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第1話 転生前



 私は聖女だ。


 けれど、陽のあたる場所を歩く事ができない。


 聖女としての日々は、ただただ色のない、辛い日々だった。


 私自身は、誰からも求められない。

 大きな建物にに軟禁されて、私が持っていた力だけが求められる。


 私が外に出るのは、人類の敵である魔物を倒すために、力を行使する時だけ。


 私はずっと、どこかの建物の中の、小さな世界だけを見てきた。


 頑張れば、いつか自由になれる。

 諦めなければ、いつか外に出る事ができる。


 そう思っていたけれど、終わりは唐突に訪れた。


「もう用済みだ。役立たずの聖女」


 私は、価値がなくなった後解放されることもなく、屋敷もろとも運命を共にした。


 私は死んだ。


 そして、転生する事となった。



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