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若気の至り ~1970年代から80年代にかけての戯れ言的詩集~

作者: Giya

2005年に書き留めた、1970年代に書いた当方の「黒歴史」である。

以下、原文ママ


----------


さて、DTIからこの掲示板は今月末までだよとの最終通告メールが

届きました。律儀というか、「最終通告」とはお約束通りですね。


で、こちらもお約束通り、これから書けるだけ、二十数年前に

書きためた「詩」を書き込んでいきます。

自分で名付けた「詩集」のタイトルは・・・長いですよ。


「A Midnight Collection of Poems

 -真夜中の詩集-

 又は、或る平凡な少年のひとりごと

 From me to myself or someone」


我ながら、恥ずかしいタイトルですな。まぁ、実際に若かったので

若気の至りということでご勘弁を。

これから、作成された日付別にアーティクルを書き込みます。

同じ日付で数編ある場合は、その間を3行ほど空けて書きます。

タイトルがついているものも、曲がついているものもありますが、

全体の中では僅かなものです。

最初に、日付を書き始める、つまり日記代わりにし始める前の

ものを1つのアーティクルで書きます。その後、暫く本猫なりの

「定型詩」が続きます。どういう「定型」かというと、ほぼ12行

の「本編」に、4行の「返句」が付属したものです。原稿では、

1ページの左・右で対になっていますが、此処では、2行ほど

空けて、「返句」を書くことにします。それでは、始めましょうか。

-----

いらない いらない

何もいらない

ただ

あたたかいあなたのぬくもりがほしい

愛してるなんて

いってくれなくてもいい

たたの友だちでいい

あなたのそばにいたい


-----


だれも知らない ぼくの世界

消えてしまいそうな 現実


だれも知らない ぼくの世界

その中では なんでもできる


あるとき

ぼくは学校にいる

現実の中で

夢の中で


授業をうけている しずかに けだるく

心がとぶ

あの人はいまごろどうしているだろうか

この現実の中に閉じこめられているのだろうか

それとも

ぼくみたいに

自分の世界でおもいっきり羽をのばしているだろうか


生きていることに疲れていないだろうか

こんな現実の世界だけでなく

自分の世界にだけ生きたいと思ってはいないだろうか

つらくはないか

この身体というよろいの中にいるのが


だれも知らないぼくの世界

ここではだれにもじゃまはされない

自分の生きたいように生きていける

それとも

生きてなんかはいないのかもしれない

さよなら・・・・・




1979.9.24


あなたの好きな人が 私でないとしても

私はあなたを忘れようとは思わない

あなたの好きな人が 私であったとしても

私はそれに答えることができない

私は臆病だから

この心の中はあなたへの思いでいっぱい

あなたのそばにいたい思いでいっぱい

だけど いいだせないまま

いたずらに2年の日々が過ぎ

あなたと私は別々の道を歩む

この先 二度と出会うことがなくても

私はあなたを忘れたりしないだろう



帰り道

あなたと話しながら歩く

ふとあなたを「女」として感じ

どうしようもなく抱きしめたくなる


-----


この歌を聴くたびに胸が痛む

まるで 私の人生を皮肉るようで

この歌を聞くたびに私は悩む

いままで来た道は果たして正しいのだろうか

自分自身に嘘をつき

時には他人を裏切り

自分の言葉も他人の言葉も信じず

ただ なにもせずに

それでも今は生きている

これからも生きてゆきたい

自ら人生を閉じることはしたくない

それは自分から逃げることになるから



幾晩か 眠れぬ夜が続き

悪夢にうなされて

ふと目ざめると

そこもまた悪夢の世界


-----


マイ・ランド

私の世界

