16 「てへ」じゃないって
ブックマークありがとうございます。
評価ありがとうございます。
俺は街を出て近くの草原に来ていた。
Dによると「・・・スライムはゼリー状の不定形モンスターで、打撃、魔法ともに有効です。弱点は特にありません。攻撃力、防御力、体力、すべてにおいて最低のモンスターです。攻撃方法は体当たりだけです。魔法は使用しません。この辺の生息地は周囲の草原です。」
俺は薬草を採取しながらスライムを探した。この辺りは平和なようだ。一匹も見つからない。
お昼ごろになった時の成果は
ライム草 35本
リール草 23本
スライム 0体
だった。
「なあ、D。近くのスライムの生息地はここ以外にどこがある。」
「・・・ここ近辺の平原はすべてです。数は少ないですが、街の下水道にも生息しています。」
下水道は嫌だな。もうしばらく、探すか。
夕方近くになってようやくスライムを発見した。しかも10匹の団体である。
本当は一匹ずつ倒した方がそうも言ってられない。俺は棒を握りしめると一気に振り下ろした。
一匹のスライムがぐしゃりとつぶれる。
「一発か。」
残りのスライムが体当たりをしてくる。そんなに痛くないな。
俺はもう一度、棒を振り下ろす。ぐしゃりと音がしてスライムがつぶれる。
・・・
・・・・・・
やっとの思いでスライムを倒すことができた。途中、体当たりで倒された時は死ぬかと思った。まわりをスライムに囲まれて、リンチ状態だった。
必死で這い出すとその後は距離を取りつつ、一匹ずつ倒していった。
倒すことはできたが、体中にあざができ、服は泥だらけになっていた。
現在の成果は
ライム草 53本
リール草 32本
スライム 10体
「一日としては十分かな」
俺はギルドに戻ることにした。
「千波矢さん。すごい数の薬草ですね。
ていうか、スライム10匹も見つけれたんですね。運がいいですね。
この辺のスライムはほとんど狩りつくされているので、ほとんどいないんですよ。」
「・・・もしかして、行く時の『がんばって』はそういう意味ですか。」
「ええ、この辺りではスライムは絶滅危惧種ですね。」
「そんな依頼勧めないでくださいよ。」
「ごめんなさいね。他にいい依頼がなかったんで・・・。」
そういうと、「てへ」と笑ってごまかす。
「てへ」じゃないって。こっちは金欠で危ないんだから。
「えっと、精算しますね。
ライム草50本、リール草30本、スライム10体で2200ゴールドです。
どうぞ、確認してください。」
2200ゴールド・・・。2万2000円ぐらいか。一日の働きとしてはかなりいいはずだ。これで少しは楽になりそうだ。




