第十一話 アリス・ローデリア
冒険者ギルドを後にして、観光がてら、王都を二人でぶらついていた
「いや白金貨15枚とは……もしかしてちょろい?」
「それはお兄様だけです」
「まだ極魔の魔石90個ぐらいあるんだけどな」
「破産しますよギルドが」
ちなみにこの世界の通貨は。
鉄貨一枚=100円
銅貨一枚=1000円
銀貨一枚=10000円
金貨一枚=100000円
白金貨一枚=1000000円
王金貨一枚=10000000円
神金貨1枚=100000000000円 神金貨は高難易度ダンジョンにしか存在しない、伝説の硬貨だという、
1枚あれば人生何回分の価値だ。
国ごとに1枚、神金貨が宝物庫に眠っている、国に厳重に保管されるほどの価値なのだ。
「まあ、とりあえず家に帰ろう、明日の準備もあるし」
「そうですね、早く帰り……?」
「そうだな早く帰り……?」
帰ろうと思った時に町の端で、おっさん二人に絡まれている、女性がいた、炎のような紅い髪、煌めくルビーのような瞳のかわいい女の子が絡まれている。
でも大丈夫だろう、と俺は確信していた。なぜなら
《アリス・ローデリア》《半吸血鬼》《15歳》《処女》←だからそれを表示すな
攻撃A
防御A
魔力S
魔攻A
魔防B
俊敏A
称号十王魔導士序列9位 エイラ国公爵家次女
お、この国の公爵令嬢ですか、どおりで高そうな服?を着ているな、結構ラフだけど。
しかも半吸血鬼、なるほど確かに歯が鋭い気がする。
そしてまさかの『十王魔導士』!エイルーから聞いていたが、これがか、まあ顔は知ってたけど。
ふむふむ流石のステータスだ、ルーシーとどっこいどっこいの勝負しそうだな、いやそれにしても……デカ…バシッ、ごめんなさいルーシーさん。
「どうする?助けるか?(必要ないと思うけど)」
「助けてあげましょう!、可愛そうです」
「分かった、『神速』」
『神速』光を越える速度で動ける、パッシブ化も可能だが、そのせいで大地が削れたので、解除している。
魔術を発動させ、一気にアリスとおっさんの間に割り込む。
「なあ、いいだろう?ちょっと宿で一緒に泊まるだけだからへへへ」
「そうだぜ?、嬢ちゃんを気持ちよくさせられるぜ?ぐふふ」
「やめてください!!(うざいなあ、もう炎魔術ぶっぱなしちゃおうかなあ、でも使ったら怒られるし……うーん)」
ヒュン!
「「わっ?!」」
突然目の前に俺が現れたことに、両方は驚いたそうだ、そりゃそうか、誰でも驚くなこれは。
「おいおっさん、こんなかわいい子に、何しようとしてたんだ?、そんなにしたいんだったら、娼館にでもいってくるんだな、まあお前らみたいな、奴と相手する女性がかわいそうで仕方ないけどな!」
と笑い飛ばしながら言ったら、案の定おっさん二人はナイフを取り出し、こちらに突撃してくる。
「てめえこのクソガキ!」
「八つ裂きにしてやらあ!」
おっそ?!、ナニコレ?!、さっきのトンパより遅い、まあいいか。
「『氷天下』」
氷の上級魔術、周囲を凍てつかせ、凍らせる、凄腕の魔術師なら範囲も自由に変更できる。そして俺は、範囲をおっさん二人にだけに縮めた、全身を凍らせるように。
そしておっさん二人は悲鳴を上げる間もなく氷漬けになった。
「「寒っ!」」
アリスとルーシーが二人同時に声を出した、やめろ!やりすぎたけど。ここはかっこつけたいだろ!?
