔力量が多い、さらに言えば、アリーシャはハイエルフ、故に魔力量はエルフの百倍だという、精霊に好かれるエルフだからこそ、使うことができる、魔術である、ほぼエルフ専用の魔術と書かれている(レミルズは規格外なのでry)。
「仕方あるまい、我も長年この座にいるが七大魔王は倒せる気がせん、幸いにも七大魔王はどこの国にも攻め入っては来ておらん、だがいつ動き出すかわからぬ、もし七大魔王の1柱でも暴れだしたら国が亡ぶ、その前に何か対策を……と思っていたのだが、この会議の議題はもしかしてそれか?」
鋭い視線を送る男、その目は黒く瞳は黄色に輝く、龍の目を持つ、そして龍特有の尻尾と翼、『龍人』
だ二つ名は『龍智』歴代の龍人の記憶を司り、その記憶をもとに効率的に鍛錬し知識も得た最強の龍人
龍になることも可能、そしてたまに龍人なのに龍って倒しても大丈夫なの?って思っている者もいるのだが、龍にも善龍や悪龍がいる善龍は戦いを好まず人と和平を繋いでいる龍のこと、悪龍はその名の通り、悪に手を染め、国を襲い平気で人を喰い殺す、魔物と同種だと分類される龍のこと、そもそも龍と龍人は似ているようで似ていない、龍人は龍になることができるがそれは制限時間ありだ、そして龍は『人化』というスキルを取得しないと人になることができない、ただし取得さえすれば、自分で解くことがなければ永遠に人でいられる、このことを考えれば、龍人は龍の下位互換に思える、実際そうなのだが…………だがこの者は龍人でも特別な変異種なのだ、『龍智』という固有スキルがあり、龍化時間に制限がない、故に強い…………。
『シリュー・レグザ』
十王魔導士でも序列一位の座を何百年と保っている、だがそれでも七大魔王は倒せない、七大魔王がどれほどの化け物なのか測ることはできない。ここで何の会議なのかが伺える。
「今日の議題ですが……単刀直入に言います…………エイラの森が『燃えました』」
「「「「「「「「「「!!!!!!????」」」」」」」」」」
その一言で十王魔導士全員が事の重大さに気づく、エイラの森、別名『創造神の森』、はるか昔に創造神が作ったと言われている伝説の森、他の森とははるかに面積が違い、広すぎて迷ってしまう人もざらにいる、そして特質するべきはその森の木の頑丈さと耐火性能の高さだ、炎女王であるアリスの炎魔術や序列一位のシリューの炎魔術、世界でもトップクラスの魔術師の使う炎魔術を全力で繰り出しても燃える気は一切ないほどの耐火、流石は創造神が直々に作った森だということか、それを燃やすか破壊できるのは、上位の神か創造神などを葬れる程の魔術を使える魔術師ではないといけない、たとえ七大魔王であっても燃やすまたは破壊することは不可能と呼ばれている森が燃えたという前代未聞の話だ。
「ただ燃えただけじゃありません、エイラの森半分、いや半分以上は燃ました、大精霊のエイルー様が森の修復に掛かっております」
と言っても、創造神でもない彼女ができるのはただの木、創造神が作り出した木とは遥かに性能は落ちるが、当の本人は『創造神様よりかは性能は遥かに落ちるけど、それでも耐火性能はなかなかのものにしてあるよ、ていうか森の中で炎魔術は使わないでほしいんだけど?!』と泣きついたらしい、それを聞いた十王魔導士全員は(炎魔術使うのやめておこう)と心に決めたのであった。
「エイラの森が燃えたなんて私初耳ですわ、お父様(国王様)にも聞いておりませんでしたが……」
「ティファ様が知らないんじゃ私も知らないで当然かなあ、私の炎魔術でもびくともしなかったあの森が燃えるなんてビックリだよ」
「ちょっと待ってください!、アリスさん?、エイラの森で火遊びならぬ、炎遊びをしていたんですの?!」
「あー……えっと~……それはちょっと出来心で「ですの?」ひぃ~!?ごめんなさい!」
炎魔術で遊んでいることにかなりご立腹のティファのそれは般若を思い浮かべる、それを見た他の十王魔導士は(((え、怖)))と恐れるほど、ティファは怖く恐ろしい女性なのだ。
