65 銃 1
誤字報告ありがとうございます。
次の日、フミヤさんが持っているものを見てびっくりする。この剣と魔法の世界には似つかわしくないものを手に持っているからだ。銃だ。この世界に銃があるのだろうか。ギルとアンの方を見ると、二人とも物珍しそうに見ている。
「フミヤさん。この銃、どうしたんですか?」
「これか。俺の武器だ。いや、他の武器も使えるが、お前たちは近距離武器ばかりだったんで、遠距離武器がいいかな、と思ってな。それより、これからは一緒に旅をする仲間だ。千波矢、フミヤと呼び捨てにしろ。」
「分かりました。で、銃ですけど、この世界では銃は・・・一般的なんですか?」
俺が小声で聞く。フミヤの性格を考えると前世の知識による自作の可能性もある。
「まだ口調が硬いな。・・・まあいいか。心配するな。銃はこの世界でも発明されている。ただ、魔法の方が便利なため、一部地域でしか使われていないがな。」
フミヤは大声で笑う。どうやら一般的ではないようだ。横で話を聞いていたアンとギルはびっくりしている。
「銃って言うんですね。私、初めて見ました。」
「自分も初めてです。昔、そういう武器があることは習っていたんですが、実物を見るのは初めてです。」
・・・かなり珍しい武器のようだ。
「銃は現在、ドワーフしか使っていないが、やっぱり男心をくすぐるだろ。無理をいって取り寄せたんだ。」
たしかに俺も少しはそそられる。・・・今度、使わせてもらうか。
「あの、次の目的地はどこですか?」
アンが聞いてくる。
「勇者が隠居生活を送った島だな。」
「はい、そこはどこにあるんですか?」
「・・・・・・」
そういえば、その島はどこにある。
「領主に聞きに行くか?」
「私たちが行ってもお会いしてくれませんよ。」
「だよな。ギル、騎士団経由で何とかならないか?」
「自分、下っ端だったんで、そんな力はないです。」
「じゃあ、一旦王都に戻って、王子に相談するか?」
「それしかないですね。」
面倒だが仕方ない。一度王都に戻るしかないか。意見がまとまりかけた時、フミヤが口を開いた。
「おい、なんで俺を頼らないんだ?俺はエルフの里の最長老だぞ。俺に任せておけ。」
自信満々なところ申し訳ないが、俺はひどく不安を感じていた。ギルとアンは信頼しているようだが・・・。
「さあ行くぞ、お前ら」
フミヤの号令と共に俺たちはエルフの里を旅立った、




