12 冒険者ギルド1
王都の中はまさに中世ヨーロッパを思わせる、石造りの壮大な都市だった。
俺は街並みを見て感動する。まさにゲームの世界だ。
「あの、千波矢さん。その手に持っている棒はなんですか?」
アンは俺が薬草採取の時に拾った太い棒を見て尋ねてくる。
「この棒?武器の代わりに拾っておいた。こんぼう?かな。」
「こんぼうではないと思いますが、変わった武器を好まれるんですね。」
「【蛮族の英雄】ってスキルを授かってね。斧や鈍器系の武器と相性がいいんだ。」
「【蛮族の英雄】ですか。初めてききました。
で、なんで武器がいるんですか?」
「冒険者ギルドに登録して身分証を貰おうと思って。」
「なるほど。って、よく知ってますね。ギルドで身分証が作れるって。」
「ああ、さっきDに聞いたんだ。」
「ディーって誰ですか?」
「【大いなる辞典】っスキルの愛称。この世界の情報を教えてくれるんだ。」
「スキルと会話できるんですか。なんですか、そのスキル。ものすごく変ですよ。」
どうやら、俺のスキルはレアなだけでなく特殊なようだ。アンの驚き様からもわかる。あまり人に言わない方がよさそうだ。アンには後て口止めをしておいた方が良さそうだ。
そうこう話している内に冒険者ギルドにたどり着いた。ギルドの中は想像通りいかつい男たちでにぎわっていた。俺は受付に真っすぐ向かう。アンは俺のうしろをついてきている。
「あら、いらっしゃい。初めての顔ね。どうしたの。」
受付の女性が話しかけてくる。
「すみません。冒険者になりたいんですけど。」
「いいわよ。それじゃ、申込用紙に書ける範囲でいいから記入して。後ろのお嬢ちゃんは?」
アンは首を横に振る。
受付の女性は俺に申込用紙を渡す。俺は書類に目を通し記入しいく。
名前 葵 千波矢
年齢 18
スキル
得意武器 なし
得意魔法 なし
戦闘経験 なし
他特技 なし
種族 人間
「随分秘密主義ね。まあいいわ。後は面接と実技試験に合格したら晴れて冒険者よ。」
別に秘密主義という訳ではないが、秘密にしたのはスキルだけだ。後はすべて正直に書いている。
「いい。質問するわよ。犯罪者じゃないわね。」
「はい」
「今から説明するギルドの規約を守れる?」
そういうと、ギルドの規約を説明し始める。
・・・
・・・・・・
要約すると
1 一般人に迷惑をかけないように努める
2 ギルドからの緊急依頼はなるべく受けること
の2点だった。
「はい。大丈夫です。」
「それじゃ、面接は合格よ。後は実技試験ね。試験官が待ってるから、訓練場に行って。」
呆気なく面接は終了した。