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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第2章
69/330

69 勇者の情報は途絶えて・・・

「えっと。なぜ、勇者様についてのことを当家にお聞きになるんですか?」


 ソフィアに勇者について聞いたところ、帰って来た返事がそれだった。


「なぜって、お前達は勇者の子孫だろ。」


「えっ?」


 どうやら知らなかったようだ。フミヤが1000年前のことを伝えていくが全く知らない感じだ。


「確かに当家は1000年前から続く家ですが、勇者の家系という話は聞いたことがありません。」


「それでは、勇者が隠居した別荘のある島の心当たりとかはないですかね?」


「そもそも、当家の領地には島はないですね。」


 手がかりはなかった。1000年も経っているのだ。情報が途絶えていてもしかたない。


「そろそろ、夕食の準備ができます。食事にしましょうか。」




 ささやかな夕食会が開かれた。夕食会には6人分の席が用意されていた。おれたち4人とソフィアさんとあと一人は・・・あの馬鹿領主?。

 しばらくして現れたのは、馬鹿領主ではなく、白髪の老人だった。


「おう、もしかして、ゲオルグの坊主か。久しぶりだな。」


「お久しぶりです。フミヤ殿。60年ぶりでしょうか。それと流石に坊主は止めてください。」


「もうそんなに経つか?・・・確かに、前あった時はこんなに小さかったよな。」


 フミヤはそういうと、膝ぐらいのところを指差す。


「流石にそこまで小さくはなかったですよ。」


 二人の会話を聞いて、ソフィアは不思議がっていた。


「あの、おじいさま。フミヤ様とはお知り合いなんですか。」


「ああ、私のスキル授与式の時にお祝い来てくださったんだ。当時はエルフの里とは交流があったのでね。」


「そうだ、ゲオルグ。お前は勇者について何か伝え聞いていないか?」


 その言葉を聞いた、ゲオルグさんの顔色が変わる。


「勇者の何をお調べですか?」


 老人とは思えないほどのプレッシャーを感じる。先ほどの丁寧な口調な老人と同一人物とは思えない。どうやら何かを知っているようだが、このままではまずい。少なくともフミヤに任せたら、事態が悪化しそうだ。仕方ない。俺が説明するか。


「あの、ゲオルグさん。私は千波矢といいます。」


 俺が突然話しかけるとゲオルグは俺を睨みつける。


「ほう、あなたが例の使徒様ですか。」


 明らかに敵意をむき出しにしている。余程何か知られたくない秘密があるのだろうか。


「我々は新たな勇者を探しています。リンガル様のお言葉で魔王の復活が近づいています。」


 俺の言葉を聞いたゲオルグが驚きの声を上げる。


「魔王が復活。そんな情報は入ってきてないぞ。」


「おそらく、クリス王子が情報操作をしているんだと思います。」


 俺はゲオルグにリンガル様の言葉を伝えた。最初は疑っていた彼も、話を聞くうちにだんだん表情が真っ青になってきた。話を聞き終わった彼はポツリと一言呟いた。


「あれは、そういうことだったのか。」



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