「それで?大丈夫だったか?」
「う、うん!ありがとう!(黒髪黒目のイケメンだ!、まさか……)名前を聞いてもいい?」
「ん?ああレミルズ・ルミナスだ」
「妹のルーシー・ルミナスです」
アリスは『やっぱりこの人だ!』と頭の中で歓喜していた。
「私はアリス・ローデリアよ!改めて助けてくれてありがとうね!」
く、この笑顔、100点を上げちゃう。
「ま、助けなんていらなかったと思うがな、『十王魔導士』さん?」
「「?!」」
アリスは自分の正体がバレたことに、ルーシーはアリスが十王魔導士だということに驚いている。
「え?十王魔導士ってあの?!」
「……何で知ってるの?」
ルーシーは驚愕して、アリスはなぜ知っているのか身構える
「そう身構えるなって、この前エイルーから名前を出していいか?って聞かれたとき、俺は条件を出したんだ」
「条件?」
「そう『視覚共有』というスキルを使って。エイルーが見ている物も俺も見えるってスキルだ。」
「ってことは?」
「十王会議だっけ?、あらかた聞いてたぞ?、アリスさんのほかに9人いたんだが、それが他の十王魔導士か」
「……それで?聞いててどう思ったの?私たちを排除する?」
「俺を残虐な人間だと思ってないか?別にどうこうするつもりはない、ちょっと戦ってみたい気もするけど」
「そりゃ無理よ、どうせ十人全員で掛かっても負けそうだし!」
そう、ニヒヒと笑うアリス、くうぅーあざとい、だがそこがいい!。
「俺を無敵な人間だと思ってんな……」
「そうかなあ?、ま、いいよ!、お礼は必ずするよ!」
「いや、礼は別にいいんですが」
「だめ!お礼はさせて!何でもするから!」
「ん?今なんでもって……」
アリスは顔を真っ赤にして、体を抱きながら。
「あ、エッチなのはダメだからね!、でもどうしてもというなら……」
あ、これいけるやつ?でも公爵令嬢を襲いましたっていう、あまりにもこの先の人生詰みそうなことはやりたくないな、まあでもこの人ノリよさそうだから、からかってやるか。
「そうだなあ、じゃあ――」
レミルズはアリスの顎をクイッと上げる。
「今日の夜、お願いできるかな?アリス様?」
と低温ボイスで耳元に向かって話した。
「は、はいぃ」
アリスは、全身が真っ赤になり、プシューと倒れそうになる。
「お・に・い・さ・ま・?」
その瞬間背筋が一気に凍る、氷の帝級魔術?!かと思ってしまった。
「ああ、いや、ちょっとからかってやろうとな?、はは?」
「シッ!」
「ひでぶ!?」
高速のコークスクリューが腹部に直撃する、『愛の力により物理無効は発動しませんでした、ぷふっ』
愛の力ってスゲーって今笑いやがったな。誰だよ。
『私ですマスター』
え?
誰?
『私は貴方の中にいるナビゲーションのようなものです』
え?でも今までそんなのなかったじゃん
『私を作ってくれた方が、その時が来れば、開放するという制約です』
あーそれが今?(妹に殴られるのが条件??)
『そういうことです」
ナビさんを作ったって人は俺の師匠なの?
『そうですね、ですがその記憶は私もなぜか消されています、お役に立てず申し訳ありません』
いや、いいさ、いつか思い出せればいいんだ、ていうか『私』って女性なのかナビさん。
『はい、私は一応女性ですよ体はありませんけどね、私を作ってくれた方が、マスターは女好きということですので』
俺の師匠なんてこと言ってくれるんだ、まあ確かに俺の中に男がいるとなんか嫌だし、女性でよかったかもしれないな、でもいつか体を用意してあげたいな。
『楽しみにしております、私も早くマスターの体に触れたいです。ですがあまり急がなくても大丈夫ですよ、今は貴方のお手伝い、ナビとしてやっていきたいので』
わかったよナビさん楽しみに待っといてくれ、それで今の状況なんだが……
『はい、はっきり言って、修羅場、もしくはカオスですね』
ですよねえ。
今はこの世界の時間を止めてるけど解除したら、間違いなく修羅場だよなあ。
『マスター、軽く世界の時を止めるとか神でもない限り不可能です、チートです』
そりゃ鍛錬したからな、俺なんて最初はゴブリンにすら負けた男だぞ。
『誰だって最初はゴブリンには勝てないと思いますけど……』
ナビがジト目でレミルズを見ている気がするが、当の本人は、気にしていない様子。
「まあいいか『この世界の理から外されし者・世界時止』解除」
「お兄様?帰ったら、お話がありますので、お忘れなく……」
「ふえ?お、おうわかった」
『今までありがとうございましたマスター」
おいまだ会って5分しか経ってねえぞ。戻ってこい!
『ナビは現在電話に出ることができませんピーと鳴ったら――』
こんのやろぉ?!
「お に い さ ま ?」
「は、はひ」
「聞いてますかあ?」
「もちろんでございます!」
「ふう……ならいいです」
あれ案外と許してくれる。
「そんなことより!、アリスさんは十王魔導士なんですか?!」
よかったもう怒ってない、ナイスアリスさん!、あとで飴ちゃんを上げよう!。
『私も欲しいですマスター』
さっき逃げたくせに何言ってんだ、当分は糖分抜きだ、なんちって
『……』
すみません。
『よろしい』
あれ?主従関係逆転してね?
