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私が守るもの  作者: 四ノ宮楓
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準備

 天上人の寿命は600年ほど。彼らはその長い一生のうちに3度ほど覚醒をおこす。普通、1回目は60歳頃。天上人にとっては第1次成長期みたいなものだ。


 生まれたばかりの天上人は人間の子供とほとんど変わらない。マグア耐性が弱く、よって多くのマグアを保持できない。


 天上人は生まれてから約60年の間に多くのマグアに触れ、魔力を発動して、体に耐性を作る。そうして頃合いになったら親が子供に本人のマグアを渡す。子供の体、つまり器に本来その子が持っている強力なマグアを吸収させるのだ。


 そこで免疫反応としておこるのが覚醒だ。いくら耐性をつけていても、子供が自身のマグアを受けいれることは容易ではない。全てのマグアを自分に取り入れるまで痛みと苦しみを伴う覚醒は続く。


 この第1次成長期が終わると子供がはようやく自分のマグアを全て持ち、そこから自分にあった魔力を使うようになる。


 覚醒はマグアが大きい人ほど辛く、その過程で過酷な状態に陥りやすい。天上人は病気にはならないが、この覚醒のためにマグアの大きい上流貴族たちは家にお抱えの専属医師がいるほどだ。






 アッシュは歩いてホテルに向かいながら凛々子のこれからを案じていた。


 今までの生活を捨てて、間違いなく凛々子はデュエルマルナに行かなければならない。制御訓練をしていないマグア持ちはその強力な力で地球を壊してしまうからだ。覚醒が始まったいうことはこれから凛々子は本来の自身のすべてのマグアを持とうとするのだ。今の凛々子のマグア耐性のない器では到底できないから、もっと大きな拒絶反応を起こすだろう。破壊力はより大きくなる。


 やはり天上人は地上にいてはいけないのだ。



 彼女にどこまでオレたちの話が通じるだろうか。そして第14部隊として彼女の対応をどうするだろうか。デュエルマルナに連れていくことは確実だが、前代未聞の存在である凛々子の、突然の覚醒という非常事態ゆえに準備不足は否めない。


 「やるしかねぇ、そのためにオレら2人ともいるんだ。」

 

 マグア量の大きい2人が同じ任務をしては勿体ない、と滅多に一緒の任務につかない2人が今回日本に派遣されている。第14部隊の筆頭隊員としてアッシュは意気込んだ。








 

 目を覚ますと昨晩の痛みが嘘のように消えて、体が軽くなっていた。若干のだるさは残っているがパブ〇ンを飲むほどではない。


 「やったー!!全然平気、アメリカ行けるわぁ!」


 俄然元気が出てくる。


 「よしよし、元気いっぱい!…ん?」


 起き上がって部屋の異変に気づいた。


 「きゃーーーーーーー!」


 ベッド側の壁に大穴が空いている。間違いない、昨晩の私がやったものだ。弟の部屋に貫通しているが弟の本棚の裏であったことがせめてもの救いかもしれない。


 私の声で家族が起きたのか私の部屋に向かってくる足音が聞こえる。ヤバい、隠さなきゃ!


 「おい、姉貴!」 「凛々子大丈夫!?」


 弟と母が同時に入ってきた。


 「あ、おはよう!!ごめんね、朝から大声出して。今日からアメリカだと思ったら嬉しくて。げ、元気になったし。」


 「…姉貴、何で起き上がってんのに毛布にくるまってんだ?」


 大穴の前に座って必死で隠した。


 「え、嬉しすぎて1人でハイテンションになってるだけよ!それより早く空港行く準備しないと!」


 「朝から大声出さないの!まったく。びっくりしたわ。でも、顔色は良くなってるみたいね。」


 「うん、だから早く、アメリカ行こ!」


 「はいはい。それじゃあ、朝ごはん用意してくるわ。」


 「ったく、人騒がせな。」


 2人とも部屋から出ていったのを確認してほっとする。改めて穴を見るとその大きさに落胆する。


 私、こんなに大きな穴開けちゃったんだ。これは隠しきれないな。…それにこれがあるってことは、夜の痛みは夢ではなかったんだ。あれはなんだったんだろう。


 不安と疑問を抱えながら、それでも楽しみにしていたアメリカに行けることを思い出し、頭を切り替えた。






(at airport)


 「おいお前、チケットちゃんと持ってるか?」


 「もちろん持ってますよ。はい、これお父さんの分。これは直樹で、はい、これは凛々子。」


 搭乗口に向かう途中でチケットをもらう。


 「うん、ありがと!って、うぇ、なんかこのチケット臭いよ〜。」


 機械から出たばかりだからチケットからかぎ慣れない臭いがする。


 「そうか?そんなことないけど…。それより、凛々子体調良くなったのか?」


 「え、ええ、とうさん。そんなに、悪くなかったしもうこんなに元気だから!心配しないでね。」


 あっ、またぶり返されるこの恥ずかしさ。


 「お前はまったく。昨日だってあんなに顔色悪かったのに。そーやって隠し事をするとな…」


 マズイ、続くぞこれは。


 「ん?あの人なんか言ってるぞ。」


 直樹グッジョブ!


 みんなが弟の目線の方を見る。そこには拡声器を持った職員いた。


 「みなさん!聞いてください!

 今朝、空港内で事件がありました。よってお客様にはお1人ずつ個室に入っていただき、身分確認をさせてもらいます。パスポートとチケットがあればすぐに終わりますのでどうかご協力お願い致します!


 みなさん!聞いてください!今朝…」


 なるほど、だから搭乗口付近があんなに無法地帯化しているんだ。私たちはそのまま指示に従い列に並ぶ。前回アメリカに行く時も空港でだいぶ時間をとられたが、今回はもっとかかるだろう。


 暇になって、家族で指スマなんかやりだした。スマホの充電を朝から減らしたくなかったし、4人でやると割と時間を潰せる。




 指スマの7回戦目が終わろうとした時、ようやく順番が回ってきた。


「こちらのお部屋にどうぞ。」


 4つの事情聴取部屋があり、私たち家族はそれぞれ別れて入っていった。


ありがとうございました!

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