8 洞窟からの脱出
「さて、出口をさがすか。」
俺は歩き出した。最初はすぐに出れるだろうと思っていた。
しばらくたって、考えを改めた。この洞窟はとても広い。すでに2時間近く歩いていると思うが、まったく外に出れる気がしない。というか、すでに迷子である。
「この道は通った道かな?困ったな。全然わからない。
なあ、D、ここがどこかわかるか?」
ダメ元で聞いてみたら意外な答えが返ってきた。
「・・・現在、この洞窟はマッピング中です。マッピングの範囲内であれば、地図を用意できます。地図が必要ですか?」
「頼む。」
すると頭の中に今まで行った範囲の地図が表示された。これがあれば、何とかなりそうだ。
【大いなる辞典】はさすがにランクAのスキルだ。
俺は再び出口を求めてさまよいだした。
「どうしてこうなった?」
現在、出口は見つかっていない。地図を手に入れ2時間後、俺は途方に暮れていた。探索していないところは残り1カ所だけだった。
「なあ、D。後、探索していないのはここだけだよな。」
「・・・はい、そうです。」
俺は目の前にある通路を見つける。その通路は水没している。俺は泳げないことはないが、どこまで続くかわからない水路を潜水して進むのは気が引ける。
「なあ、D、もう一度聞くぞ。探索していないのはここだけか?」
「はい、そうです。」
「ラインハット。あのバカ神め。こんなところに転移させやがって。」
俺はラインハットからの助けを期待したが、助けは今のところ来ていない。おそらく来ないだろう。俺はラインハットを恨まずにはいられなかった。
このままだと、俺は餓死するしかない。俺は意を決して飛び込んだ。
幸運なことに水温はそれほど冷たくなく、透明度も高かった。
どんどん泳いでいく。水路はしばらくすると湖底にでる。上を向くと日の光が見える。あと少しだ。俺は浮上する。だんだん息が苦しくなる。限界に近い。
俺はぎりぎりで水面に顔を出す。新鮮な空気をいっぱい吸い込んだ。後は岸までたどり着けば助かる。体力は限界だった。岸辺にたどり着くと俺は何かを掴むと這い上がった。
「きゃあ。」
悲鳴が聞こえた後、何かが池に落ちる音がした。
しかし、俺はそれどころでなかった。陸地で息を整える。何とか助かった。
「なにするんですか。」
声の方を向くとびしょ濡れの少女が立っていた。