44 不気味な霧
俺はレント封鎖の関所に来ていた。急遽作ったため、作りは単純なものだった。数名の兵士が駐在していた。彼らはレントに向かおうとする旅人たちを必死で引き返させようとしていた。
「病気が蔓延しているのでなるべく行かないでください。」
「たかが病気だろ。そんなことで道を封鎖するのか。」
旅人の意見も最もだ。今まで、病気で道を封鎖したことなどないだろう。無視して行こうとする旅人もいるが、兵士は止めることすらできない。一応、封鎖してます、とアピールしているだけのように見える。
「ケロッグ様。よろしいんですか。」
「無理に止めても、街道以外を進めば止めることはできない。だから、封鎖といってもこの程度しかできないんだよ。」
ケロッグはそう言うと関所の方に進んでいく。
「すみませんが、この先は封鎖・・・。すみません。教会の方ですね。調査でしょうか。」
「ええ、これからレントに向かう予定です。」
「なるべく早く解決してください。我々も頑張っているんですが、注意を無視してレントに向かう旅人も少なくありません。」
兵士たちは心底疲れた表情で訴えてきた。どうやらかなり苦労しているようだ。
「できるだけ、早急に解決します。」
俺たちはそう言うとレントに向かって入っていった。
しばらく進むと、レントの街が見えてきた。その横に避難民がキャンプを作っている。レントの街は人口一万人ほどでこのキャンプには約半数が避難しているそうだ。残り半数は近隣の町に避難しているそうだ。
「ケロッグ様、お待ちしておりました。早速ですが、よろしくお願いします。」
着いて早々、街の代表者らしき人が話しかけてきた。
「分かりました。」
ケロッグはそう言うと街に近づく。街は情報通り、不気味な霧に覆われていた。
「状態回復魔法」
ケロッグが呪文を唱えると、眩い光が立ち上り、街を漂う霧が消し飛ぶ。成功だろうか。
・・・
・・・・・・
駄目だった。街の奥から再び霧が流れてきた。
「やはり駄目でしたか。」
戻ってきたケロッグが悔しそうに呟く。
だが、一つだけわかったことがある。霧は街の中央から流れてきた。霧を発生させるコアがあるなら、街の中央だ。
「千波矢様、申し訳ございませんがよろしくお願いします。」
「ああ、任せろ。」
俺は力強く答えた。




