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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第3章
94/330

94 二日酔い

 お腹が空いた。昨日の歓迎会では代わる代わる人が挨拶に来たため、ほとんど食事をすることができなかった。その代わり、お酒は死ぬほど飲まされた。18歳の俺は日本ではもちろん酒を飲んでいなかった。こちらの世界に来てから少しは酒を飲む機会があったが、こんなに飲んだのは初めてだ。そのため、今は絶賛二日酔い中である。この世界では15歳で成人のため、酒も15歳からOKである。




「なあ、D(ディー)。二日酔いに効く薬とかあるかな?」


「・・・酔い覚まし薬、高解毒薬、万能薬が効果があります。高解毒薬、万能薬は完全に回復します。酔い覚まし薬は効果が低いです。」


「高解毒薬のレシピは?」


「・・・材料はリース草×2と水が必要です。詳しい調剤の仕方は・・・。」


 リース草2本と水か。これなら材料があるな。いくつか作っておくか。俺は魔法の調剤器具と材料を取り出し、高解毒薬を作る。そして薬を服用すると、一瞬で二日酔いから回復する。お腹は空いたままなので俺は食堂に向かう。



 食堂では数人の人が食事を取っていた。マーサさんや店員がきつそうに働いている。おそらくお酒が少し残っているのだろう。


「おはようございます。朝食をいただけますか?」


 俺がマーサさんに挨拶をするとマーサさんはびっくりしていた。


「あら、大丈夫かい?昨日部屋に戻る時はかなりきつそうだったけど?」


「二日酔いの事ですか?それなら、薬を飲んだら治りました。」


「酔い止め薬かい?よくそれで治ったね。」


「いえ、高解毒薬です。」


「高解毒薬!そんな薬まで作れるのかい。凄腕って手紙に書いてあったけど、本当みたいだね。もし残っていたら、いくつか売ってくれないかい?」


「いくついります?お代はいいですよ。」


「そうかい。助かるよ。それじゃ、3つ貰えるかい?私とアンとそこのチーフ用に。」


 マーサさんが指さした方を見るとひと際辛そうな女性が働いている。あの人は確かに必要そうだ。・・・そういえば、マスクデスさんもかなり飲んでいた気がするが。


「旦那さん用はいらないんですか?」


「ああ、あの人は酒好きのドワーフ並みに酒が強いから大丈夫よ。」


「わかりました。」


 俺は高解毒薬を3つ渡す。マーサさんはさっそく自分で1つ服用する。そして、チーフを呼んで1つ渡す。彼女もすぐに服用する。二人の顔色がみるみる改善する。


「さすが凄腕の調剤師だね。」


 マーサさんは凄く感心している。そして、最後の1つを俺に返してきた。


「えっと。」


「アンに渡してきてくれない?部屋はあなたの部屋の隣よ。その間に二人の食事を用意しておくわ。」



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