40 目的地はレイムス
新章突入です
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俺たちは宿屋で今後の方針を立てていた。
「千波矢さん。これからどうするんですか。」
「北の最果ての町に行こうかと思う。」
「レイムスですか。」
「ああ。」
「勇者が生まれた町ですね。私、一度行ってみたかったんですよね。」
「自分は一度行ったことがあります。はっきり言って調べることはないと思いますよ。何を調べるんですか?」
「勇者がどこで神の力を手に入れたかだ。」
「「へぇ?」」
二人の目が点になっている。
「すみません。千波矢さんどういうことですか。」
「これは半分俺の推測になるが、神の力とは初代勇者のスキルのことだと思うんだ。そして、勇者は代々その力を受け継いできたんだ。」
「どこからそんな発想が出るんですか?勇者とは1000年前に魔王を倒したヒト一人ですよ。」
アンが反論する。
「ああ、教会が伝えている勇者のお話だとそうみたいだな。さっきDに聞いてびっくりした。それは間違いだ。リンガル様は初代勇者にスキルを与えた、と言っていた。」
「そうなんですか?私、あの時の記憶がないんですよ。」
「ああ、初代ということは二代目がいるってことだ。そして、初代勇者のスキルが神の力なら、その力は代々引き継がれてきたってことになる。」
「なるほどです。」
アンは納得する。ギルの方を向くとよく分かっていないような顔だ。
「あの、何となくは分ったんですが、ディーって誰ですか?」
・・・そこかよ。そういえば、俺のスキルを教えていなかったな。
「Dは俺のスキル【大いなる辞典】の愛称だ。物知りでいろいろ知りたいことを教えてくれるんだ。」
俺は【蛮族の英雄】と【ステータス変化無効】についても話しておいた。隠す必要がない。ただ、【神々の悪戯】についてはしゃべっていない。このスキルについてはまだしゃべってはいけない気がする。アンもギルに自分のスキルを教えている。
「二人とも凄いですね。スキルを3つ持ってるんですね。自分は【長剣 優】だけです。」
ギルはちょっと寂しそうだった。
「あの出発前にギルドに行って登録してもいいですか。私、身分証がなくなったんで。」
「あっ。自分も登録します。」
ギルドに着くと受付嬢がいつものように出迎えてくれた。
「アンさん。ついに冒険者になってもらえるんですね。アンさんなら実技試験はいらないです。あれだけオオトカゲを倒せるなら問題ないです。」
受付嬢は非常に興奮している。もちろん、ギルの登録も喜んだ。フィル王子直属の騎士ということで、結構有名だったようだ。二人ともランクFからのスタートだった。俺はまだランクGである。もちろん、3人でパーティーは組んでもらった。
その後、街を離れることを知り、受付嬢が死んだような顔になったのは言うまでもない。