「まあ、アリスさんには後でたっぷり説教をするとして「え?」エイラの森は普通は燃えることのない森、それが燃えたということは、自然火災ではなく、誰かの仕業だというのが私の聞解なのですが、いかかでしょう?バリウス様」
バリウス、今回の十王会議の代表としてきている、と言ってもその代表は、国にそれぞれ一人ずついるとされている、今回はエイラ国で会議が行われている。
なぜこのように十王魔導士がタイミングよく集まるのかというと、古代魔人工物だ。
何百年前、初代勇者という異世界から来た勇者が作ったと言われている、簡単に言えば古代の魔法道具ということだ、その古代魔人工物の一つ『転移板』名前の通り転移を付与されたタブレットみたいなもの、そのおかげで日時を決めその日になったら転移する、そもそもこの古代魔人工物はとても貴重なのだ、売れば貴族でも十年は遊んで暮らせるというほどの価値がある。
そして転移魔術は初代勇者しか使ったことがないという事例がある、もっとも複数人、それも何十人がかりでも転移魔術を使ったといわれるが、それも昔の話、失われし伝説の古代魔術なのだ。
それを付与された古代魔人工物はとても高い、それを十人に渡してある。それほどまでに十王魔導士とは世界の要なのだ
「ええ、エイラ国の国王様にだけはお知らせをしてあるのですが、これを知っているのは、国王様と、私と十王魔導士であるあなた達だけです、そしてこれについてはエイルー様が直々にお話に来るそうです」
「エ、エイルー様がですか?!直々に?!」
アリーシャが衝撃をあらわにする、それもそうであろう、エルフにとって精霊とは、神に近い者なのだ
しかもただの精霊ではなく精霊の上の存在『大精霊』なのだ、もし不敬を働いたらどうなる。精霊魔術が使えなくなる。色々な恐怖、そして大精霊様と出会える感動が交差している。
『あはは、そんな畏まらなくてもいいよアリーシャ』
「「「「「「「「「「?!」」」」」」」」」」
円卓の真ん中が光り輝き、その輝きが収まり現れたのは、身長はかなり低い120㎝ほどの女の子、美しく艶のあるエメラルドグリーン色の髪、ダイアモンドのように美しい瞳、そして本に書いてある通りの精霊の羽がある、だが普通の精霊より一回り大きい羽、大精霊エイルーだ。
『みんな初めましてだね!、エイラの森の管理者をしてもらっている、一応大精霊のエイルーだよ、よろしくね!』
「ほう、これが大精霊か、とてつもなくべっぴんさんじゃの!」
「こ、これが精霊、いや大精霊か、すげえ!、初めて見たぜ!」
「す、すごいです!お父様に自慢できますわ!」
「ほえ~可愛い精霊さんだ!初めまして!アリス・ローデリアだよ!」
「アリスちゃん!あなたも可愛いわよ?エイルーでいいよ!よろしく!」
アリスとエイルーはとても気が合いなのか、とても仲良くなっている、 森で火遊びしてたのに……
「大精霊――!強そうじゃねえか!――」
ラオウは戦闘狂であるため強い者と戦い合いたいという感情が爆発しそうだが、今は抑えてほしい。
その他は色々と唖然としていた、ファイスは見惚れ、エルフィはその羽の美しさに目を奪われていた。
ロドルは興味がないのか武器の手入れをして、アリーシャは神を拝むように両手を合わせていた。
シリューは『流石精霊……魔力量が尋常じゃないな――』とすぐに見定めた。
「それで何の話だっけ?」
「貴女の森の話ですエイルー様」
「あ―そうだったそうだった」
バリウスは困り顔をしている(まったくこの御方は偉大な方なのにどこか抜けていますね、まったく……)と呆れも感じさせられる。
「バリウス、今、『まったくこの御方は偉大な方なのにどこか抜けてますね、まったく……』って思ったでしょ?」
「――?!――」
バリウスは信じられないという顔をしていた
「あはは、私は心を読むことも可能だからね、気を付けた方がいいよ?」と威圧を掛けた、バリウスは汗が滝のようにあふれ出た
「も、申し訳ありません!……」
「ま、いいよ、今は機嫌がいいからね!」
バリウスはそれを聞いてホッと胸をなでおろす。
「それでエイラの森が燃えた原因なんだけど、とんでもない魔術師の魔術で燃やされた、って言ったほうが簡単な言い方かな」