マイ・インナースペース

私の宇宙

私は中心にいる

外に向かって手を広げる

世界は拡がり 宇宙はひろがり

私は小さくなる

星が見えてくる 地球が見えてくる

小さくなった私が 自由に生きる世界がある

なんでもある なんでもできる

他人には見えない 私の世界



なにもない

なにも見えない

なにも聞こえない

あるのはただ「私」だけ


-----


魂は 自由に世界を飛びまわっている

時々 小さな身体の呼び声に応えて

きゅうくつな部屋にとじこもる

がまんして ガマンして せまい所にじっとしている

自由にしゃべりたい うたいたい おどりたい

そんな想いをがまんして

なぜ そんな不自由な想いを受け入れるのか

それは この世に現れると

「愛」が まっているからだ 愛することができるからだ

でも 愛を信じない魂は

ある日 突然 身体から飛び出す 定めをまたずに

そして身体は ただのぬけがらとなる



人間の身体の場合は

無理やり魂をつかまえる

そして決してつかまらない魂がある

人間はそれを「神」とよんでいる


-----


人にはそれぞれ「道」がある

親が整地し 舗装した直線路の人もいれば

曲がりくねった 泥道もある

私は今 やぶの中

道を見失い 戻ることもできない

この先 どういったらいいのか 自分にも分からない

ただ 可能性は三つ

このまま さ迷い続けて 野垂れ死にするか

人を頼って別の道を見つけるか

それとも 自分で この先 「道」を切り開くか

最後が一番困難だが 一番いい方法だろう

ああ 今 私の隣で私を支えてくれるひとがいたら・・・・・



人が人生を送るのに必要なのは三つ

健全な自分と

しっかりした道と

よきパートナー


-----


春のにおい

ぽかぽかと心まであったまりそうな

干したふとんのにおい

夏のにおい

いきいきと動いたあとの

むんとするような汗のにおい

秋のにおい

さわやかな風の間にただよう

新しいたたみのにおい

冬のにおい

つんと鼻をさすような

レンタンコタツのにおい



ぼくの好きなにおい

夜風のにおい

コーヒーのにおい

そしてあなたのにおい




1979.10.2


7 電話

言葉にできない この想い

言葉にしたい この想い

できるならあなたに伝えたい

この想い

でも伝わらないまま

伝えたくても伝わらない

この口がうらめしい

いいたいことがいえないじゃないか

いたずらに時が流れて

沈黙が続くだけじゃないか

そして なにもいえない私に向かって

あなたはだまって 電話を切った



なにもなかった

結局 なにもなかった

終わることはわかってた

こんな私だから


-----


人間って なんですか

それは男と女

愛に生き 愛に死ぬ

そんな悲しい生き物

男ってなんですか

それは希望を持った

夢に生き 夢に死ぬ

そんな他愛のない生き物

女ってなんですか

それは仮面をかぶって

やさしさと冷たさの

二つの顔を持った生き物

愛ってなんですか

それは人生

たが為に生き たが為に死ぬ

人間という生き物の・・・・・



おれってなんだろう

それは・・・・・

なんにもない けど

ただここに「ある」




1979.10.21


この心のさびしさをうけとめてくれるひとよ

この心のむなしさをうけとめてくれるひとよ

この心に安らぎを与えてくれ

この心に幸せを教えてくれ

この心のままに生き

この心のままに死ぬ

そんな私につきそってくれるひと

きみはいつ私に気がついてくれる

きみはいつ私を認めてくれる

ああ

きみの心の中まで 入り込みたい

秋の午後


-----


10

ある日少年は街を出ていった

ふいに気まぐれに街を出ていった

帰るつもりはとうになかった

生きてくつもりもとうになかった

明日を見つめる勇気もないのに

昨日を見つめてため息をつく

そんな自分にいや気がさして


街を出て知った いろんな人生

きびしくつらい いろんな人生

