115 計画
俺はギルドに顔を出さず、道具屋の道具屋のマルゲリータさんを訪ねていた。あの計画のためだ。
「あら、いらっしゃい。確か千波矢さんでしたよね。今日は一人?」
「はい、今日はご相談したいことがあってきたんです。」
「あら、私に?」
「はい。お店を開く方法を聞きたいんです。」
「お店?もしかして道具屋。」
マルゲリータさんが警戒する。
「違います。薬屋です。」
俺は慌てて訂正する。
「あはは、わかってるわよ。ちょっとからかっかだけよ。
で、どうして私に聞きに来たの?」
「お店を経営している知り合いが他にいないんで。俺みたいな余所者が店を開くのは可能なのか知りたかったんです。」
「そりゃ可能だけど、どうしてお店を持とうと思ったの?」
「それは・・・冒険者よりも薬屋の方が生活が安定するかな、と思って。」
「へえ。安定志向だったんだ。冒険者ってやっぱり大変なの?」
「確かに危険を伴いますし、大変な職業ですけど、その分やりがいもありますし、仲間との冒険は楽しいですよ。ただ、マーサさんがとても心配していたので・・・。」
そこまで話すと、マルゲリータさんは俺の意図を察したようだ。感心した顔で俺を見ている。
「確かに親としてはそちらの方が安心よね。でも、こういう大事なことはきちんと話し合って決めた方がいいわよ。」
「ええ、俺もそう思います。ただ、ある程度情報を集めてからでないと、現実的な話ができそうにないので。」
俺がそう言うとマルゲリータさんは更に感心していた。
「余計なアドバイスだったわね。それでご希望の情報だけど、必要なのは領主の許可とお金ね。」
「領主の許可ですか。」
「ええ。変な人に店を開かせると、のちのち困るから、許可制になっているの。確か、冒険者ギルド経由で申請できたはずよ。ギルドにも聞いてみるといいわ。」
「ギルドからできたんですね。ありがとうございます。そうだ、商業ギルドとかはあるんですか?」
「商業ギルド?あるには有るけど、入ってない人の方が多いわよ。私も入ってないわ。あそこは大商人だけね。もし、お店が大きくなったら、その時に考えればいいわ。」
あとは店を開く場所だが、この世界にも不動産屋はあるそうだ。不動産屋はマーサさんに紹介してもらうと良いと言われた。
「あと、許可が下りたら、教えてね。アドバイスできることもあると思うから。」
俺はお礼を言うと道具屋を後にした。




