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第2話 カチュア・デイライト
生まれ変わり、なんてものが本当に起こるとは思わなかった。
気が付いた時、私は3歳くらいの少女だった。
だんだんと自己意識が芽生えてくる頃なのだろうか。
三年と少し生きた頃、ふと前世の記憶がよみがえってきた。
前世の私の名前は、ノエル。
今の私の名前は、カチュア・デイライト
「カチュア、どうしたの?」
「どうしたんだい?」
父と母の名前は、セルゲイ・デイライトとラナシェア・デイライト。
慈愛の感情をこめた笑顔を向けられた事は、前世ではあの時以来一度もなかった。
転生した私は、ごくごく一般的な普通の家庭で育っていたようだ。
「遊びつかれちゃったのなら、ベッドでおねんねしましょうね」
「明日もいっぱい遊ぼうな」
私は両親に抱きかかえられて、子供部屋に連れていかれた。
誰かに触れられたのも、前世ではあの時以来一度もなかった。