78 ブレイブルク
王国の東にブレイブルクという街がある。巨大な外壁跡がある街で大昔は要塞都市であったのではないか、とも言われている。国境からも離れ、外敵からの脅威が皆無であったため、壊れた外壁はそのまま放置されている。現在、この街の周辺ではアンデッドによる被害が多発している。そのため、周りの町と比べると格段に安全なこの街に、周辺の住民が避難して来ている。
現在、ブレイブルクには王国騎士500名、聖堂騎士団50名、神官10名、魔術師10名が駐留している。王国騎士の中には近衛騎士50名と龍王騎士50名が含まれている。目的は東のアンデッドン島のアンデッド討伐作戦である。これはモンスター討伐作戦としては破格の戦力である。
千波矢たち5名もブレイブルクに来ていた。この討伐作戦に参加するためだ。最も、戦力として数えられているのではなく、島の探索メンバーとして、勇者の情報を探すためだ。
ブレイブルクに着いて3日経つ。千波矢たちは現在待機中である。周囲のモンスターと島から渡ってきたアンデッドを騎士団が討伐しているからだ。「実戦経験を積みたい」とソフィアは騎士団に同行して戦っている。
残った俺達はそれぞれ時間を潰して過ごしている。アンは教会でリリアに聖なる光を習っている。リリアも神官として討伐隊に選ばれていた。フミヤは「ちょっとでてくる」といって昼間はどこかに行っている。自由人のフミヤを縛ることは王子にもできないみたいだ。ギルは王子の口利きで龍王騎士に訓練をつけてもらっている。毎日、帰ってくるたびに全身に小さな傷をつけている。暇な俺は高回復薬と万能薬などいくつかの調剤を頼まれた。急な討伐計画だったため、十分な量を確保できなかったそうだ。原材料は軍持ちということで、俺はせっせと薬草は作っている。
「クリス王子、ブレイブルク周辺のモンスター、およびアンデッドの討伐は完了しました。」
「ご苦労。それでアンデッドの内訳は?」
「はっ。ゾンビ、スケルトンがメインでしたが、グール、スケルトンナイトなどの中位種も少しだけですが確認できました。デュラハンやワイトといった上位種はまだ確認されていません。」
「よし、明日からアンデッドの島への上陸作戦を決行する。今から作戦会議を開く。各部隊の部隊長を集めろ。それと討伐に参加した騎士団員たちにはゆっくり休むように伝えろ」
こうして討伐作戦の準備は着々と進むのであった。




