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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第2章
58/330

58 観光地

 俺たちはついにレイムスに着いた。


「ようこそ、勇者の生まれた町レイムスへ」


 町の入口の看板にでかでかと書かれている。


「この町は相変わらずだな。自分は知り合いと会いたいのでちょっと会ってくるな。」


 ギルはこの町に来たことがあるようだった。ギルとは夕方に宿屋で合流することにした。

 俺はアンとこの町を見て回ることにした。勇者饅頭、勇者のレプリカ、・・・。お土産屋にはいろいろな勇者グッズが売られていた。ここは完全に観光地だな。


「千波矢さん。すごいところを見つけました。」


 アンに引っ張られて行くと古びた一軒家が建っていた。小さな木造の家でところどころ、壊れている。その周りには柵が張り巡らされ、立ち入り禁止の看板が立て掛けられていた。


「ここが勇者の生まれた家だそうです。」


 アンは古びた家を見て感動している。周りの観光客も同様だった。拝んでいる人もいる。

 ・・・この家は本物だろうか?勇者は、千年前の人物ではなかっただろうか?それなら、この家も千年前のものか?ちょっと無理があるかな。


「この家を調べたら、手掛かりが見つかるんじゃないですか?」


「多分無理だろ。」


「どうしてですか?」


「どう見ても千年前の家には見えないだろう。恐らく途中で改装されているはずた。」


 その後、資料館と言うところに行ったが、そこも、観光地と化していた。当時の資料などはなく、最近作られたと思われる資料だけが展示されていた。やはり、千年という時間はとてつもなく長かったようだ。この町で勇者のことを調べるのは無理みたいだ。


 そろそろ夕方になるため、俺とアンは宿屋に向かった。ギルはすでに到着していた。


「千波矢、この町はどうだった?」


「完全に観光地だな。勇者の家も資料館も真実にはたどり着けそうにはないな。」


「やっぱりか。この町は町興しで100年程前に様変わりしたらしいんだ。」


 それで勇者の家が新しかったんだ。


「ギルは何をしてたんだ?」


「この町には有名な道場があるんだ。」


「ギルさん。また修行ですか。」


 アンは呆れている。確かにギルは修行好きだ。


「違う。今日は修行じゃない。この道場は勇者が幼い時にした修行が伝えられているんだ。この道場主が元近衛騎士団団長なんで挨拶にいったんだ。」


 勇者がした修行!それは気になる。勇者がスキルを継承しているなら、何か分かるかもしれない。


「ギル。その道場主と会えるか?聞きたいことがあるんだ。」



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