71 石碑に書かれし文章
今回は石碑に書かれている文章だけです。
我が子孫に告ぐ。
この石碑に書かれていることは我が家の汚点であり、世界の希望となるものでもある。必ず、後世に伝えよ。
初代アベル・レイバッハは※※討伐の功績により1代で領主の地位と伯爵位を手に入れた英雄である。しかし、初代には施政者としての資質は皆無であった。僅か5年で領地の財政を破綻させ、領民は飢餓に苦しみ、モンスターは領内を跋扈した。王は何度も施政を改めるよう使者を送った。しかし、彼は度重なる王命にも答えず、無法の限りを尽くす。
領主となって10年後、初代はまるで別人のようになっていた。元の高潔な人柄は微塵も感じることが出来なくなっていた。王は処罰を下さざるを得なかった。しかし、その偉大な功績のため、王といえども、簡単に処罰することが出来なかった。そのため、初代の幼い息子に後を継がせ、初代を隠居させることにした。
王は初代に王家所有の別荘を与え、そこに住まわせた。そこは王国の東に位置する大きな島で、島内には西側に小さな村があり、東側はすべて別荘地であった。気温は温暖で過ごしやすく、魚介などが美味しいリゾート島であった。初代にはそこで余生を過ごしてもらうことになった。
しかし、彼はこの島で事件を起こす。彼は屋敷の執事1名、メイド20名を全員虐殺し、近くの村を壊滅させてしまう。
こうなってしまうと王も庇いきることは不可能である。彼の討伐を決意した王は100名の騎士団を派遣するが、彼一人により返り討ちにあう。このままでは、初代は第二の※※となってしまう。
王は、最後の希望として初代のかつての仲間の4人に助けを求めた。英雄と呼ばれた4人と200名の騎士、10名の神官、13名の魔術師が彼の討伐に向かう。激戦の末、彼を倒し、初代の魂を封印することに成功する。
しかし、この戦いで初代の仲間のうち2人が命を落とす。そしてこの戦いに参加した騎士、神官、魔術師で生き残った者はほんの数名だけあった。
この戦いは歴史の表舞台には決してでることのない。だが、我々は決して忘れてはならない。そして、命を落とした者たちに神の御加護があらんことを。
2代目領主 カイン・レイバッハ




