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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第2章
50/330

50 迷子

「あの、ギルさん。偉そうに指摘しているとこ申し訳ないんですけど、5匹のオークの見つかったのはギルさんが原因ですよね。」


 アンが指摘する。そう、ギルがオークを見つけたのは良かったのだが、数を確認せずに、敵の前に躍り出たのだ。その結果、5匹のオークに狙われることになった。そのことを指摘され、ギルの顔がみるみる青くなる。そして、いつものコースだ。


「すいませんでした。」


 いつも通り土下座をする。ギルと知り合ってまだ短いが、なんだかかなり見慣れた気がする。ギルはいい戦士だが、精神的に弱いところがある。それさえなければ、一流の剣士なのだが。


「次は気を付けてくださいね。」


 アンは意外に辛辣だった。


 話が落ち着いたと事で、俺には一つ気になることがあった。


「なあ、ここはどこだ?」


「そういえば、分かりませんね。」


「自分もです。」


 俺たちは必死に逃げていたため、現在位置が分からなくなっていた。そう。迷子である。まあ、迷子といっても適当に移動してもいつか森は抜けることができる。それほど深刻ではないのだが。できれば、まっすぐ帰りたい。しかし、どこを通ったかなど全く記憶にない。




 そうだ。


「なあD(ディー)、現在位置を教えてくれ。」


「・・・現在位置を表示します。」


 俺の脳内にこの森の地図と現在位置が表示される。地図が少し虫食いだが、十分場所を把握できる。結構奥の方まで来ていたようだ。


「千波矢さん、場所がわかりました?」


「ああ、D(ディー)がマッピングしてくれるんたんだ。」


「へえ、そんな機能があるんですね。」


「ああ、俺もすっかり忘れてたけど。」


「それなら、(いにしえ)の大迷宮も突破できるかもしれないですね。」


「なにそれ?」


「なんだ千波矢、知らないのか?昔神々が作ったとされる迷宮さ。現在、地下34階まで攻略されてるが、地下に行けば行くほど、強力なアイテムや武器防具が出てくる鬼畜なダンジョンさ。」


「へえ、そんなダンジョンがあるのか。」


「ああ、このダンジョンは広大な広さにも関わらず、3ヶ月に一度ダンジョンの形が変わるんだ。だから、マッピングが追い付かないんだ。」


 何とも不思議なダンジョンだが今のところ興味がないな。


「まあ、俺たちには関係ない。それよりも戻るか。」


「そうですね。」


 こうして俺たちは帰路についた。



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