帰るところもない人たちが

生きていくことにしがみついていた

明日をせいいっぱい暮らすために

昨日を忘れて明るく笑う

そんな人生をたくさん知った


ある日少年は街に帰ってきた

ふいに気まぐれに街に帰ってきた

これからつらいこともわかっていた

逃げ出すつもりはもうなかった

明日を見つめて切り開いて行く

昨日たどった所はもうくやまない

そんな自分の道を見つけて


-----


11 電話 PartⅡ

あなたに電話をかけました

一日遅れで電話をかけました

昨日は出てくれなかったあなたが

今日はやっと出てくれました

私はあなたと話すことがなくて

わずかな話題で引きのばす

あなたはひととおり返事をしてくれるけど

なんとなく冷たいようで

バカな私はやっと気がついて

どうしたのってききました

もう電話はかけないでって

あなたは冷たく言い放した

私はなにも言うことができなくなって

だまって電話を持ったまま

気まずい沈黙のあと あなたは

さよならもきかずに電話を切りました


-----


12

ものを壊すのはたやすい

だが ものを作るのはむずかしい

たとえば自然

人間は自分を作り出してくれたものを

自分勝手に壊す

でもそれは決して作り直すことはできない

そして人間もそのために壊れる

たとえば愛

人間は大事に育ててきたものを

かえりみもせずに壊す

でもそれは決して作り直すことはできない

そして男と女もそのために壊れる


-----


13

子供はだれでもたくさんの宝物を持っている

めんこ ビー玉 けんかごま

でも一番大きな宝物は「夢」だ

そして子供は大きくなるにつれて

たくさんの宝物をなくす

パチンコ おはじき お人形

でも一番大きな失し物も「夢」だ

大きくなってくると

一つ一つの大事な大事な夢が

もろくもくずれさる

そして夢の後に現実がたちはだかる

でも大きくなってからも時々「夢」を見ることがある

しかし 人々はそれを「まぼろし」と呼ぶ


-----


14

都会に初雪がふる

君と別れたのも今頃だね

落ちては溶ける淡い雪を

君は手のひらにのせてみた

みるみる溶ける雪をみつめながら

君はぼくに行った さむいって

心のさむさを感じたんだね

すきま風がふきだしたことを

君もぼくもよくわかっていた

落ちては溶ける淡い雪に

二人の姿を見ているようで

離れていくだけの二人の心を知って

ぼくは君に言った お別れだねって

もうつなぎとめることもできなかった

都会に初雪がふる

君は今頃どうしているだろう

落ちては溶ける淡い雪を

ぼんやり見ながらふと思った

さよなら ぼくの初恋のひと


-----


15

だまって時の流れに身を任せて

生きていくことになれ過ぎてはいませんか

それでいいんだという人もいるだろうけど

ばくはそうは思わない

自分で流れを変えることもできるはずだ

生き方はそれぞれにあるはずだ

このままですむと思うな すませるな

途中でくじけちゃいけない つき進め

たとえ たおれたっていいじゃないか

自分の道ができたなら




1979.11.4


16

満月の夜

雨にぬれた街

満天の星

暗く閉ざされた空

むなしく過ぎる日々

貴重な時間が

みるみる間に流れていく

これでいいんだ

おどろくことはないさ、いまさら

俺たちゃ人間なんだから

ほんとのことなんかわかりゃしない


-----


17

このごろなぜかさびしくて

さびしいくせに強がって

友達につらくなんかあたって

どんどんあいだが遠ざかって

先が見えてくるような気がして

新しい友達なんか作れなくて

悲しくて さびしくて

それでも言葉は強がって

冷たく傷つけるようなことしか言えなくて

やることなすことみんなむなしくて

全然意味がないような気がしてきて

新しいことなんかなんにもできなくて

悲しくて さびしくて

それでも言葉は強がって


-----


18(事情により欠番)




