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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第3章
121/330

121 魔物除け薬

 俺は御者台に座っているが、もちろん馬車の運転なんかできない。ジョージさんが雇った御者が運転している。クックとエミュは馬に乗って馬車の両脇を並走している。リンカーンとレストンの間には町や村はないらしく、2回野営をして、3日目の夕方に到着の予定だそうだ。


 1日目は何事もなく目的予定地にたどり着いた。見晴らしのいい平原でモンスターや盗賊が襲ってきてもすぐに発見することができる。反面、こちらも発見されやすいのだが。


「なあ、D(ディー)。この辺によく出没するモンスターってなんだ?」


「・・・ワーウルフです。ランクEの狼系モンスターです。」


 あいつ等なら魔物除け薬が良く効いたはずだよな。俺は魔法のカバンから魔物除け薬を取り出す。いつもはアンと二人なので1本だが、今日は依頼主がいるので2本と使うことにした。この薬は周囲を囲うように撒いておくとモンスターが近づきづらくなるそうだ。


「なあ、何してんだ。」


 魔物除け薬を撒いていると、クックが聞いてきた。


「えっ。魔物除け薬を撒いてるだけだけど?」


「魔物除け薬?どうしたんだ。ジョージさんから支給されたのか?」


「いや、持ってたのを使っただけだけど?」


 俺が答えるとクックは絶句している。何かまずかったのだろうか?


「千波矢。それがどういうものか知ってるのか?」


「ああ、周りに撒くと魔物がよってこなくなる薬だろ。」


 魔物除け薬についてはアンから教えてもらっていた。二人で旅をしているとき、「作れないか」と相談されたからだ。アンによると教会で販売しているらしく、教会にいるときによく耳にしたらしい。


「確かにそうだが・・・」


「あれ?この薬は別に珍しくはないよな?」


 俺が不思議がっているとクックが呆れた顔で言った。


「その薬、もしかしてお前の自作か?」


「ああ、そうだけど?」


「その薬を教会で買ったら、1本5000ゴールドだぞ。」


 1本5000ゴールド?まじか。値段までは知らなかった。だとすると、2本で10000ゴールド。今回の報酬は10000ゴールド。確かに、この薬を使うのは普通なら割りに合わないな。


 実際、この薬の材料費はそんなに掛かっていない。材料は聖水とルーン草だけである。後は触媒として聖石が必要とする。

 聖水はアンが半日で大量に作ってくれた。水に祈りを捧げるとつくれるそうだ。ルーン草はその辺に結構生えていたりする。聖石は触媒なので1つ持っていると、ずっと使える。したがって、俺の中では魔物除け薬は高価なものってイメージはなかったりした。



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