15 金欠です。
窓の外を見ると明るくなってきている。そろそろ起きる時間だ。
隣のベットを見ると、赤毛の少女がぐっすり眠っている。
「良く寝られるな。」
俺は心の中で呟く。俺は緊張してなかなか寝ることができなかった。
この18年間の人生の中で同年代の女の子と同じ部屋で寝たことなどなかった。しかも隣に寝ているのは、かなりの美少女だ。安心したこの寝顔を見ると「俺は男だぞ。」と言いたくなる。
だが、手を出そうとすれば、昨日の冒険者の二の舞になる。いや、命の危険すらも有り得る。
「おはようございます。」
しばらくすると、アンが目を覚ました。
「おはよう。よく眠れた?」
「はい、おかげさまで。」
アンは笑顔で答える。アンはぐっすり眠れたようだ。うらやましい。
「そうだ、主人が朝食をサービスしてくれるって。」
「本当ですか。私お腹ペコペコです。すぐ行きましょう。」
俺たちは外出する用意をすると食堂に行った。
俺たちは食事をしながら今日の予定を話した。
「私は先輩に会えないか、もう一度試してみます。馬のお礼もしないといけませんし。」
「それじゃ、そっちはよろしく頼む。俺はギルドに行って何か依頼を受けるよ。」
「またですか。」
「当たり前だろ。俺は現在無一文なんだぞ。このままだと飯も食えない。」
「そうでした。私もなんですよね。」
「教会にいるときに給料は貰ってなかったのか?」
「・・・見習い神官は無給です。」
それでお金を持ってなかったんだ・・・。
「金の方は任せろ。」
俺はそう言ってギルドに向かった。
「あっ。千波矢さん、いらっしゃい。依頼の受注ですか。」
「はい、お金がないんで。」
「夜の仕事には間に合うようにしてくださいよ。」
「わかってます。何かいい仕事ありますか?」
「そうですね。リスクがないのだとドブ攫いや引越し作業とかがありますが、あまりお金は貰えませんね。
街の外に出るとリスクは出てきますが、金額が良くなります。その中でも比較的低リスクのだとこんなのになります。」
そういって俺に見せたのは薬草採取とスライム討伐の依頼だった。
採取依頼(常時)
ライム草 10本 200ゴールド
リール草 10本 200ゴールド
討伐依頼 ランクG
スライム5匹 300ゴールド
「すみません。依頼の横の常時ってなんですか?」
「それは依頼受付を必要としない依頼ですね。冒険のついでに持ってきてもらって大丈夫です。」
「わかりました。あと、スライムって強いんですか?」
「いいえ、この辺では最弱のモンスターですね。受けますか。」
「はい、お願いします。」
「受け付けました。討伐数は冒険者カードが勝手にカウントするんで何匹でもいいんでどんどん倒してくださいね。ちょっと大変かもしれませんが、スライム討伐、頑張ってくださいね。」
俺は金欠状態から脱するためにギルドを後にした。