「や、やはり魔術師の仕業ですの?!そしてその魔術師はどんな意図で、どんな魔術で燃やしたというのですか?!」
「ティ、ティファちゃん、ちょっと落ち着いて、気になるのはわかるけど、落ち着いて、ね? ≪安息≫」
「はわぁ……落ち着きますぅ……」
「安定魔術だよ、今から説明するから聞いてね!」
「はいぃぃ……」
「あ、やりすぎたね!解除!」
「はわ!?私はいったい何を……」
「とりあえず座ってね説明するから」
「は、はい!」
ティファは顔を真っ赤にしながら席に座った。
「まあ説明するって言っても、ただその魔術師さんは、森に現れた化け物を倒してくれたんだよね」
「化け物ですか、でもエイラの森って滅多に魔物なんて出ませんよね?出るとしても初魔や中魔ぐらいですよね?」
「うん、私もエイラの森に何日か野宿したことあるけど、出てきても中魔ぐらいだったよ?」
ティファとアリスは小さい頃からエイラの森に入っていた、だがそんな化け物と呼ばれる魔物なんていなかった。
「今回の件は謎なんだよね、本来いるはずのいない魔物が私の森に住みついていたんだもの、私も討伐しに行こうかと思ったんだけど、奴の配下合わせて来られたら私じゃ歯が立たなかった、私が死んだら、この森も死んじゃうからね、創造神様に頼まれているからね、死ぬことは許されなかった……幸いにも誰も森に行っていなかったのが幸いだったね、あの魔術師さんがこなければその魔物に支配されていたからね!」
「そ、そんなに強かったのですかその魔物は?!」
エイラは信じられない、という顔をしていた、あの大精霊が勝てない相手とは……
「うん、下位種だったけど『王魔』だったよ…………」
その瞬間この場に緊張が走る。
「お、王魔って本当ですの?エイラの森に……まさかそんな……」
「ティファちゃん……信じられないけど、本当だよ……しかもその王魔のほかにというかその王魔の配下なんだけど、極魔が100体、狂魔が1000体はいたね!」
「「「「「「「「「「そんなに?!」」」」」」」
「多すぎるだろおい……」
「そんなの絶望じゃない……」
「流石の我でもキツイ……」
あの序列一位のシリューでさえキツイと溢す。
「そ、それで!?その魔物はどうしたんですの?!」
「ティファちゃん落ち着いて、言ったでしょ、ちょうど森を通っていた魔術師さんが倒したんだよ、一人で『すべて』」
「「「「「「「一人で!?」」」」」
「そ!、その魔術師さんは、一人で殲滅した、流石に私もドン引きしたよ!あはは!」
「わ、笑いごとですか?!」
「そんな数の魔物をどうやって?!」
「うーん、王魔と戦う前に、約二千体の魔物がいたんだけど、全部素手で倒してたね、しかも身体強化なしで、それでね「ちょ、ちょっと待ってくれ!」……何?」
全員驚愕していた身体強化なしで、素手で、倒していたと?
「し、身体強化無しで倒したのか?極魔級の魔物を……」
ラオウが質問する、彼は身体強化で極魔と戦ったことはあるが、それでもきついのだ、それで身体強化無しで倒した?少なくとも自分より上じゃないか、とラオウは思った。
「うん、身体強化無しで極魔を100体以上葬ってたよ?そして王魔相手に繰り出した炎魔術で森の半分消えてなくなったってわけ、どう?あ、王魔は消し炭になったよ、いやあ、あの炎魔術すごかったなあ!」
「ええ!どんな炎魔術だったの!私知りたい!」
炎魔術大好きな、アリスはすぐに食いついた。
「うーん、それがわからないんだよね、本人は『怒りで我を忘れて、結構魔力込めて撃っちゃった、てへぺろ!』だって!可愛くないよね、森燃やしといて!」
「てへぺろって……というかエイルー様は会ったんですかその方に!」
アリーシャは、そんな危なさそうな人に近づいたのか?!っと声を荒げる。
「いや、会ったっていうか、友達になったし!」
「「「「「「「「ともだちぃ?!」」」」」」」
「うん、色々話してきたよ、なかなかいい子だったよ、それに……」
「そ、それに?」
全員がゴク、と喉を鳴らす。
「とってもイケメンだった!!」
「え?イケメン?」
「そ、とってもイケメン、私結構人の顔見てきたけど、あんなイケメンな子見たことなかったよ!」