「え?、ええ、そうよ、一応この前十王魔導士に任命されたわ、新米だけどね!」
「それでもすごいです!、私のあこがれなんです!」
「ルーシーちゃんならすぐなれると思うけどなあ、魔力量凄いし」
それは否定しない、ルーシーは俺の地獄の鍛錬のおかげで、並みの魔術師ならだれも敵わない。
リネル国で俺の次に最強の魔術師。『全属性帝王』
全属性の魔術を帝級まで扱えるという、前代未聞の話、それを知っているのは俺とカイエン叔父さんだけだ。
むやみやたらに使ったら目立ち、国に引き込まれるからだ、それを本人は嫌がった『お兄様と一緒に居られないなんてイヤです』と、なんて兄想いなんだろうと思ってしまったね、なぜ、前代未聞なのかは、簡単に言えば、そんなことほぼ不可能に近いからだ、この世界の魔術には階級がある、下から、初級、中級、上級、王級、そして一番上が帝級なのだ、ここだけの話、帝級より上の階級の魔術は『存在する』が、それを使えるのは、『神』か『俺』かだ。
なぜそんなものがあるのに、誰も使わないのかと言うと、魔力の消費量がバカなのだ。帝級が魔力消費量が100だとすると、上の階級の魔術は最低でも10000以上は必要だ。故に魔術を行使する前に魔力不足で、倒れるか、最悪回復しなければ死ぬというリスキーすぎる。
俺の場合、何千発撃っても、魔力は減らないと思うけど。
例え十王魔導士だろうが、SSS冒険者でも打つことは『ほぼ』不可能だ、『ほぼ』な。
『完全』な不可能ではない、限界を越えれば撃てる奴もいるんじゃないか?。
話が逸れたが、全属性の魔術を帝級まで使えるのはルーシー(と俺)だけなのだ、ナビさんにも確認済みだ
『そうですね、全世界を探ってもマスターか妹様しかいません』
あれ?十王魔導士に『賢者』いなかったっけ?その人なら使えないの?
『賢者はあくまで賢い者とかいて賢者と呼ぶのです、帝級は3属性は使えるそうですが、全属性とまではいきません、それにもうお年寄りなので、あまり戦いはできなくなってきているようです』
それでも3属性使えるのはすごいな。やはり老いには勝てないか。
『マスターには寿命は存在しませんがね……』
ナビが小声で言ったことは、レミルズの頭には聞こえなかったようだ。
「私、絶対十王魔導士になります!」
「うん!待ってるよ!(この子、下手すりゃ、エルフィ姉より強いんじゃないかな……)」
「お?話は終わったか?」
俺は話が終わるタイミングで二人に話しかけた。
「あ、はい!お兄様、私絶対十王魔導士になります!」
「そうか!お前ならなれるぞ絶対!(もう十分になれるしな)」
俺はルーシーの頭を撫でる、ルーシーは目を細めて嬉しそうにしている。
「あ、あの!」
「ん?どうした?アリスさん」
「むぅ~さん付けは禁止、同い年でしょ?!」
ぷくーっとほっぺを膨らませるアリス。いやぁ可愛すぎますね、はは、誰か殺してくれ!
「分かったよ、アリス、これでいいか?」
「うんうん!それでよし!、それで二人は、ここら辺に住んでるの?」
「ああ、ここの近くに住んでるぞ」
「ねえねえ、今度遊びに行っても?」
ワクワクしているアリスを見て俺は、(暇なのか十王魔導士!)と叫んでしまった
「あ、ああいいけど、あんまり、面白いのはないぞ?」
「いいよ、いいよ!、ルーシーちゃんとレミルズ君と、ちょ~っと摸擬戦したいかなって思ってるけど!」
「まあそれはおいおいな、これ住所な」
「わーい!ありがと!」
この子が獣人だったら、尻尾をぶんぶん振っていたことであろう。
「あ、そういえば二人は、明日から学校だよね?」
お、何で知ってるんだ?
「ああ、明日は入学試験があるらしいからな、ま、大丈夫だろ」
「はい!受かる気しかしません!」
「うん!私もだよ!頑張ろうね!」
「「おう!(はい!」」
ん?
「なあ、今私『も』って言ったか?」
「うん、だって同じ学校だもん!」
「「ええええ?!」」
今日一番の驚きだった、まさか同じ学校に行くなんて、ふふふこんな美少女と同じ学校なんてな。
『嬉しそうですねマスター』
ああ、バレた?
「まじ?」
「まじ」
「そ、そうか、まあお互い頑張ろうな」
「うん、頑張ろうね!(レミルズ君は特にね)」
俺はアリスと握手をして、また今度遊ぶという約束をして、家に帰り、明日の準備をする――
氷漬けになったおっさん?捨てましたよ?ゴミ箱に――