123 麻酔玉
「俺の周囲に近づくなよ。」
俺はそう言うと、麻酔玉を投げつけながらランバードに突撃していく。不意をつけたようだ。2匹に命中し、麻痺して動けなくなる。当然、ランバードは俺をロックオンして襲ってくる。俺は自分の足元付近にも麻酔玉を投げつける。俺の周りに麻酔薬が充満し、そこにランバードが突っ込んでくる。もちろん、俺には麻酔薬は効果がない。近づいてきたランバードのうち2匹が痺れて動けなくなる。残り2匹は急遽俺から離れて馬車の方に向かう。
「すまん。2匹逃した。」
俺が叫んで後ろを振り返ると、・・・すでに4匹のランバードの死体が転がっており、逃した2匹もすぐに討ち取られた。思ったよりも簡単に倒しているな。どうやら、クックとエミュはかなりの腕の様だ。
「おい、千波矢。大丈夫か。」
心配してクックが俺の元に近寄ってくる。近づかない様に警告しようとしたが遅かった。俺の周囲に残っていた麻酔薬のせいでクックが倒れる。エミュは離れた場所でその光景を呆れて見ていた。
「なんでお前は痺れないんだ。」
痺れから回復したクックの第一声はそれだった。万能薬を飲んで痺れからは回復したが、念のために現在
「すまん。スキルで状態異常にはならないんだ。」
「便利なスキルだな。麻痺耐性とかか?」
「いや、毒、眠りとか状態異常すべてだな。まあそれだけじゃなく、俺が渡した無双薬とかのステータス強化の効果も効かないけどな。」
「なんだそりゃ。ヘンテコなスキルだな。」
「それにしてもお前たちもすごかったな。あっという間に6匹倒したな。」
「ああ、それか。お前の薬を使ったらあっという間だった。体が自分の体じゃなかったかんじだったな。」
そう言って、クックは空になった薬瓶を俺に見せる。
「確かにすごい薬でした。普段の1.5倍くらいの力が出ていた気がします。」
エミュも興奮気味にであった。
「で、どれくらいの金額まで出せそうだ?」
「1日一回10分って言ってたよな。通常のモンスター狩りでは使えないよな。格上のモンスターとの戦闘用で切り札として使うなら5000ゴールド以上でも出しそうだよな。」
「そうですね。高ランクの冒険者なら10000ゴールドぐらいまでなら出せそうですね。」
なるほど、対強敵用の切り札か。クックもエミュも高評価のようだ。いい情報になった。




