試験後にて
試験が終わり、俺達は帰路についていた。
「あー終わった終わった、ペーパーテストが一番疲れた」
「わかるー私頭使うの苦手~」
「結構簡単でしたよ?」
「うんうん」
ルーシーとリルムは頭がいいからわかんないんだよ、俺とアリスって案外似た者同士かもしれない。
「ん?どうしたのレミルズ君」
「んー?いやなんでも」
「???」
確かにちょっとアホっ娘っぽい、そこがかわいいんだけどな。
「暗くなっちゃったねー!」
「そうだなぁ」
そう他愛ないお喋りをしながら俺たちは俺とルーシーの家に来ていた。
「ここが二人のお家?」
「結構大きいですね」
「だよな?二人で住むには大きすぎるよなあ」
「ですね……」
「二人だけで住んでるの?」
「ん?ああそうだな、両親はもうとっくの前に亡くなったからな、ここに引っ越してくる前は叔父とルーシーと3人で住んでたんだが、この国になって、新しく家を買ってくれてな、そこに住めって言われて、今になる、掃除がちょっと大変だけどな」
「あ、そうなんだ……ごめんね……変なこと聞いちゃった」
「いいよもう何年も前の話さ、さあ入ってくれ、今日は合格記念に、おいしい料理を振舞うぞ!」
「おお!ごはんだー!」
「あの、まだ合格って決まったわけじゃ……」
「ないんだけどね……」
俺とアリスはテンションが上がっているのを、やれやれとみている二人がいた。
「「「おいしい~」」」
女性3人組はレミルズの料理に完全に堕ちていた。
「なにこれすっごくおいしいんだけど、はんばーぐ?だっけ肉汁がじゅわーってなってこのデミグラスソースをかけるとさらにおいしくなるんだけど!」
「私はこのろーるきゃべつというのが好きです!キャベツを肉に巻く発想なんて今までありませんでした!このかかっているトマトソースも、酸味が効いていてさらに味わい深いです」
「ほんもーにふぃふぃいふぁまおおはんはあいおうえふ(本当にお兄様のご飯は最高です!)」
ルーシー食べながらしゃべらないでね、何言ってるか分かんないから。
我が家の料理担当は俺しかいない、ルーシーは母親に似て料理が壊滅的に下手だ、いや下手なんて次元じゃない、ただ卵焼きを作るのに、なぜか灰ができたりして、挙句の果てにはなぜかキッチンが爆発する、その母親も同様に、下手である。
俺は前世の頃から、自炊しかしていなかったので、家庭的な料理ならいろいろ作れる、まだ両親が生きていたころの我が家は、父と俺しか料理ができなかった、意外や意外、なんと父はとても料理が上手かった、そこだけは、尊敬した、だが逆にそれしか尊敬するところはなかった。
前世の知識に、今世で父さんに教えてもらった料理で今の俺は、宮殿の料理長より上手い!知らんけど。
『料理上手のスキルもなしによくここまでできるものです』
ふっふっふそうだろうそうだろう、料理のできる男の子はモテるのだよ
『じゃあ今までモテましたか?』
はいすみませんでした。
「あぁさいっこうにおいしかったあ、家で出される料理よりおいしかったよお、おなかいっぱい~」
アリスはおなかをポンポンと叩く。
「素晴らしい料理だった、堪能したよ」
リルムは俺の料理を褒めてくれた。
「やっぱりお兄様の料理は最高です」
ルーシーも毎度ながらに褒めてくれる
作った甲斐があったってもんだ。
「お粗末さん」
俺は皿を片付け洗い物をする。
「いやあにしても試験の時の合技魔術凄かったな、流石にビビったぞ」
「へっへえルーシーちゃんとこっそり練習してたんだよねえ」
そんな練習の時間あったかな、まあ乙女の会話に潜り込むことはしないが。
「でも斬られちゃいましたけどね……」
二人は暗い顔をする。
「そりゃそうだ、あれより何倍も強い魔術を今まで何度も斬ってきたからな、まあお前たちもあの威力、いやあの威力以上の魔術を『一人で』放てるようにならないと、俺にまともなダメージは与えられないぞ?」
「うわあ、時間かかりそう……」
「安心しろ、どうせ同じ学園なんだ、冒険者活動以外は基本暇だから、稽古つけてやるよ」
「いいの?!」
「もちろんだ」
「レミルズさん!私も!一緒してよろしいか?!」
「ん?ああもちろんだ、全員鍛えてやるよ、一人で王魔の上位種を倒せるぐらいにな」
「「「!!」」」
「そんなに驚くことじゃないだろ?、毎日王魔百体以上と戦ってる俺の弟子になるんだろ? これぐらいはできるさ、最も七大魔王はお前たちには早すぎるけどね」
「あの~」
「ん?どしたアリス」
「レミルズ君って七大魔王と戦ったことって……」
絶対に聞いてくると思っていた疑問にレミルズはにやりとして……
「ああ、あるぞ」
「「「?!」」」
「だけどそれは今から五年前、つまり俺が十歳の頃だっからな、あんまり覚えてないや」
「ごごごご五年前って!?十歳で七大魔王と戦ったんですか?!」
「ん?ああそうだな、確か七大魔王の一角『魔幻王ベヒステモス』だったな、七大魔王の中で一番身体がでかいと言われているな、確かに今まで見た中で一番でかかったし、後にも先にもあれよりでかいやつはいないと思うよ」
「そ、それで強かったんですか?!いえ!絶対強かったですよね?!魔王って呼ばれているんですから!」
お、おうリルムさんめっちゃ生き荒くして近づいてきますやん、おお双丘が揺れとる!凶器や七大魔王何て目じゃないぞ!
