66 銃 2
俺たちはこの辺りを治める領主のいる街、リコリスに向かった。リコリスはレイムスの西に位置するそうだ。歩いて5日ほどの距離らしい。
エルフの里を出て2日目、俺たちはモンスターに遭遇した。ワーウルフという狼のモンスターの群れだ。ランクEのモンスターだが、数が多いと危険度が一気に増していく。周りを見てみると20匹以上いる。まずいな。
「千波矢、ちょうどいい。俺様の実力を見せてやろう。」
フミヤはそういうとワーウルフの前に立ち、銃を構えた。
・・・銃は遠距離武器だよな。前線に立って大丈夫なのだろうか。
フミヤが引き金を引くと「パン」と銃声が響く。「キャイン」とワーウルフの悲鳴も聞こえる。フミヤが引き金を引くたびに一匹のワーウルフが地面に転がっていく。すべてのワーウルフを倒すのに数分と掛からなかった。
「全部でワーウルフ24匹か。結構かかったな。」
フミヤがつぶやいている。いやいや24匹を数分で結構かかったってどういうことだ。
「どうだ。銃の威力はすごいだろ。」
フミヤは俺たちのほうを向いてドヤ顔をしている。確かにすごい銃だ。そして一回も外さずに当て続けたフミヤさんの腕も大したもんだ。
「フミヤ、その銃はアサルトライフルですか?」
俺は銃には詳しくないがゲームの知識で少しは知っている。
「おう、千波矢も銃が好きなのか。この銃はアサルトライフルだ。3点バースト、セミオート、フルオートに切り替えることができる。今のはセミオートだ。低ランクのモンスターならだいたい一撃で仕留めれる。しかも、弾倉は1000発以上入る。連射も高く、近距離から中距離まで対応可能だ。」
フミヤは得意満面に武器の説明をする。説明の半分も意味がわからなかったが、凄まじい武器であることは分った。それにしても、弾倉1000発以上はおかしくないか?もしかして・・・。
「その通り。この銃はラインハットから貰ったものだ。弾はドワーフ製だがな。弾は後1000発ちょっとしかないからな。」
どうやら弾は有限らしい。そうか。それで「結構かかった」って言ったのか。
「そういうことだ。弾はなくなるとドワーフ共のところまで買いに行かないといけないからな。貴重なんだよ。」
フミヤは相変わらず俺の考えを読んでいるようだ。
「なんだかよく分からないですけど、その武器すごいです。」
「さすが、フミヤ様です。お見事です。」
アンとギルは純粋にフミヤの銃の威力に驚嘆していた。




