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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第2章
79/330

79 フミヤに対する噂

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「明朝、島への上陸作戦を実施する。まずは龍王騎士50名と聖堂騎士50名、魔術師5名で島の西部に上陸する。残りは海上で待機。上陸班は速やかに上陸地点の安全を確保を行う。その後、残りの部隊が上陸し、島での拠点を築く。」その後はその拠点を起点として、島内のアンデッドを討伐していく。」


 クリス王子の作戦を全員が聞いていく。前回、失敗しているために、今回は最強の騎士団、龍王騎士団の半数を連れてきている。それでも、油断はできない。前回の討伐作戦では上位アンデッドだけでなく、最上位のアンデッドも確認されていた。また、未確認ながら未知のアンデッドもいるとの報告もあった。


「いいか。今回の目的は数を減らすことだ。制圧が目的ではない。前回の掃討作戦では、島の東側に強力なアンデッドが多数存在した。討伐部隊は西側でアンデッドと戦うように。危険と判断すれば、すぐに撤退する。引き際を見誤るなよ。」



 続いて、各部署からそれぞれ報告があがる。


「龍王騎士は全員、聖もしくは火属性の攻撃方法を持っています」


「聖堂騎士は全員、回復魔法(ヒーリング)聖なる光(ホーリーライト)を使えます」


「近衛騎士には全員、聖属性の武器が貸与されていますが、その他の騎士は通常の武器を装備しております。」


「兵糧は問題ありません。高回復薬、万能薬、精神安定薬はすべて500程用意できています。」


 その言葉に、クリス王子が感心する。


「急な作戦だったが、良くそれだけの数をそろえられたな。」


「はあ。実は千波矢様が調剤をできると聞き、依頼したところ、2日で各300ずつ調合されまして・・・。」


 それを聞いたクリス王子は唖然とする。通常、1日に10個も作れたら十分な腕だ。300×3=900。千波矢は2日で900個作ったのだ。


「そ、それはすごいな。千波矢殿には後で恩賞を与えねばならんな」


「はあ、それと、千波矢様と同行されているフミヤ様からこれを・・・。」


 そういうと、クリス王子に紙を渡す。クリス王子は怪訝そうな顔をする。エルフの貴族、フミヤとは会ったことはないが噂は十分聞いている。


「弱い1000歳を超える化け物エルフで常識があまり通用しない」


「貴族のくせに王の招集を無視する不届きもの」


 などである。あまりいい噂ではない。クリス王子は渡された紙を見て呆れる。



 請求書 

 銃弾 3000発  30000ゴールド

 ブレイブルク武器屋



「・・・・・・・何だこれは」


「はあ、『急だったんで都合がつかなかった。立て替えよろしく』だそうです。」


 周りの者は王子は絶対激怒すると思った。彼は不正を嫌う。フミヤが千波矢の名を借りて王子にたかったと思ったからだ。ところが、王子の返答は皆の期待を裏切るものだった。


「フミヤ伯爵にはこの代金は戦場で返還するように伝えよ」


 王子は許可したのである。しかも、フミヤ伯爵?ほとんどのものがフミヤの正体を知らなかったのだから無理もなかった。


「しかし、不義理をするような人物ではない。彼は変わってはいるが筋の通った立派な人物である。」


 これがクリス王子が聞いた、フミヤに対する噂の一つだった。



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