『キモ』
え?めっちゃ悪口
「お兄様?「レミルズ君?」」
「 ひえっ」
ルーシーとアリスは俺の視線がどこに向いているのかを分かっているかのように、冷たい、めちゃくちゃ冷たい視線を向けてくる、仕方ないじゃん
男の子だもん!。
「レミルズさん?」
「?!あ、ああそうだな七大魔王の強さの話だったな、うん」
「「……」」
そんな目で見ないで
~~~~~~~~~~~~~~五年前~~~~~~~~~~~~~~
「ぐ!? なんだこいつ?! でけえうえにつええ?! 図体がでかいやつは弱い証拠だって、じっちゃんが言ってただろう?!」
俺は今化け物と戦っていた。今までで最高に強い、これが七大魔王……
「オ前バケモノカ?! ナゼ我ノ攻撃デ死ナヌ?!」
「はっ!メリアの攻撃に比べたらハエが止まった程度にしか思えねえぜ!」
「メリアダト?!アノクソ女神ガ!キサマ神ノ使途カ?!」
「神の使途ではねえよ、後メリアをクソ女神なんて言うんじゃねえ!、確かにアイツは、部下に仕事を押し付けるアホではある!、だがクソではない、俺の大切な人、いや女神様だ!」
「 青き終末の炎」
青い炎が巨体を埋め尽くす。
「グギャアアアアア?!ナゼ、ソレヲ、使エル?!ソレハ、神ノ、魔術ゾ、人間ガ、ツカッテイイモノデハナイ!」
「さあな、俺の魔力はほぼ『無限』だ、あとこれは『神級魔術』じゃない、『破滅級魔術』だ、神級魔術の一つ下の階級だ」
「バ、バカナ、コレデ神級ジャナイダト?!キサマワレワレ七大魔王ヨリモバケモノデハナイカ?!」
「試しに神級魔術撃ってみてもいいんだけどな、おそらく世界が滅びるな……「 黒き終焉の雷豪」
黒い雷が周辺にたたきつけられる、七大魔王は悲惨な悲鳴を上げる。
「ガアアアアアアナンダコレハアアア?!」
「破滅級雷魔術、範囲を更地にし、すべてを破壊し、蹂躙し、感電死させる、いやもう感電死のレベルじゃないんだけどね……」
半径百メートルは更地となり、七大魔王はすでにボロボロであった、皮膚は焼き焦げ、身体中には穴がたくさん開いている、なぜ生きているのかが不思議なように
破滅級魔術……それは遥か太古の昔に失われた、『人類』最強の階級魔術、現在は帝級魔術までしかないが、太古時代には帝級の上に破滅級魔術が使われていた、だがそんな太古時代でも使えるものは百年に一人ぐらいだと言われている、それはなぜか、それは魔術を行使するために必要な魔力量だ、帝級の魔術を行使するときに必要な魔力量を1000とすると。
破滅級魔術に必要な魔力量は100000だ。
帝級より100倍の魔力量が必要だという。
使おうとする人もいたようだが、詠唱を唱えた瞬間、干からびて死んだそうだ。
一瞬にして魔力を限界まで吸い込む、危険極まりない、それを危惧し、術者は破滅級魔術を封印した。
「って誰かが言ってた」
「グ……ガ…………ギャ……」
「聞いてないか、そりゃそうか、なんで生きているのかが不思議だわ」
そう言いながら奴に近づき、首を斬る姿勢で、剣を上げ、下に薙ぐ瞬間。
「?!」
ベヒステモスの足もとに魔法陣が浮かび上がり、光がベヒステモスを包んだ。
「コノバケモノメ、モウアイタクナイナ、苦渋ナ決断ダガ、イマノワレハオ主ニハ勝テヌ、ダカラ、ワレハ、逃ゲサセテモラウゾ、マタ会オウ、ツヨキ、モノよ……」
そう最後に言い残し奴は消えた
「チッ、逃げられたか、だが強かったな、王魔の100倍だと?1000倍以上は強いじゃねえか、七大魔王の方がよっぽどバケモンだ」
そう言いながら、レミルズは自分の家に転移し。眠りについた。
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今思えばあいつはとんでもねえバケモノだったな、正直、中級神、いや上級神に届くぐらいの強さだったな。
この世界の人間で勝てる奴いんのかよ、てか初代勇者はそいつを相方と二人で倒したんだろ? どの時代にもいるんだな、化け物って
――この時レミルズは知らなかった、初代勇者の正体が
『最も近しい存在』
だということを。
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「七大魔王はなあ、ありゃ人類では勝てねえよ、まず強さの次元が違う」
「そんなにですか?」
「ああ、国の軍が全勢力で向かっても即座に皆殺しにされる」
「「「!!」」」
「そ、それは」
「お前たちは会ったことあるか?、七大魔王に」
「な、ないです……」
「じゃあ、そうだな、さっきの試験で放った俺の殺気、あれの百倍の威圧は覚悟しといたほうがいい」
「「「?!」」」
「そ、そんなに?で、でもレミルズ君よく生きてたね?!」
「ん?ああ正直生きた心地しなかったぞ、あれはお前たち三人でも、即座に殺されるのが落ちだろうな」
「そうなんだ」
「今のお兄様だと勝てますか?」
「さあな、案外勝てるんじゃないか?はっはっは」
その後も談笑し、そして俺たちは眠りについた
「いやお前ら、家帰んねえのかよ」
「いいじゃーん女子会するもーん」
「覗かないでくださいね!」
「ふふ女子会初めての女子会」
リルムさん壊れた?!