171 返済の目処が立った
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村に戻るとドノバンさんたちが心配そうに待っていた。
「グランデスライムは無事に倒せたか?」
さて、どう答えようか、と俺が悩んでいると、ラインハットが調子良く答えた。
「問題ないよ。絶好調だったから思った以上に早く倒せたよ。」
その言葉を聞いてアシアナが眼をキラキラさせている。完全に恋する乙女だ。
「ラインハット様。良かったら父さんに紹介してもいいですか?」
アシアナはえらく積極的にアプローチしているな。まあ、これはラインハットの問題だし、俺には関係ないか。ラインハットがアシアナに無理やり連れていかれている。俺は依頼完了の手続きをしてもらうか。
「ドノバンさん。洞窟内の確認が終わったら依頼完了のサインをお願いします。」
「わかった。アシアナ、悪いが確認して・・・、いないな。しかたない。ルッコル、代わりに見てこい。」
ルッコルと呼ばれた若い男のドワーフが鉱山に確認に行く。
「すぐに帰ってくるからちょっと待ってくれ。ところで、アシアナはどこに行ったか知らないか?」
「ああ、アシアナなら・・・」
俺はアシアナが父親に紹介するとラインハットを連れて行ったことを伝えた。
「本当か・・・。お前さんたち、ドワーフの女が男を父親に紹介するってのは結婚してくれって意味だと知っているのか。」
「えっ。知りませんでした。それじゃあ、ついて行ったらラインハットは結婚を承諾したことに・・・。」
「なるな。しかもアシアナの親父だと知りませんでしたじゃ済まない可能性もあるな。」
二人の間で沈黙が支配する。ラインハット、かなり不味いことになってるぞ。流石に結婚は無理だろう。どうするんだ。
「ま、まあ、確認が終わったら、儂もアシアナの家に行くとしよう。・・・どれだけ助けてやれるかは分からんが。」
ドノバンさんの言葉は何とも力弱いものだった。
「あのアシアナのお父さんって、どんな方なんですか。」
「ああ、この村でもリーダー格の一人じゃ。発言力も強い。そしてドワーフ族の伝統を重んじる頑固者じゃ。」
そうこうしていると、鉱山からルッコルが帰ってきて、鉱山のヒュージスライム討伐が確認された。また、グランデスライムの討伐分として追加で150000ゴールドが支払われることになり、合計300000ゴールドの収入となった。これは、来るときに討伐したオークと店舗の収入とかを考えると、400000ゴールドの返済の目処は立った。後はラインハットとアシアナの間で新たな問題が発生してないと祈るだけだ。




