41 魔法の調剤器具
俺たちは北の最果ての町レイムスを目指して旅をしている。道中,俺は薬草採取などに勤しんでいた。
昨夜、確認したところリンガル様はお詫びの品は『魔法の調剤器具』だった。説明書によると、調剤の成功確率が非常に高くなるマジックアイテムだった。スキル【調剤 優】よりも高い効果らしい。どんなチートアイテムだ。しかも、俺専用アイテムらしく他人が使うことはできないそうだ。そこで回復薬を自前で生成しようと、現在、材料を集めているのだった。
「千波矢さん。どれくらいたまりました?」
「今のところライム草50本、リール草43本、霊長茸10、ってとこかな。」
Dに調剤に必要な材料を教えてもらっているため、かなり効率よく集めれているようだ。
「もうすぐ次の町に着くので、そこで調剤をやってみましょう。」
「ああ。楽しみだな。」
「ところで、千波矢。武器は棍棒のままで良かったのか?」
ギルは俺の武器を見ながら聞いてくる。
「ああ、悪いけど俺の戦闘力は期待しないでくれ。」
「勿体ない。せっかくいいスキルを授かっているのに」
ギルはぶつくさ言っているが、横にギルとアンがいると俺が戦うことはほとんどなかった。なにしろ二人がすぐにモンスターを倒してしまう。俺の役目はいまのところ荷物持ちだけだった。もちろん、訓練は行っているが、これから戦闘をメインですることはほとんどないだろう。
しばらくすると、ペイロンという小さな町についた。今日はここで宿に泊まる予定だ。まだまだ、未熟な冒険者のため、無理な移動はできない。
「とりあえず、ギルドに行きましょう。」
ギルに言われてギルドに向かう。ギルによると町の情報はギルドで聞くのが一番確からしい。
「君たち、見ない顔だね。この町は初めてかい?」
ギルド受付嬢が聞いてくる。
「はい、王都からレイムスに向かう途中です。」
「もし、急ぎじゃなかったらちょっと仕事を受けてくれないかい?」
「何かあったんですか?」
「ええ、ここから西に30キロほど行ったところにあるレントでは疫病が流行しているらしいんだ。そのため、大量の薬草類が必要なんだ。」
「何が必要なんだ?」
「そうだね。やっぱり万能薬が一番必要だね。あとは栄養剤かな。万能薬の材料はリール草、霊石。栄養剤の材料はライム草と霊長茸だね。」
「ライム草とリール草と霊長茸ならあるぞ。」
「本当かい。良ければ売ってくれ。」
俺はすべての材料を売ることにした。