表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第2章
59/330

59 違う話

 翌朝、俺は道場に来ていた。道場ではすでに100人近くの人が稽古をしていた。ギルによるとこの道場で訓練を受けることは一種のステータスらしい。剣術だけでなく、槍術、棒術、体術などいろいろな武器を教えている。向こうでは斧や槌の指導をしている。


「ギル。今日も来たのか?」


 突然、後ろから声をかけられた。後ろには誰もいなかったはずだ。振り返ると細身で体が非常に引き締まった金髪の男が立っていた。よく見ると、耳が尖っている。この特徴はもしかしてエルフ!


「ローラン様、連日すみません。今日は転移者の千波矢様をお連れしました。」


 ・・・ギルのしゃべり方がいつもと違う。敬語を使っている。しかも、とても緊張している。そんなに厳しい人なのだろうか


「どうやら、大事な話のようだな。場所を変えようか。千波矢様、どうぞこちらへ。」


 そう言われ、俺は立派な個室に通された。



「まずは自己紹介をします。ローランと申します。当道場の13代目の当主です。お気づきかもしれませんが、種族はエルフです。」


 やっぱりエルフだった。この世界に来て初のエルフだ。


「葵 千波矢です。よろしくお願いします。」


「本日いらしたのは、やはり勇者についてですか?」


「はい。勇者がどのようにして力を授かったかです。」


「どのようにと言われても、神に勇者の力を授かったとしか伝わっていません。」


 この話は町で聞いた話といっしょだ。


「ただ・・・。」


 ローランの顔が歪む。何か言いにくい事でもあるのだろうか。


「勇者の旅立ちについては、エルフの里では違う話も伝わっています。」


「違う話?」


確か町では、勇者は町を襲ったモンスターを撃退して、己の使命に気づき旅立ったと聞いた。


「はい。勇者はモンスターの襲撃に恐れて逃げ出した、と言う話です。」


「勇者が逃げ出した?」


「里の年寄り達の間ではその話の方が信じられてます。」


 これは興味深い話を聞いた。是非真相を調べてみたい。


「ローランさん。エルフの里でお話を聞いたんですが、可能でしょうか?」


「エルフの里はこの近くですが、紹介状がないと入ることが出来ません。私が紹介状を書きましょう。」


 俺はローランさんから紹介状を受け取るとエルフの里に向かって出発した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