ティファ「へ、へえ(どんな方なのかしら)」
アリス「イケメンなんだ!(会ってみたい!)」
エルフィ「まあまあ落ち着いて(私も会ってみたいに決まってるじゃない!)」
アリーシャ「なるほど!(わ、わたしには初代勇者様が、でもそれは何百年も前……でも、うう……)」
女性陣は変な妄想を浮かべている。
それに比べ男性陣は全員つまらなそうにしている。
「そ、それで、その御方の名前は?」
「「「そうそう!」」」
やはり女性陣は気になるようだ。無理もない、王魔を軽く葬れる、実力者、名前ぐらいは知らないと失礼と思えるだろう。
「名前かあ……言ってもいいのかな……まあいいか、別にその子に、どうこうするつもりはないんでしょ?ちなみに彼は人をいじめる人が大嫌いって言ってたよ?」
「結構平和主義者なんだな…………」
「あ、でも彼がその気になったらここに居る全員、一秒もあれば首がぶっ飛ぶからね?」
「「「「「「「「怖?!」」」」」」
「あー、でその彼の名前なんだけど、ちょっと待ってね、教えてもいいか確認してくる!」
「確認ですか?」
「うん、『念話』のスキルだよ?彼もそのスキル持っているから契約したら、どこにいても話せるよ!」
「便利ですね……」
「あ、本人から『面倒なことにならなければ別にいいよ』だって、面倒ごと起こさないでね?」
全員がコクコクとうなずく
「名前は『レミルズ・ルミナス』だよ、この世界では珍しい黒髪黒目の男の子だよ、確か年齢は15歳だったかな?エイラ国に引っ越して、リーヴェル学園に入学するらしいよ!」
「「「リーヴェル学園?!」」」
「おいおいティファとアリスが入学する学園じゃねえか!」
「ていうかその若さで、そんな化け物級に強いのかよ!?」
「あ、会える、そのレミルズ様に……」
「レミルズさんと同じ学園かあ、楽しみだなあ!」
「ちなみに私も入学することになっています!」
「「え、嘘?!」」
帝国に住んでいる王女様がなぜエイラ国の、リーヴェル学園に入学することになっているのはティファとアリスは知らなかった。
「お父様(皇帝陛下)に頼んで、エイラ国の国王叔父様に頼んでいただきましたの!、私と渡り合える学生なんて、帝国にはいないから、それだったらティファさんやアリスさんと同じ学園に通えばいいと思いまして!」
「え、でもいいの帝国の事とか……」
「ええ、特に問題ないです、第四皇女なので、ほぼ自由なんですよ?皇帝になる気なんてさらさらないですし」
「私も同意見ですわ、国王なんてお兄様たちに任せておけばいいんですし」
「はっはっは、ここにいる王女たちは、自由でいいねえ、俺なんて国王やってるから、まともに狩りにいけねえや、国王辞めたいぐらいだぜ」
やはり王族とはめんどくさいものなのだ、ティファとエルフィは王位継承権は低いものなので、滅多なことが起きない限り、王になるのはありえないであろう、本人たちもなる気は一切ないようだ。
ラオウに関しては息子が成人したらすぐにでも、王位を継承させたいらしい、王の仕事がめんどくさいからだ。
「あれ?ていうかリーヴェル学園って女子校じゃなかったか?」
有名な学校なだけあって、情報は嫌でも入ってくる。
「理事長の権限で入学できるようだよ?」
「理事長か、確か元十王魔導士だった奴だよな?あいつとはあまり接点がなくてな……」
「うん、先代の理事長が、引退したときに、新たに就任した人、その人のおかげで、リーヴェル学園は世界でトップ3に入るほどの学校になりあがった、そして生徒達との雰囲気も良いって聞いてる!」
アリーシャ「すごい人なんですね!」
シリュー「元序列二位だったからな、あいつ我の次に、いや同等だったかもしれん……しかもまだ若かった……今ではどっちが強いか分らんな」
ティファ「強いとは聞いてましたけど、そこまでとは……元序列二位の方の学園に入れるなんて光栄なことですね!」
ファイズ「その分試験は難しいんじゃないか?」
アリス「比較的簡単ってお父様は言ってたよ?」
