122 ランバード
魔物除け薬の効果があったのか分からないが、モンスターの襲撃もなく夜が明けた。まさかこの薬が1本5000ゴールドとは知らなかったが、今夜も使う予定だ。リナさんの言ったように薬の有効性を上げて認知度を得るためだ。実際、自分で作っているのでそんなに勿体ないとは思わない。
二日目も順調に進んでいく。モンスターに襲われることなく午前中が終わった。昼飯の休憩が終わった時、クックが話しかけてきた。
「千波矢。ここからランバードのテリトリーだから気を付けろよ。」
「ランバード?」
「ああ、ランクEのモンスターだ。体長2メートルぐらいの大きな鳥だ。飛べないがすごいスピードで走ってくる手ごわいモンスターだ。」
2メートルぐらいの飛べたい大きな鳥?・・・ああ、ダチョウのモンスターか。
「強いのか?」
「ああ、1~2匹なら問題ないが、あいつらは群れで生活する。」
なるほど、そういうことか。
「なあ、二人とも。この薬を使ってみるか?」
俺はそういって無双薬と俊敏薬を魔法のカバンから取り出す。
「その薬は?」
「俺が調合した無双薬と俊敏薬だ。力とすばやさを10分の間、増やすことが出来る。使えるのは1日1回だが、副作用とかは一切ない。」
「あのおいくらぐらいでしょうか。」
エミュが恐る恐る聞いてくる。
「ああ、今回はただでいいぞ。」
「「ただで!」」
二人が驚きの声を上げる。
「いや、いくらなんでもそれは不味いわ。金を払うよ。」
「そうだぜ。」
二人はそう言っているが、魔物除けの薬が5000ゴールドならこの薬の値段はいくらになるんだろう?
「うーん。値段設定まだしてないんだ。・・・そうだ。それじゃあ、後で使用後の感想とといくらだったら買おうと思うか教えてくれないか。それが代金だ。」
俺がそういうと、クックはまだ不満そうだったが、エミュは「分かりました。それで手を打ちます」と笑いながら言って了承してくれた。
薬を渡したところで思ったのが、モンスターが現れなかったらどうなるんだ。俺は別に返してもらわなくてもいいが、あの二人は返すといってくるよな。などと考えていたが、杞憂に終わった。出発して1時間ほどだが周りを10匹近くのランクックに囲まれていた。前方に6匹、そして斜め後ろに2匹ずつの10匹だ、
「クック、やばくないか。」
「ああ、かなりやばい。護衛任務でなければ問題ないが。」
「もし、前方の6匹を戦闘不能にできたら、後ろの4匹は二人でいけるか?」
「それなら大丈夫だが、どうするつもりだ?」
「麻酔玉を使う。」
「麻酔玉?」
「ああ、麻酔薬を煙状にしたもので、使うと周囲の生物を痺れさせることができる。」




