161 正式雇用
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ラインハットを雇うことになった俺はラインハットの設定を考えることにした。さすがに「神様です」と紹介はできない。名前はラインハットのままにした。アンが出会った時に名前で呼んでしまったからだ。
偉大な魔術師の弟子。
見聞を広める旅の途中。
俺たちとは以前、旅の途中にであった。
極大呪文は師匠から貰った杖の補助で使用。(杖は壊れた)
本人の実力はランクC程度。
師匠の命令でギルドには入れない。
「ラインハット、こんなかんじでいいか?」
「そうだね。これでよろしく。」
ラインハットが納得してくれたので、まずはウォーロッドさんにこの通りに紹介した。ウォーロッドさんはかなり疑っていた。「師匠は誰なのか」「どこから来たのか」などしつこく聞いていたが、ラインハットは黙秘で通していた。後、ギルドとしては「是非ギルドに入ってくれ。」と頼んでいたが、ラインハットはそこも譲らなかった。ただ、町に住んでいる間に緊急事態が起きれば、手助けはする、ということで落ち着いた。ウォーロッドさんは渋っていたが、ラインハットが「それならこの町で暮らすのはやめる。」というと諦めた。やはり、有能な魔術師が住むというのはギルドにとってかなりメリットがあるようだ。たたし、しばらくの間、ラインハットにギルドの監視員がついたのは言うまでもない。
次に俺はラインハットを店に案内した。
「へえ、結構いい店だね。」
ラインハットの感想はとても短かった。まあ、こいつは神としていろいろ見てきているので驚くことはないだろう。俺としては逆にその知識を使わせてもらおうと思う。
「ラインハット。そこの部屋を貸してやるから使うといい。それと、先ほどの約束通り店で働いてもらうからな。」
「うん。わかってるって。で、何をすればいいの?」
「そうだな。店員として店の役に立つこと全部だ。」
「・・・具体的に言うと?」
ラインハットの顔色が変わる。どうやら感づいたようだな。俺はさも当然のような顔をして続ける。
「そうだな。接客、調剤、新レシピ開発、あとは材料集めとかかな。もちろん、全力で働いてくれよ。」
「ちょっとまて。接客と調剤はいいとして、新レシピ開発と素材集めはまずい。力を封印されたとはいえ、まだかなりの力が残っている。それに知識はそのままだ。この二つを全力でやると間違いなくリンガル様に怒られる。」
ラインハットはかなりテンパっている感じだ。
「でも、約束は約束だした。神って約束を破ってもいいのか。」
俺が意地悪く言うとラインハットはさらにテンパっている。
「いや、約束を破るのはまずいが、できなくもないが、でもやると怒られるし・・・。
もはや、何を言っているのか分からなくなってきている。ちょっと意地悪をし過ぎたかな。アンもそろそろやめたら、という顔で俺を見ている。
「わかった。それじゃあ、新レシピ開発と素材集めはそれなりにってことでどうだ?」
俺の提案にラインハットは即座に頷いた。・・・この条件でいいんだ。詐欺師とかが相手だと、これだとかなり無茶なことを要求されそうだが。もちろん俺はしないが。こうして、ラインハットを正式雇用することになった。




