39 リリアの日記
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〇月×日
いきなりアンが泣きながら私の部屋に飛び込んできた。話を聞くと神託を受け、大神官様に報告に行ったところ、ゼロス神官長に追放されたそうだ。こんなに可愛いスキル持ちのアンを追放するとはどういうことだ。
さらに話を聞くと転移者がやってくるという神託だったようだ。転移者に関する神託を無視するとはどういうことだ。転移者は神の御使いだ。これは神に対する反逆だ。だいたい、こんなに可愛い子の言葉を疑うなど、どうかしている。
アンに馬を与え、転移者の保護に向かわせた。アンはちょっと抜けたところがあるが、大剣と回復魔法のスキル持ちだ。護衛としては問題ないはずだ。ちょっと不安はあるが、他に任せられる人がいない。アンの可愛さなら転移者に避けられることはないはずだ。どちらかというと、手を出されないかが心配だ。
〇月△日
どうやらゼロス神官長は改革派だったようだ。しかも、クーデターを起こそうとしている。かなり大掛かりなものだ。アンは転移者に無事に会えただろか?なにか粗相をしてなければよいけど。
〇月□日
アンに貸していた馬が返ってきた。アンが戻ってきたということだ。無事でよかった。アンの性格からして、転移者を見つけられずに戻ることはあり得ない。また、転移者を放置して帰ってくることもないはずだ。十中八九、アンは転移者と一緒にこの王都に帰って来たはずだ。現在、クーデターが進行中だ。アンと転移者はターゲットになる恐れがある。どうにかして、知らせないと。
・・・そうだ。手紙を書いて、ギルドに依頼しよう。
〇月◇日
ゼロス神官長は魔人だった。教会関係者が魔人に入れ替わっていた。前代未聞の珍事だ。そして、それ以上のことも起こった。アンが神を降臨させたのだ。アン一人の力によるものか転移者との協力によるものなのかわからないが、ここ数百年は神が降臨したという記録はない。アンの成長が喜ばしい。
黒髪の聖女と呼ばれた転移者が実は男だったというのは衝撃だった。さらに、アンが教会を捨ててその男を選んだのだ。ちょっと悔しかったので、アンと転移者、・・・千波矢さんには意地悪をしてしまった。二人ともお幸せに。




