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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第2章
62/330

62 最長老の秘密

 次に調べる場所は決まったが、一つ疑問が出てきた。この最長老。何者だろうか?

 本来、300年ほどの寿命しかないはずなのに、1000年以上生きている。更に、リンガル様やラインハットを知っている。しかも『サラリーマン』という言葉はおそらくこの世界にはないはずだ。


「どうやら俺の正体が気になるようだな。」


 俺の様子に気がついたのだろう。


「悪いが、後ろの二人は席を外してほしい。」


 最長老は急に真剣な顔になるとギルとアンを見る。ギルとアンは素直に応じ、部屋の外に出る。


「葵 千波矢だったよな。俺の名前は佐藤 史也だ。気づいていると思うが、俺は転生者だ。親からエクセスって名前も貰ってるんだが、今はフミヤに改名している。」


「フミヤさんですね。それにしても、転生者ですか。転移者じゃなくて。」


「当たり前だろ。転移者のエルフなんかいるもんか。」


 そういえばそうか。でも、ラインハットさんはあんまり転生を勧めていなかったな。生まれ変わるだけだからって言ってたしな。それに寿命の説明にはなっていないな。


「寿命の方はスキルのおかげだ。」


 俺が疑問に思っているのに気がついたんだろ。それにしても、俺は思っていることが顔にでるのか?


「確かに顔にでやすいな。」


 心を読まれている?


「俺のスキルは【超越者】っていうスキルだ。」


「中二病バリバリの名前のスキルですね。」


「ああ。だが、能力もその名の通りだ。おかげで1000年生きても寿命は来ないし、相手の顔見て、ある程度の考えが読めたりもするんだ。リンガル曰く、ランクSSらしい。」


「あれ?転生者はスキルは貰えないんじゃ?」


「それは転生時の話だ。この世界では10歳で全員リンガルからスキルを貰うんだ。その時に【超越者】をもらったんだ。」


 なるほど、リアルラックでランクSSを引き当てたんだ。


「ああ。ところで、お前は日本から来たんだよな。いつから来たんだ?」


「いつからって?」


「西暦だよ」


「2019年です。」


「そうか、俺は1999年だ。当時、25でな。結婚して、息子が生まれたばかりだったんだが、事故でな。」


 昔を思い出す彼の目はちょっと悲しそうだった。


「あの・・・」


「悪い悪い。場がしらけたな。もう吹っ切れてはいるつもりだったんだがなあ。なにしろ1000年経ってるしな。だが、お前が2019年から来たって知ったら、息子を思い出してな。生きてたら二十歳だな。」


 その後、俺はフミヤさんと夜遅くまで語り合った。俺がこちらの世界に来てからのこと。フミヤさんのこと。そして、元の世界、日本について。特に、フミヤさんは見れなくなったアニメの結末を知りたがった。



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