血濡れの美女1
『血濡れの魔女1』
8月頭、テストも終わり大学初の夏休みが始まった。
小学、中学、高校と違い約二ヶ月のまとまった休みになる。
友達と海や山に出掛けるも良し、花火にBBQ、海外旅行なんてのも良いかもしれない。
お金のためにバイトをする、将来のために勉強もありだ。
そんな中俺は一人かなり古びた、それこそ夜になると幽霊なんて類のものが出ても何ら不思議じゃない雰囲気を漂わせる家の前に立っている。
「こんばんはー」
インターホンを鳴らし、少し気の抜けた挨拶をする。
「こんにちはぁ、今開けるわねぇ」
そんな聞き慣れた優しい声とともに現れたのは、
俺からだと母親の母親、いわゆる母方の祖母にあたる婆ちゃんだ。
「久しぶりねぇ、さあ、お入り」
「お邪魔します」
ばあちゃんには仕事が忙しくて家にあまり帰ってこない両親に代わり晩御飯などをよく作ってもらった。
夏休みに入ったしせっかくだからと婆ちゃんに会いにきた。
「せっかく帰ってきたんだ、ゆっくりしてきなねぇ」
「うん、久しぶりだからちょっと散歩してくる」
「それならお爺ちゃんのお墓にも寄ってあげたら、お爺ちゃんも喜ぶわぁ」
「もちろん、じゃあ」
とりあえず爺ちゃんのお墓に寄るか。爺ちゃんは不思議な空気を纏った人だった。
小さい頃はよく遊んでもらったっけ。そんな思い出を振り返えりながら墓所までの道を歩いていると、
「うぅ……」
血だらけの美女が唸りながら地面を這いずっていた。