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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第3章
114/330

114 ダイエットは成功したらしい

 あれから2週間、何事もなく過ぎた。俺は日帰りでできる依頼を受けながらビルのダイエットの結果待ちとなっていた。アンは実家の宿を手伝ったり、近くのモンスターを討伐したりなどしているようだ。



「リナさん。今日の採取依頼の納品です。おねがいします。」


 俺はいつものように採取しした薬草を納品するためにギルドを訪れていた。今日はライム草の納品である。


「ライム草20本で400ゴールドです。」


 俺はお金を受け取ると確認してカバンに入れる。その光景を見て、リナさんは不思議がる。


「千波矢さん。最近はあまり稼いでないけど、大丈夫なんですか?」


 そう、最近俺は一日に400~800ゴールドくらいしか稼いでいなかった。働いていない訳ではない。朝、依頼を受注して、夕方まで採取をしている。納品していないだけで、カバンの中には大量の薬草やキノコなど、調剤に必要な材料が入っている。これはある計画のためだ。マーサさんに「一泊400ゴールド」、と言われたため、必要最低限のお金だけ稼いでいる。


「ええ、必要最低限は稼げてますんで。・・・そうだ、たぶんそのうちお力を借りることになると思うんでその時はよろしくお願いします。」


 まだ、計画は他の人に話していない。周りの人に知られるのはもう少し後にしたかったからだ。


「わかったわ。あっ。そうだ。今日クラウスさんから連絡があったわよ。どうやら、ビルのダイエットが成功したそうよ。」


「もうですか。」


 俺はびっくりした。2週間で痩せれるものなのだろうか?そんなに簡単に痩せれるなら、日本であんなにダイエット商品が売れるはずがない。何をしたんだろうか?


「ええ、私も気になって聞いたら、食事制限と運動と並行して、魔力消費ダイエットをしたみたいなの。それが見事に成功したそうよ。」


「魔力消費ダイエットですか。」


「そっか、千波矢さんは知らないわよね。寝る前に魔力を限界まで消費させて痩せるダイエットよ。魔法使いは太らない、って話から出てきたダイエットよ。」


 詳しく話を聞くと、魔力を回復する時に脂肪を燃焼させるのでは?と考えられているらしい。ダイエットについて語っている時、リサさんの顔は生き生きとしていた。どうやら、この世界でも女性はダイエットに関心が高いらしい。


「クラウドさんから依頼完了のサインを貰ったから、報酬の100000ゴールドも渡しておくわね。」


 高ランクの冒険者にははした金かもしれないが、俺にとっては100000ゴールドは大金である。俺はにわか成金になった気分だ。


「これであの計画を次の段階に移せるな。」


 ギルドを出た俺はそう呟いていた。これで明日からまた忙しくなると思うと悲しくもあるが嬉しくもあった。



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