162 歓迎会
請求書の代金を変えました。(4/16)
「アン、マーサさんにラインハットのことを知らせておいてくれ。歓迎会を開こう。俺はその間にラインハットに店の事を教えておく。」
「うん。わかった。夜、7時くらいには食堂に来てね。」
アンは元気よく返事をすると出ていく。
「歓迎会を開いてくれるんだ。ありがとう。」
ラインハットはどこまでもマイペースで脳天気な性格のようだ。まあ、いいか。
「それで、仕事はどの程度できる?」
「どの程度って、言われたことなら大抵のことができるよ。僕、これでも神だし。」
「いや、そうじゃなくて、お前、こっちの世界で何かすることあるんだろ?ずっと仕事はできないだろ。」
「ああ、それなら大丈夫。僕の使い魔が仕事をして、僕は報告を受けるだけだから。」
ラインハットは笑いながら答えたが、それならラインハットはなぜ下界に来たんだろう?こいつ絶対重要なことを隠しているな。
「それじゃあ、通常通り週5日仕事だ。基本的には午前中は店番だ。午後は薬の補充と新薬開発だ。場合によっては変更することもある。」
「働き過ぎじゃない?」
「自分で働くっていっただろ。だいたい週休二日で働きすぎってどうなんだ?」
「いや、今まで週1日ぐらいしか働いてなかったから。」
「・・・ちなみに、この世界では週休2日は条件がいい方だぞ。」
「えっ!」
ラインハットは本気で驚いている。どうやら本気だったようだ。・・・神が働かないんじゃなくて、こいつが働かないだけだよな。最後にはラインハットも渋々労働時間を承諾した。うちはブラック企業じゃないぞ。その後、仕事の詳細を説明したり、ラインハットが生活するのに家財道具を揃えたりしている内に歓迎会の時間になった。
「ラインハットさん、リンカーンへようこそ。乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
こうしてラインハットの歓迎会が始まった。あっという間にお酒が配られていく。酔っぱらう前にマーサさん、マスクデスさん、マルゲリータさん、リナさん、そしてお得意の冒険者と紹介してまわる。それにしても、今日の歓迎会は何人出席しているんだ?あっ。パリストン商会のジョージさんも来ている。紹介しないと。
7時に始まった歓迎会は11時になっても続いていた。流石にほとんど帰っているが、マスクデスさんとラインハットが飲み比べをしている。
「ラインハット、明日は朝から仕事だから程々にしろよ。」
「わっかりましたー。」
もう遅かったようだ。完全に酔っぱらっている。マーサさんが後は任せろ、と俺たちを返しくれた。次の日、予想通りラインハットは二日酔いで宿屋の一室に寝かされていた。マスクデスさんは通常運転だ。あの人はどれだけ酒が強いんだろう。俺は二日酔いで倒れているラインハットに無理やり薬を飲ませるとマーサさんにお礼を言う。
「いいよ。うちもしょうばいだからね。」
そういってマーサさんは俺に一枚の紙を渡してきた。俺はそれを呼んで目を丸くする。
請求書
歓迎会代金および宿泊1名1泊
400000ゴールド
「これでも身内料金だよ。」
確かに出席者の人数と飲んでいた酒の数を考えると、かなりのものだったが、まさか400000ゴールドとは・・・。俺はマーサさんに月末まで待ってもらうよう頼みこんだ。昨日借金の返済をしたので、手持ちの金がないのだ。