ロイン「あやつもお人好しじゃしの、たとえ、王族であろうが貴族であろうが、平民であろうが、皆平等に扱っておる……だから奴は十王魔導士をやめて学校の理事長になったんじゃな、今度会いに行ってみるかのう……」
アリス「そもそもなんでその人は、十王魔導士をやめたの?」
「「「「「…………」」」」」
アリス「あ……もしかして聞いちゃいけなかった?……」
シリュー「我らからは言えんことは確かだ、その領域に踏み込んでしまっては、ダメだ。だがこれだけは言える、『大切な人は何が何でも守れ』と、奴の言葉だ、これがどういう意味か、分かるか?」
アリス「あ……うん、なんとなくわかった気がする……」
ロドル「ならいいんじゃ、最も、仲良くなってお互い信頼における人物になったら、いつか教えてもらえると思うがのう……」
最近十王魔導士になった者には分からないはずだ……だが長年、彼女と共に十王魔導士として切磋琢磨してきた者達には分かる……
――『彼女は戦場で大切な人をなくしてしまった』――と
シリュー「(まだ奴は若かった、故にまだ心も弱かった、奴にとっては絶望しかなかったと思うんだが、理事長か……少しは枷が外れたと思ってもいいのか)」
エイルー「ま、人には人の人生があるもんね、勝手に土足で踏み入れてはダメってことね……」
ティファ「って、それよりレミルズさんの事ですよ?!」
シリュー「そうだな、簡単な話、そいつは敵か……味方か……」
それもそのはず、王魔や極魔を瞬殺できる、者などこの世にはいない、もしそれが敵に回ったら、誰もが恐怖するであろう。
エイルー「いや大丈夫だって、その子いい子だし、妹想いのお兄ちゃんだよ?ちょっとシスコン過ぎるけど……」
ティファ「妹がいたんですか……」
エイルー「うん!、その子も強いよ、流石にレミルズ君よりははるかに下だけど、それでも、ティファちゃんやアリスちゃんと同じぐらいの強さかな?王魔相手に遅れることなかったし」
アリス「へえ!、妹ちゃんも強いんだ!」
エイルー「ちなみにその子も兄以上にブラコンだから、結婚するとか言ってたし」
ラオウ「気が早えな……」
エイルー「ちなみにレミルズ君はまんざらでもなかった」
「「「「「「とんでもねえやつだ(じゃ)!」」」」」
男性陣はとんでもないと思っていた。
エイルー「あっはっは第一夫人取られちゃったね、女性陣諸君!」
女性陣「「「「何の話ですか(だ)!!」」」」
女性陣は全員顔を真っ赤にしていた、まだ会ってもいない男になぜここまで妄想を含まらせられるのか、女性とはわからないものだ。
エイルー「ま、自分の目で見るのが確実だよ、同じ学園に入る人は仲良くしてあげてね!」
エイルー「さて、そろそろ私は帰るね、みんな七大魔王退治頑張ってね!」
そう言うと、エイルーはまた光り輝き、その場からいなくなった……。
その場は静寂に包まれた……それもそのはず、エイラの森にたくさんの
極魔、そして王魔、普通なら、十王魔導士の仕事なのだ、それを一人の少年の魔術で、一撃、これを聞けば、脅威でしかない、だが、大精霊エイルーとの約束で、直接手を出すものはいないだろう。
「と、ととととということで、今日の会議は終了にさせていただきますね!、皆さん、レミルズ・ルミナスさんにはくれぐれも気を付けてください……では十王会議、本日は誠にありがとうございました――」
その日十王会議は終わり、男性陣は会いたくないに対し、女性陣は会ってみたいの意見が多く出たのだが、それはまた別の話
~~~~~~~レミルズ視点~~~~~~~
「へくちっ!、あれ?誰か噂してる?、てかエイルーが言ってた人達って強いのかな~」
「そりゃもう強いに決まってるじゃないですか!お兄様!」
「お、おう、そっか、――――ってちょっと待て、お前なんで風呂入ってきてんだ!?俺が入ってるでしょうが?! 」
「ふふっ、いつも一緒に入ってるじゃありませんか!、さっお背中流しますね!」
「わかったから!せめて!布とか巻いてくれええええ!!??」
その日十王会議が行われている間、レミルズはルーシーとイチャイチャしまくってた。
質問十王魔導士全員対レミルズどっちが強いの?
答、十王魔導士が全員で掛かっても片手で勝ちます