5 転移失敗?
「ラインハットさん。黙っておくかわりになにか貰えますか?」
「えっ。」
「スキルをもう一つは無理ですよね。」
「それは無理。」
「じゃあ、何か有用なアイテムとか貰えないんですか。」
「いや、それもちょっと。」
「えっと、確かリンガル様でしたよね。上司の方は・・・。」
ラインハットさんの顔が泣きそうになっている。いじめすぎただろうか。
「待ってください。お願いします。千波矢さん、あなたいい性格してますね。
この魔法のカバンを差し上げます。これで勘弁してください。」
「何ですか。この汚いカバンは?」
「汚いカバンじゃないです。魔法のカバンです。このカバンだと中に1000キロぐらい収納できます。」
いわゆるアイテムボックスと呼ばれるやつだ。確かに便利だが今から行く世界では貴重なものなのだろうか?もしかして、向こうでは安く売られているとかはないのか?
「もちろん貴重品です。むこうで買ったら1000万ゴールド以上します。ちなみに、安宿1泊で300ゴールドぐらいです。」
ということは1ゴールド10円ぐらいだろうか。・・・ということはこのカバンは1億円の価値があるのか。
「わかりました。黙っておきます。」
「それじゃあ、そろそろ転移させますね。転移先はクラリス教の大神殿です。連絡は入れてます。」
「連絡?」
「はい、神託というやつです。ちなみにクラリス教とは主神ノエルを祭った宗教です。」
「主神ノエル?」
「主神ノエルはリンガル様の御父上で我ら神々の祖です。」
「ふーん。まあいっか。ラインハット、確認だ。
俺はアポカリプスに転移した後、特に何かをする必要はないんだな。」
「はい、その通りです。ただ、こちらから連絡を取る場合もあります。神託による依頼です。」
「神託による依頼?」
「はい、受ける受けないは自由ですが、依頼達成をされるとお礼の品を差し上げます。
まあ、その時になったら詳しくお話します。」
「わかった。」
「それじゃあ、いってらっしゃい。#$&#$%$& へくしょん テレポート。」
ラインハットが呪文と思われるものを唱えた瞬間、俺の体が光に包まれて消える。
「呪文の途中でくしゃみをしてしましました。
・・・
・・・・・・
不味いですね。転送位置がずれましたね。」
ラインハットの顔色が変わる。慌ててスマホを取り出しどこかに電話をした。