1979.12.9


19

むなしさに包まれた現実と

楽しさに包まれたまぼろしと

あなたはどちらが好きですか

悲しみに満ちた世の中と

喜びに満ちた世の中と

あなたはどちらが好きですか

 逃げ出したくはないですか

 自分の中に閉じ籠もりたくはないですか

 答を聞かせて下さい

 私にもわかるように

むなしさに包まれた現実と

楽しさに包まれたまぼろしと

あなたはどちらが好きですか


-----


20

さて

これからどうしようかな

今日も一日 生きてしまったし

明日も多分 生きてるんだろうな

あ、日付が変わっちゃった

また新しい一日が始まるんだな

なんか感激がうすいんだよね

さて

これからどうしようかな

今日も一日 生きていくんだろうな

明日も多分 死なないんだろうな

ああ つまらないな

一日一日 時が過ぎてゆくんだけど

なんか感激がうすいんだよね

さて

これからどうしようかな

今日も一日 これから始まるんだし

明日も多分 続いてゆくんだろうな

あ、テストが始まるんだ

現実きびしい状態なんだけど

なんか感激がうすいんだよね

さて

これからどうしようかな・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・

もうねようか・・・・・




えっと、とりあえず今日はここまで。

1979年分もここまでです。1979年・・・25年前、ですか。

感慨深いですね。

ちなみに、この「詩」達は、断続的に1982年頃まで書かれて

いました。もっと後のもありましたが、既に散逸しています。

全部で100編位になりますでしょうか。八十数編は番号が振って

あります(表示してます)が、何編かは諸般の事情により欠番

となっています。正確には、原稿をノートに纏める際に、わざと

欠落させたもので、今となっては本猫にも何が書かれていたのか

記憶にないものです。多分、その頃の自分でも恥ずかしいもの

が書かれていたのでしょう。

では、また。此処が稼働しているうちに。




さて、諸般の事情で1日間が空きましたが、続けるとしましょうか。

今晩は、1980年です。或る意味、一番色んな事があって、一番人生

の「分岐点」があった年です。振り返ってみれば、ですけどね。




1980.1.29


21

満天の星

ひっそりと静まり返って

よどんでいる空気

見上げれば星

ときおり通り過ぎる

かすかな風と影

消えていく星

プラネタリウム

真昼の街の夢


-----


22

1963年 3月31日 午後4時55分

1980年 1月29日 午後10時15分

ぼくのいままで生きてきた時間

そのあいだ いったい何をしてきたか

回り道ばかり

いまさら悔やんでもしかたのない

一方通行の分かれ道

なにげなく生きてきた時間

なにもしていないようで、他人が見たらどう思うか

これがぼくの人生か

軌跡をたどるとわかるのか

これがぼくの個性か、人格か、

目標は?目的は?

これから決めることばかり

無意味な時は過ごしたくない

一分一秒は大切に生きて行きたい


-----


23

あなたはもう家に帰りつく頃ね

私はまだ 電話ボックスの中だけど

あのひとと一緒なんでしょ、今夜も

私はまた 一人きりになったわ

今度も また 私のことなど忘れて

遊びまわったあげくに

私のところへころがりこんでくるつもりでしょ

でも今度はそうはいかないわ

私は今夜 都会を出るつもりだから

あなたはもう家に帰りつく頃ね

私はまだ 電話ボックスの中で

私はまた 泣くでしょう


-----


24 ホームにて

人混みの中をかき分けて

電車がホームにすべり込む

はき出される人の間をぬうように

人々は黙々と電車にのりこむ

毎日毎日 生きるために

生活のために 労働のために

勉強のために 人生のために

それぞれの思いを胸に秘めながら

つらいだとか 苦しいだとか

一言も もらすことなく ただ黙々と

人混みの中をかき分けて

電車がホームにすべり込む

のみこまれる人の間をぬうように

人々は黙々と歩き出す


-----


25

一人寝のさびしさを知っているのは

人の肌のぬくもりを知った人だけ

愛した人と1つになって

おたがいの生命の息ぶき感じて

そして別れを知った人だけ

別れのさびしさを知っているのは

人と愛しあったことのある人だけ

愛した人が冷たくなって

違う人のにおいをただよわせて

そしてさびしくひとり寝るだけ


-----


26

どうせ人生なんてこんなものさ

おいらにゃこの方が似合ってる

ボロボロズボンにヨレヨレコート

ほころびだらけの地下足袋はいて

右手に新聞紙 左手にゃ焼酎

地下道おいらにゃ住みよいぜ

どうせ人生なんてこんなものさ

おいらにゃこの方が似合ってる

金ないときはアオカンして

気がむきゃ日やとい労働者

金ありゃ安い焼酎を

たらふく飲めばこの世は天国さ

どうせ人生なんてこんなものさ

おいらにゃこの方が似合ってる


-----


27

人生よ とまれ! 恋の道 とまれ!

