18 アンの回想 千波矢に対する想い
彼との出会いは最悪だった。なにしろ、いきなり足首を掴まれて、池に引きずり込まれたのだ。
しかも、びしょ濡れになった私をジロジロ見ていた。しかも、胸を。
すぐに引っ叩いてやった。
意識を取り戻した彼は、すぐに謝ってくれた。誠実な人なのかもしれない。
彼が転移者であると知った時、私は大泣きしてしまった。男の人の前で泣き崩れてしまった。今、思い出すと顔から火が出る思いだ。
彼は私の話を聞いて励ましてくれた。しかも、私に付き合って王都に来てくれることになった。彼がついて来てくれなかったら、私はどうなっていたのだろう。
彼とこれからの事を話していると、いくつかの問題点を指摘して、改善策も出してくれた。彼は頭が切れ、頼りになる。
彼には欠点があった。馬には乗れないようだ。仕方がないから、後ろに乗せてあげた。しかもすぐに酔ってダウンした。彼の欠点が見れて、ちょっとうれしかった。私が彼にしてあげれことがある、と思うと嬉しかった。そして、ちょっとだけ意地悪をしてしまった。
彼のスキルにはびっくりした。【大いなる辞典】に【蛮族の英雄】。どちらも知らないスキルだ。たぶん、かなりのレアスキルだと思う。しかも、彼は授かったばかりなのに使いこなしていた。頭がいい証拠だ。
彼はもう一つのスキルを隠しているようだった。転移者は3つスキルを授かるはずだ。あと一つはどんなスキルなんだろう。
彼が試験を受けている時、見知らぬ冒険者に絡まれた。あいつ、いきなり体を触ってきた。気持ち悪い。一撃でのしてやった。
嫌な気分だったが、彼と話しているとすぐに良くなった。どうしてだろう。
昨日は彼と同じ部屋で寝た。男の人と一つの部屋で寝たのは初めてだ。もちろん、ベットは別です。朝起きて、ぐっすり眠れた自分にびっくりした。襲われるとは微塵も思っていなかったようだ。
それよりも、彼は横で寝ている私に手を出してこなかった。私に魅力がないのだろうか。・・・別に襲ってほしい訳ではないです。
今日一日、私は先輩に会おうと頑張ったが、会うことはできなかった。有力な情報も得ることができなかった。一方彼は2200ゴールド稼いだようだ。かなり頑張ったようだ。傷だらけだった。すぐに回復魔法を使って治療した。やっと彼の役に立てた。
宿代、食事の代金、彼にはお世話になってばかりだ。明日は彼の仕事を手伝おうと思う。




