52 納品し過ぎたようです
戦闘後、やっぱり恒例のギルの土下座が行われた。それほど、気にしてはいないんだが・・・。
「それにしても千波矢さん、強くなりましたね。もう、オークなら一対一なら大丈夫ですね。」
「いや、まだまだだと思うよ。今の戦いも炎の魔法を唱えられていたら分からなかったし。」
「そういえば、『炎くるな』ってずっと呟きながら戦ってましたね。」
「えっ。もしかして声に出てた?」
「バッチリ声に出ていましたよ。」
アンは笑いながら答える。次からは気を付けよう。
その後、何事もなく俺たちは町に到着した。
「お疲れ様です。」
受付嬢はゆったりとした声で出迎えてくれる。
「確認、お願いします。」
俺たちは冒険者カードを提出する。俺たちのカードを確認した受付嬢が驚きの声を上げる。
「えっ。オーク2体とオークソルジャー1体、オークマジシャン1体ですか。どこで倒したんですか?」
俺たちは森でのことを伝える。話を聞いた受付嬢の顔色が変わっている。
「5体のオークにオークソルジャーとオークマジシャンのペアですか。大きな群れが出来ている可能性がありますね。」
「大きな群れですか」
「はい、あの森でオークの上位種が発生する場合、大きな群れが出来ている可能性が高いんです。その場合、最上位種のオークキングとかもいる可能性があるんです。」
「オークキング?」
「はい、ランクBのモンスターですね。」
何か怪しい話になってきた。この話はここで切ろう。
「とりあえず、清算をお願いします。後、オークの肉の買取もお願いします。」
「オークの肉を回収してきているんですか。ぜひお願いします。解体処理はしていますか?」
「いいえ」
「それなら向こうの部屋に解体処理室があるのでそこでお願いします。」
「わかりました。」
俺はそういうと解体処理室に行くと、そこでオークの死体を4つカバンから取り出した。解体処理室の職員が酷く驚いていた。俺が4体出したことに驚いたんだろうか?それとも魔法のカバンのことを驚いたのだろうか?まあ、どちらでもいいか。職員には『査定にしばらく時間が掛るので待っておいてくれ』と言われた。
受付に戻るとこちらの手続きは終わっていた。
「どうぞ。確認してください。」
受付嬢はそういうと、冒険者カードが返却された。ランクが1つ上がりFになっていた。アンとギルはさすがにEのままだった。
しばらくすると、解体職員が青い顔をして受付にやってきて、受付嬢と話している。受付嬢の顔も青くなる。
「千波矢さん。ちょっとよろしいですか。」
「なんでしょうか。」
「あの、オークの死体4体納品したのは本当ですか。」
「はい。」
「あの、査定金額が出たんですが、保存状態が非常に良かったため、50万ゴールドになったんです。すぐにご用意できないため明日の昼にギルドに来てもらってもよろしいでしょうか。」
受付嬢は申し訳なさそうにそう言ってきた。




