50 迷子
「あの、ギルさん。偉そうに指摘しているとこ申し訳ないんですけど、5匹のオークの見つかったのはギルさんが原因ですよね。」
アンが指摘する。そう、ギルがオークを見つけたのは良かったのだが、数を確認せずに、敵の前に躍り出たのだ。その結果、5匹のオークに狙われることになった。そのことを指摘され、ギルの顔がみるみる青くなる。そして、いつものコースだ。
「すいませんでした。」
いつも通り土下座をする。ギルと知り合ってまだ短いが、なんだかかなり見慣れた気がする。ギルはいい戦士だが、精神的に弱いところがある。それさえなければ、一流の剣士なのだが。
「次は気を付けてくださいね。」
アンは意外に辛辣だった。
話が落ち着いたと事で、俺には一つ気になることがあった。
「なあ、ここはどこだ?」
「そういえば、分かりませんね。」
「自分もです。」
俺たちは必死に逃げていたため、現在位置が分からなくなっていた。そう。迷子である。まあ、迷子といっても適当に移動してもいつか森は抜けることができる。それほど深刻ではないのだが。できれば、まっすぐ帰りたい。しかし、どこを通ったかなど全く記憶にない。
そうだ。
「なあD、現在位置を教えてくれ。」
「・・・現在位置を表示します。」
俺の脳内にこの森の地図と現在位置が表示される。地図が少し虫食いだが、十分場所を把握できる。結構奥の方まで来ていたようだ。
「千波矢さん、場所がわかりました?」
「ああ、Dがマッピングしてくれるんたんだ。」
「へえ、そんな機能があるんですね。」
「ああ、俺もすっかり忘れてたけど。」
「それなら、古の大迷宮も突破できるかもしれないですね。」
「なにそれ?」
「なんだ千波矢、知らないのか?昔神々が作ったとされる迷宮さ。現在、地下34階まで攻略されてるが、地下に行けば行くほど、強力なアイテムや武器防具が出てくる鬼畜なダンジョンさ。」
「へえ、そんなダンジョンがあるのか。」
「ああ、このダンジョンは広大な広さにも関わらず、3ヶ月に一度ダンジョンの形が変わるんだ。だから、マッピングが追い付かないんだ。」
何とも不思議なダンジョンだが今のところ興味がないな。
「まあ、俺たちには関係ない。それよりも戻るか。」
「そうですね。」
こうして俺たちは帰路についた。