まっかに燃えるこの時でとまれ

この時を生きぬくには恋しかないと

言ってみたってなんになる

恋してみなけりゃ なんにもならぬ

できるだけ恋して できるだけ悩んで

「青春」がすぎるにはまだ早すぎる

人生よ とまれ! 恋の道 とまれ!

まっかに燃えるこの時でとまれ!




1980.2.24


28

煙草の煙をくゆらしながら

じっとみつめているあなた

わたしをみつめたまま

何時間でもそうしている

なにかいってほしい

このまま別れてゆくのはいや

あなたの気持ちがわからない

煙草の煙をくゆらしながら

そっとでてゆくあなた

さよならの一言ものこさないで




1980.2.29


29

ひなびた駅の

ホームのはずれに たたずんでいる

そんな思いが

心の中をよぎる

都会の雑踏の中で

流れに身をまかせながら

そんな思いが

心の中をよぎる

もう南風が春をすぐそこまで

運んできているというのに

秋の心の中では

北風がふきあれる

青春はすぎていった

もう春はこない

夏がすぎ 秋がすぎ

心の中は 冬


-----


30

真夜中近くの 地下鉄は

歩き疲れた人がいる

人もまばらな ホームには

時を忘れて 燈がともる

一日の終わり 一日の始まり

真夜中近くの 地下鉄で

最終をまつ 人の群れ


-----


31

プカリ プカリ

風にのり

プカリ プカリ

ゴムふうせん

プカリ プカリ

一息ごとに

プカリ プカリ

たばこのけむり

すんだ青空に

白い雲

赤いふうせん

すんだ空気に

白い煙

赤い火先

よくはれた日曜日

川辺の親子連れ

プカリ プカリ

プカリ プカリ

ふうせんと煙


-----


32

あなたと暮した 青春の日々

過ぎさってゆく 青春の日々

夢みた季節は

もうすぐ終わりを告げる

最後までわかりあえそうにはないけれど

思い出はのこる

あなたと暮した青春の日々

過ぎ去ってゆく青春の日々

そしてもう一度

春をまつ




1980.5.24


33

心の中に とげがひとつ

やがてとげは成長して

はりとなり くぎとなり

そして小さなナイフになった

小さなナイフは切りさいた

まだ見ぬあの人の心を

そしてあの人は去り

小さなナイフは行き場を失い

心のひだにとけこんだ

ナイフはいつも

ぼくの心の中にある


-----


34

ああ この街にもいられなくなった

ぼくの眠れる場所はどこにあるのだろう

この街にさまよい着いた時もまた

ぼくを見つめる目は冷たくさしこむよう

それでも 今度こそはと思っていたんだ

普通にふるまっていたつもりだた ごく普通に

それでも 人は戸びらを閉ざし 心を閉ざし

ああ この街にもいられなくなった

ぼくの眠れる場所はどこにあるのだろう


-----


35

今年の夏の先発隊が来た

今年の梅雨は早く来て長くなるそうだ

今年は水不足は心配ないそうだ

今年の夏はあつくなるそうだ

春が来た 春が来た なんて

言ってるうちに通り過ぎて

あっというまに夏が来る

いっそこのまま夏が去り

秋になればとわがままをいう

「今日もあついね」なていってらんないよ

はやくすずしくなればいい

去ってしまえ 恋人たちの季節


-----


36

季節の変わり目に雨が降る

季節の変わり目に風邪をひく

雨の日に鼻をすすりながら本を読み

はれたと思ったらせきが出る

そのうち また雨がふりだしてきて

よみかけの本をいじくり回して

はやくはっきりした天気になりゃいいのに

なんて思ったりして

そのうちに 風邪薬で自分をごまかしてるうちに

わっと気持ちわるいくらいにはれ上がる

そう、「上がる」んだ 実際

おそろしいくらいに高く青い空を

ぽつんとさみしそうに小さな雲が1つ

そのうちにそれも消えて


季節の変わり目に雨が降る

季節の変わり目に風邪をひく

一年中うすぐもりだといいんだけど

なんて思ったりして そのうちに

コンと1つ せきがでる


-----


37

17才の この時を

なにに かけよう

「青春」 なんてつかみどころのないものを

いったい なににかけよう

これから先 一生のことを

なぜ、「今」 決めなきゃならないんだろう

「青春時代の思い出」

そんなものを何か残してみたい

「受験」なんて悪魔につかまりたくない

17才の この時を

なにかにぶつけてみたい

不完全燃焼で終わらないうちに




さて、1980年前半戦終了です。この後、日付のないものが3編ほど

あり、その後、本猫にとってとても「つらい」ものが続きます。

ということで、今晩はこの辺で。

ちなみに、この頃から今のカミさんとは知り合いでしたが、

カミさんが「詩」の「対象」になったことは一度たりとも

ありません。(本当)

何せ、その頃の本猫の「好みのタイプ」は、カミさんとは全然

違いましたからね(苦笑)




