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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第3章
130/330

130 オーナーだった

 翌日、俺は宝飾店を探すことにした。店の名前は・・・宝飾店ファニーだったかな。アンに聞くわけにもいけないため、俺は行きかう町の人に聞き込みを開始する。

 3人目で知っている人に出会うことができた。思った以上に有名な店だったようだ。お店のある場所に行くと物凄く違和感を感じた。レストンのお店は街の中心から離れた小さなお店だったのだが、リンカーンのお店は町の中心に立派な建物が建っていたからだ。


「ここで間違いないよな。」


 俺は疑わずにはいられなかった。しかし、店名は間違いなく「ファニー」となっている。




「いらっしゃいませ。宝飾店ファニーにようこそ。本日はどういったご用件でしょうか。」


 お店に入ると店員が礼儀正しく挨拶をしてくる。


「あのレストンのお店で・・・」


 俺がマチルダさんとの話をすると店員はとても驚いた表情でこちらを見ている。


「その話は承っておりますが、まさかもう幸運の石を手に入れられたのですか?」


 俺は難なく幸運の石を手に入れたが、本来とても入手困難な物らしいので、この反応は当然だろう。俺は魔法のカバンから幸運の石を取り出して見せると店員は更に驚いた。


「2つも手に入れられたのですね。少々お待ちください。」


 店員はそういうと店の奥に入っていった。しばらくすると、店員は誰かを連れて帰って来た。あれ、あの人はマチルダさん?


「お早かったですね。もう少し時間が掛るかと思っておりました。」


 やってきたのはやはりマチルダさんだった。


「マチルダさん。どうしてここに?」


「どうして、と言われましても私の店だから、としか答えようがないのですが。それよりも、幸運の石を見せてもらってもよろしいでしょうか。」


 俺は幸運の石をマチルダさんに渡す。マチルダさんはルーペを取り出すと幸運の石を確認している。この世界でもルーペはあるんだ。それにしてもマチルダさんはオーナーだったとは・・・。


「二つとも見事な品質と大きさですね。それではどちらの石を使いますか?」


 そうだった。婚約指輪を作りに来たんだった。そういえば、婚約指輪って自分の分もいるんだっけ?いや、ペアで作るのは結婚指輪だっけ?このようなことにはまったく興味なく育ってきた俺は漠然としか覚えていなかった。フミヤさんに聞けばわかるかもしれないが、エルフの里まではちょっと遠いな。


 ・・・


 ・・・・・・


 確か、婚約指輪は女性のみ、結婚指輪は夫婦両方だったはずだ。

 違っていたら御免なさい。



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