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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第6章
308/330

308 同志

 審議後、リルィさんと会談の席が用意された。用意したのはクリス国王だった。


「リルィ、久しいな。お前が出奔して以来だから、そろそろ10年か?」


「そうですね。もうそんなに経つのですね。クリス様、10年前の約束、覚えていらっしゃるでしょうか。」


「ああ、一時は忘れていたが、今はすべて思い出している。この世界の秘密、分かったのだな。」


「はい」


 そう言ったリルィさんの表情は少し曇っていた。


「そうか、それでは教えてくれ」


 彼女が語った話は衝撃の事実だった。


 10年前、【神託】により彼女は大地母神ガイアについて知ったそうだ。ガイアについて語ったのはもちろん、ラインハットであった。

 ラインハットによると、【神託】により神との接触を持ったヒトの中である条件を満たされた者すべてにガイアのことが伝えられるらしい。そして、選択を迫られるのだという。このままでいるか、ガイアの意思を継ぐかを。

 当時、【神託】を持つリルィさんは教会内部の腐敗に心を痛めていたそうだ。そのため、リルィさんはガイアの意思を継ぐことを選んだそうだ。そして、出奔前に当時のクリス王子に「真実を探す旅に出る」と許可を貰い、出奔したらしい。王子は当時から利発で、教会の腐敗についても憂いていたそうだ。そのため、すべてを打ち明けてそうだ。もっとも、そのあと、ラインハットに名前を奪われたため、それらすべてを忘れることになったのだが・・・。

 旅をしていて、彼女は神々がいかに世界を規制しているかを知ったそうだ。今まで気にも留めなかった規則や常識、風習が実は神による規制であったと知り、彼女は愕然としたそうだ。ヒトの社会はそれほどに神に操られていたのだと。

 さらに旅をして、彼女と同じガイアの意思を継ぐヒトやエリザベートさんのような事実を知っている使徒に会い、意見を交換していったそうだ。そして、大地母神の教団の前身となる組織に入ったそうだ。

 その組織は各地の遺跡を調べ、過去の歴史を紐解いていっていたらしい。リルィさんとエリザベートさんが龍王に会いに行っていたのもそのためだったそうだ。

 そして龍王によりすべての事実を知り、クリス国王に報告をしようとしたところ、当時のクリス王子が「ヒトの神からの独立」宣言があり、情勢が変わったそうだ。

 教団幹部は「何かあるのでは」と王子を疑い、距離を採ってきていたそうだ。そのため、報告が遅れたそうだ。


「つまり、教団と我々はガイアの意思を継ぐものと言う意味では同志ということだな。まあ、同志と言っても、宗教関係でお前たちを優遇することはないがな。」


 クリス国王の言葉にリルィさんは頷く。彼女たちにもその意図はないようだ。

 これで大地母神の教団に対する疑惑は完全に晴れたのだった。後は、国民が受け入れていくかだが、それはリルィさんたち次第だ。

 俺達に残された最後の関門は龍王バハムートのみとなった。



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