1980年 幸せな日々


38

男が涙を見せる時は

めったにないというけれど

男は涙を見せぬものだと

誰かの話に聞いたけれど

男が泣いてなぜ悪い

俺だって泣きたいさ 思いきり

だけど 泣いてちゃ みじめになるだけ

俺は男 涙は見せられない


-----


39

ほれたかな

そんな気がする

ほれたかな

そう思う

ほれたかな

思い出すたび

ほれたかな

あの娘が恋しい

こんな気持ち

初めてじゃないけど

感じるたび

心がさわぐ

ほれたかな

そんな気がする

ほれたかな

あの娘に


-----


40

青春ってゆう時は

人生の朝

一分一秒が

貴重な時間

この時が永遠に続けばって

みんながそう思う

人生の黄金の時




1980.8.6 残酷な日々


41 予 感

元気ですかと 書いてみた

ふざけた言葉の中で ただ一言

マジになって書いてみた

あいつはこれを読んでどう思う


元気ですかと、知らない仲じゃないのに

おい、元気かよと、どうしても気やすくなれなかった


あいつはいったよ、

「友達以上、恋人以下」ってさ、

俺は返す言葉がなかった


このあいだ会った時も、

ただの知り合いとしてのハナシしか・・・・・


それでも

元気ですかと

元気でいてくれと

自分を大事に生きて行けと

俺はいいたい


-----


42

せめて今は笑っていたい

あなたが見えなくなるまで

せめて今は笑っていたい

あなたが幸せになるまで


あなたに初めて会った日に

伝えておけばよかった

ひと目みたそのときからあなたを

愛してしまったと

でもあなたは私の心に

気づきもしないで

あのひとと あのひとと

去ってしまう


せめて今は笑っていたい

あなたが見えなくなるまで

せめて今は笑っていたい

あなたが幸せになるまで


あなたを知って一月目

今日こそはと思って

あなたに心を伝えたくて

電話をかけた

でもあなたはわたしを友達として

そう ただの友達としてしか

見てくれない


せめて今は笑っていたい

あなたが見えなくなるまで

せめて今は笑っていたい

あなたが幸せになるまで


-----


43 ぐ ち

あの日は朝からコンサートの準備で

忙しそうにみんな動いていた

俺はなんにもすることがないのに

イライラして動きまわっていた

午後から雨があがってさ

人がいっぱい来たときは

実際びくりしてさ

あがっちゃったんだよね

だから あいつの顔をみつけた時は

ホッとして 安心して

ああ、見に来てくれたんだなって

・・・・・うれしかったんだよな

でもさ、あれはないよな

俺、自分が出て歌ってるとこさ

見せたかったのにさ

知らない間に 途中でぬけ出してさ

帰っちまうんだもんな

聞かせたかったのにさ

俺さ、めいっぱい気持ちこめて歌ったんだぜ

せめて、俺達のステージが終わるまでよ、

待っててくれてもよかったんじゃないかな

おつかれさまのひとことぐらい

かけてくれてもよかったんじゃないかな

仲間に紹介もしたかったしな

こいつはいいやつだぜって

胸はって紹介したかったんだけどな


まあ いいや もう終わったことだぜ

いつまでぐちってもしょうがねえや

もうねるか・・・・・ねむくもねえけど・・・・・


-----


44

おれ

髪を切った

今までのことをすべて忘れるつもりで

おれ

髪を切った

あいつのことをふっきるつもりで

おれ

髪を切った

過去の自分を捨てるために

おれ

髪を切った

今日から生まれ変わるために

