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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第3章
98/330

98 武器屋の店主

ブックマーク登録ありがとうございます。

「それじゃあ、何か依頼を受けますか?」


「この町はどんな依頼があるんですか。」


「そうですね。討伐依頼はランクD~Fが中心ですね。採取系の依頼は薬草や鉱石などですね。ランクはEとFがほとんどですが、毒の平原での採取はCです。あとは護衛の依頼とかです。」


「毒の平原ですか。」


「ええ、ここから東に2日のところに美しい平原があるんです。貴重な薬草が多数自生しているんですが、平原に生息するモンスターのほとんどが毒を持ってるんです。それで、毒の平原と呼ばれるんです。」


 なんとも物騒な平原である。毒持ちのモンスターの跋扈する平原か。

 ん?まてよ。俺は毒が効かないから、いい薬草の採取場になるんじゃないか?


 などと考えていると、アンから注意を受ける。


「千波矢さん。ダメですよ。あの平原のモンスターは毒がなくても十分強いのが多くいますから。」




 とりあえず、俺は討伐依頼を1つ受けた。


 討伐依頼 ランクF


 突撃ひつじ 1匹 500ゴールド



 この依頼を受けた理由は簡単だ。羊の肉が美味しいとアンが言ったからだ。羊毛もお金になるらしい。しかも、それほど強くないと。まさに一石三鳥の依頼だったからだ。ここから3日ほど南に行った平原に生息しているそうなので、普通の冒険者は肉を持って帰ることは難しいが、俺は魔法のカバンがあるので楽勝だ。こうしてみると、この魔法のカバンも十分チートアイテムのようだ。


 冒険者ギルドを出て、次に向かったのは武器屋だった。俺の武器である棍棒が少しガタが来ていた。俺は、とりあえず全力でぶっ叩いているだけなので、消耗は激しいかったようだ。アンは武器屋の主人と知り合いだった。アンの大剣もここで購入したそうだ。


「宿屋、武器屋、道具屋などは冒険者繋がりで、仲がいいんです。武器屋の主人もよくうちの食堂に飲みにみてましたよ。よくお父さんと飲み比べをして負けていました。」


 そう言われていたのだが、武器屋に来てみてびっくりした。武器屋の主人はドワーフである。俺のイメージではドワーフは酒に強いのだ、この世界では違うのだろうか。


「おう、いらっしゃい。マスクデスのとこの嬢ちゃんじゃないか。帰ってきたんだってな。それで、どうしたんだい。大剣に問題でも発生したのかい?」


 店主のドワーフはアンに気さくに声を掛けてきた。


「おじさん、こんにちは。今日は千波矢さんの武器を見繕ってほしくてきたの。」


「誰だい。この兄ちゃんは?・・・もしかして、噂になっている嬢ちゃんのフィアンセかい?」


「まだ、フィアンセじゃないです。」


 アンが真っ赤になって否定する。


「『まだ』ってことはそのうちなるかもってことか。」


 店主のドワーフは意地悪そうに言う。アンは真っ赤になったまま黙り込む。

 ドワーフの店主は「ガッハッハ」と笑うと俺の方を向き、話しかけてきた。


「おう。俺がこの店の店主で鍛冶師のザイルだ。よろしくな。」



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