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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第2章
42/330

42 茸採取

 次の日、俺たちは近くの山に来ていた。この山の中腹に霊長茸の群生地がある、とD(ディー)が教えてくれたからだ。


 昨夜、話し合いを行い、レントの街を助けようと言うことになった。状態回復魔法(キュア)で万能薬の代わりになる、ということなので、俺たちは栄養剤の材料を探していた。


「千波矢さん、群生地まではまだですか?」


 アンは結構きつそうだ。当然か。自分の身の丈程の大剣を背負っているのだから。


「あと少しだ。」


「そのセリフ、さっきも言いませんでした?」


 アン、言ってないぞ。さっきのセリフは「まだある。頑張れ」だ。


 遂にたどり着いた。周辺に大量の茸が生えている。

 D(ディー)のナビがなかったら、まず来るのは不可能だった。

 ここには霊長茸だけでなく、いろいろな茸が生えている。


「二人は休んでいてくれ。俺は茸を採取する。」


 アンは体力の限界のようだ。普段は「手伝います」と言うのに今日は大人しい。


「自分は手伝いますよ。」


「ギルも休んでいてくれ。その代わり、薬膳大角鹿がでたら、よろしく頼む。」


「モンスターですね。倒せばいいんですね。」


「いや、違う。希少動物だ。追い払ってくれ。」




 俺は茸採取を始める。霊長茸の他には、食用の大茸、香茸。薬用の化石茸もあった。これは、石化解除の薬を作るのに必要だ。そして、毒茸、痺れ茸などもたくさん生えていた。

 1時間後、俺達の前にそいつは現れた。薬膳大角鹿だ。D(ディー)は1メートルほど、と言っていたがこの鹿はゆうに2メートルはある。おそらく特殊個体だろう。そして、立派な角であつた。


「ギル、殺さずに追い払って下さい。後、出来れば角を切り落としてくれ。」


 俺はギルに頼む。薬膳大角鹿の角は調剤の材料として使えるそうだ。出来れば手に入れたい。


「千波矢。この鹿強いぞ。」


 ギルは苦戦しているようだ。これは角は無理そうだな。


「アン、手を出すなよ。大剣だと殺してしまいかねない。」


「分かってます」




「駄目でした」


 予想通り、ギルは追い払うので精一杯だった。そして、見事な土下座・・・。

 なぜ土下座?


「ギル。俺たちは、仲間だろ。土下座は辞めてくれよ。」


「・・・悪い、癖だ。」


 ・・・どんな癖だ?



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