おれ

髪を切った

でも忘れられなかった

おれ

髪を切った

でも昔のまんまだった

おれ

髪を切った

でも おれはおれ




1980.8.15


45

今年は夏はこないのかと

思っていたら急にあつくなった

今、思い返してみたら

夏の始めにえらいこといってた

俺の一言

あれからもう2月半余り

いろんなことがあって

恋もして 友達もふえて

ついでに夏が終わるまえに

失恋までしちゃった

時のたつのなんて早いもんだな

でも 今年の夏はまだまだこれから

なんて言っても、さ・・・・・・

空しいよな

今年の夏は 忘れられそうにない


-----


46

でも安心したな

あいつは前のまんまみたいで

明るい顔で笑ってさ

仲間もふえて

これからたくさん恋もして

きっといい娘になるさ

俺がほれた娘だもの

そっと見守ってるつもりだぜ

これから先

もし どこにも行き場所がなくなって

まだ 俺のこと覚えてたら・・・・・

俺は待ってるつもりだぜ

まあ

こんな野郎は忘れた方が

身のためかもな・・・・・

・・・・・・・・・・

忘れてくれ・・・・・俺も忘れたい・・・・・




1980.8.16


47

きみはどこを見てるの

だれのこと見てるの

ぼくのことじゃないの

きっとあいつのこと考えて・・・・・

きみの視線を追うと

いつも必ずだれかが

きみの目の中で 笑ってる

きみはだれが好きなの

だれのこと 愛してるの

ぼくの心の中で きみが笑う

ああ

きみの目をみると

ああ

ぼくの心がゆれる

あいつのことを

好きなら好きと

はっきりしてほしい

でないとぼくは

きみのことを 好きになりそうで・・・・・


-----


48

日に焼けた肌に

少し汗を浮かべながら

彼女はたたずんでいる

擬留間は活発な女の子が

今はしっとりと女っぽくみえる

煙草をくわえた顔が

妙に色っぽくみえる

こんな気持ちは

酒のせいだけではごまかせない

昔 こだわっていたことが

今はもうないせいかもしれない

向こうはどう思っているか知らないけれど

いい女だぜ 彼女




1980.8.21


49

幸せそうな人々が

手をつないで歩いていく

そぼふる雨の中で

ぼくは一人 たたずんでいる

あいつのことを考えたくて

家を早く出てきた

今 一人きりでいると

あいつは ぼくの中で

大きな影を落としている

あいつのぬけたあとの

心のすきまは大きすぎて

とても一人じゃうめられないくらい

だれか

だれかぼくに力をかして


-----


50

夕暮れ時の砂浜のぬくもりは

あの人の肌のぬくもり

夏の終わりの浜辺に一人

赤く燃える空

もう弱々しくみえる太陽に

ひっそりと静かに

赤く燃え上がる炎

夏の想い出を燃やしている




48番、番号抜けちゃいましたね(^^;補って読んで下さい。

さて、この「残酷な日々」のあと、暫く間が空きます。

そして、作風も微妙に変わっていきます。

高校3年生だったんですよね、考えてみれば。

その後、滑り止めの大学しか合格しなかった本猫は、

専門学校に通ったのですが、その頃からまた作風が

変わっていきます。そして、今に至る「分岐点」を

多数選択していったのも、この時期です。

ちなみに、カミさんにとって本猫の専門学校時代は、

「ブラックボックス」、つまり一番本猫を知らない

時期だそうです。こちらから見てもそうなんですけどね。

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